六道慧の花暦(6月)

6月最後の週になってしまいました。みなさま、お代わりありませんか。
今回は7月7日に発売される朝日文庫の新刊『黒崎警視のMファイル』の前振りとして、すでに朝日文庫から刊行されている本を、私なりにお伝えしたいと思います。

一番はじめに出したのは『警視庁特別取締官』。これは『警視庁生きものがかり』というノンフィクション作品――『警視庁生きものがかり 福原秀一郎・講談社』が出たときに、これ「面白そう」と買い求め、いずれ書きましょうと思っていたシリーズです。

警視庁生きものがかりというのは通称で、正式名は警視庁生活安全部生活環境課環境第三係(長い)。仕事は主に絶滅のおそれのある動植物の密輸・売買事件の捜査をする課のようです。執筆依頼を受けたとき、こんな話はいかがでしょうかとなって、それでいきましょうとなりました。タイトルはもちろん『警視庁生きものがかり』。

ところが、ですよ。1巻目のそう、最終校あたりだったでしょうか。
「た、大変です。『警視庁生きものがかり』というタイトルの警察小説が刊行されました!」と、担当編集者が慌てふためいて連絡して来たではありませんか!

まあ、俗っぽい表現で恐縮ですが、早い者勝ちなんですよ、この世界も。
それからが大変だ。どんなタイトルにするか、相談した結果、
『警視庁特別取締官』に落ち着いたわけです(やれやれ)。
ちなみに女性警察官が主人公、バディは生物学者であり、獣医でもある年下のイケメン警視。

内容は動植物の話を盛り込み、ちょっと変わった雰囲気に仕上げました。
1巻目は犬や猫の多頭飼いをからめた感じです。2巻目の『ブルーブラッド』は、海の生物――タコやカブトガニなどを中心に描きました。タイトルはカブトガニの青い血(青いんですって、血が)が、謎解きのひとつになっていることから決めました。3巻目『デラシネの真実』は、イケメン警視の両親が登場して、親子の確執などを中心に描きました。

この3巻目のとき、帯に静岡大学の加藤英明先生が、推薦文(のようなもの)を書いてくださいました。写真入りでね。え、なぜ、加藤先生が?
と思われたかもしれませんが、要は私が以前からファンだったというだけの話です。つまらないオチですみません。

そして、もう1冊は読み切りの『殺愛』。
こちらも女性警察官が主人公ですが、シリーズ物よりも重厚な雰囲気になったと思います。
虐待、DV、ストーカーといった犯罪で失われた数多くの命。忘れてはいけない、忘れないでほしい。
祈りにも似た想いを込めました。

以上、現在、朝日文庫から刊行されているのは4冊です。ここに7月7日に刊行される新シリーズが加わります。詳細はまた、来週、お知らせします。
どうにか書店に並びそうなので、ドキドキしながら待っていますが……。
そうそう、今回のシリーズは、初めて男性が主人公です。

#警察小説 #格差社会 #逆転劇 #ぶち壊せ

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