六道慧の花暦 ホスピタル(1)

新型コロナに感染したニューヨーク在住の現場医師の話。
「(薬を使ったので)肝臓や腎臓へのダメージはあるだろうけれど、味覚と嗅覚に異常が出たということは、他にも影響があるのではないかと……」
医師だけに説得力がある。では、影響が出るかもしれない他とは?

いつもご覧いただいている方、こんにちは。そして、初めての方、初めまして。宜しくお願いします。関節リウマチの持病を持つ私の、通院話や薬の話などをするために、新しくホスピタルをアップしました。
今回は、ウイルスをわかりやすくするために、帯状疱疹の話をします。なお前述の括弧内は、私が補足しました。

私は2019年の9月、家の売却や引っ越しでバタバタしているときに罹患しました。帯状疱疹は水疱瘡と同じウイルスによる神経及び皮膚の炎症疾患とされています。痛みと同時に所々が赤くなり、その上に米粒ぐらいの大きさの水ぶくれ(水疱)が集まってでき、数日のうちに全体として帯のような形に並ぶことから、この名があるとされます。

いやもう、痛いなどというものではありません。すでに関節リウマチを発症し、かなりの痛みを体験していましたが、それでも「この世の中にこんな痛みがあるのか!」と思うほど痛かった。例えるならば、そう、生け花のときに使う剣山ってありますよね。私は左の肋骨付近に出たのですが、その場所を剣山で2秒置きぐらいに突き刺される感じ。空前絶後ですよ、ええ、寝たまま動けません。で、そのままの状態でいるしかないのに、全身、汗びっしょりになる。動いていないのにね。汗びっしょり。

では、なぜ、帯状疱疹になるのか?

これが、なんと、幼い頃に罹患した水疱瘡のウイルスが、身体のどこかに潜んでいた結果なんですよ。私が水疱瘡になったのは、かれこれ60年ほど前だと思いますが……。
すごくないですか? 60年間、じぃっと宿主が弱って「よし、今だ!」という時を待っていたわけです。まあ、執念深いというかなんというか。

医師からは当然ですが、入院を勧められます。私は家の売買に関する立ち会いなどで入院できず、毎朝、通いました。6時に起きて病院へ。
入院した方がいいです。だって、動けないもん。入院した場合、痛みに対してはステロイド系の抗炎症薬とやらを使用。点滴します。ご存じだと思いますが、注射と点滴は違います。注射は打てば終わり、点滴はだいたい1時間ぐらいかかる。

入院すると、テフロン針という点滴用の針の先っぽを刺しっぱなしにしますので、毎回、注射針を刺さなくてもよくなるわけです。ここで気づいた方。
「ん? テフロン針?」
はい。フライパンなんかに使われるテフロン加工を施された針なんですよ。さびないんでしょうねえ。医療は日進月歩で進歩しているんだなと実感した次第です。

一週間、毎朝、病院に通い続けた私を支えてくれたのは……。
「土日はER(救命救急室)に行ってください」という主治医のお言葉でした!
おそらく目が、きらりんと光ったことでしょう。物書きの性とでも言いましょうか。意識を失っていない状態でERに入れる!

「先生っ、バイタルが!」
「いかん。エピネフリン投与」
「はい!」
などという緊迫した状態ではないER。点滴しながら、さりげなく中を見られるかもしれない。もうそこにだけ気持ちを持って行き、痛みと闘い、苦しみをこらえました。しつこいようですが、それぐらい帯状疱疹は痛いです。
(看護師と医師らしい人物の会話は適当なので「こんな薬は使わないぞ」などという厳しい突っ込みはなしということで)

もし、帯状疱疹にかかってしまったときは、まず入院。退院した後も患部にステロイドの塗り薬をつけますが、私は使い捨てのゴム手袋をして薬を塗りぬりしました。あの水疱がね、くせものなんですよ。中にたまっているあれはなんというのか。正式名称はわかりませんが、潰れて出た汁が他の皮膚につくと、そこがまた、発疹する可能性があるらしい。私は肋骨部分でラッキーだと言われました。

そうそう、医師からは帯状疱疹のワクチンを勧められましたが、断りました。昔は一度かかるとかからない、みたいに言われていたらしいですが、最近ではインフルエンザと同じように、違う型があるため、それにかかるとまた、帯状疱疹を発症するようです。無駄なワクチンはやめるがよし。具合が悪いときにでも打った日には、致命的ですから。

さて、ここで前述の医師の話を思い出してください。

「味覚と嗅覚他に異常が出たということは、他にも影響が……」
でしたね。では、この他とはどこなのか。味覚と嗅覚。
そう、おそらく脳だと思います。
だからウイルスは恐ろしい。かからないように気をつけるしかありません。外出を控えて、手洗い、うがいを忘れずに。
油断大敵。明日は我が身ですから……。

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