本の感想「トヨタ生産方式-脱規模の経営をめざして-」
トヨタ生産方式を学ぶために、トヨタ生産方式-脱規模の経営をめざして-(作者:大野耐一さん)を読みました。
読もうと思った経緯と読んでみてどうだったか?を書きたいと思います。
参考になれば幸いです。
買った理由
本を買ったきっかけは、2020年12月に福島で行われたスタディーツアーで出会ったアメリカ出身の方との会話でした。
自己紹介として仕事の話をしている流れで
「なぜ日本にはトヨタのような世界的な企業が最近現れないのか?」
と質問をされました。
その場では持っている知識でテキトーに答えたのですが、それから自分の中には、なぜトヨタは自動車業界で世界1位なのか?という疑問が頭に残りました。
その疑問を解消するために、有名な生産管理手法の一つであるトヨタ生産方式とその生立ちにヒントがあるのでは?と思い、本書を購入しました。
感想
トヨタ生産方式の2本柱である「ジャストインタイム」「自働化」の概要とその歴史を学ぶことができました。
ただ、残念ながら購入理由の問いへの明確な答えは見つかりませんでした。
というのも、生産管理は一つの側面に過ぎず、開発・販売・G社との連携など様々な要素があるためです。
ネットで調べると様々な記事や解説動画があり、やはりそれぞれにも強みがあるようでした。(参考:開発の記事)
しかし、通常の生産方式の生産管理部門で働いている身として、以下2点が画期的だと感じました。
これらは製造業だけでなく、様々な組織に対して起きる問題解決のヒントになるのでは、と思いましたので記載します。
①生産体制の目標像とその方法が明確になっている。
トヨタ生産方式は上にも記載した「ジャストインタイム」「自働化」を2本の柱としています。
詳細は割愛しますが、これらを目指すことで、作りすぎのムダに代表される7つのムダを削減し、原価低減に向かいます。
そして、その手段に「かんばん」「あんどん」に代表される管理手法があります。
これらの管理手法を徹底した先に、在庫が少なく、不良流出、これらに伴う作業者のムダ作業も少なくなるため、目標と手段が揃っている点は優れていると思いました。
自社の工場を見てみると、原価低減は目指しているものの、どのような方法で行うかは、トップ方針や部門、社員の立場によって変わってしまっていると思います。
そのため、部門間で足並みが揃っていない、揃えようとしても時間がかかるということがあると思いました。
その点、理念としてトヨタ生産方式を有するトヨタ自動車が原価低減を得意とするのも理解できると思いました。
②不良を出した工程が痛みを感じる仕組み
トヨタ生産方式は「かんばん」を使用して、生産数やそのタイミングを工程に指示しています。
「かんばん」は工程間でやりとりされる生産指示書のようなもので、その内容に基づいて生産します。
本書には、その使い方が6つ記されています。
特に印象的だったのは
⑤100%良品でなければならない
⑥「かんばん」の枚数を減らしていく
です。
これらの方針を持つことで、不良を出した工程が前工程にかんばんを送る必要があり、その工程が損することになります。(理解が間違っていたらすいません、、、)
自社を見ていると複数の部門が連携する際に、納期遅延やいい加減な判断をした部門が痛みを感じないことが多くあります。
このような部門への改善は中々行われず、ムダを垂れ流すということが多くあると思います。
このような問題の解決策として上記の方法は非常に有効と感じました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?