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【Leon Russell&The Shelter People】(1972)Leon Russell レコードクリーニングで蘇ったレオン・ラッセルのUS盤

この御時世になって以来、時間に余裕が出来たので、今まで以上にレコードのクリーニングに精を出すようになりました。

今回はその中で最近あった出来事を。

普段、私は中古のレコードを買うことが殆どなので、購入の際には盤のコンディションには注意しますが、多少の汚れは気にしません。

余りに酷い時は、専門店に超音波洗浄をお願いしますが、大体の場合は聴く前に自分でクリーニングします。

やり方は愛蔵盤家の方々それぞれにこだわりがあるかと思います。

私は洗浄液に「バランスウォッシャー33」 クロスは「ビスコ」を使っています。どちらもレイカという会社が出しているものです。

このバランスウォッシャーとビスコ、マニアの方にも非常に評判が高いんです。

ただし値段が少々高いことと、A液B液と2度洗浄して拭き取るのが面倒です。

行きつけのレコ屋主人に勧められて以来、愛用していますが問題も無し。山下達郎氏もラジオで褒めてたと聞いたことがあります。

さてクリーニングした後、乾燥させて、いよいよレコードを聴く訳ですがココからです。 1回目の針通しは試運転です。

盤面の溝にはまだ取り切れてない汚れが残っており、まだ本当の音が出ないのです。針がトレースすることで汚れを掻き出します。

1回目聴き終わると、盤上に汚れが粉になって出るのが分かります。結構出るんですよ。

これを静電気除去ブラシでしっかり払って、もう1回レコードをかけます。

するとどうでしょう、汚れによるノイズは軽減され、1回目よりほぼ間違いなく音が良くなっています。

この時も汚れの粉が出るのでキチンと払うことが大切です。粉が多いようなら、更に繰り返すか、再度クリーニングからやり直すなどすれば、音が出てきます。

レコードは2回以上聴いてやる事が大切です。

他にも裏ワザはあるのですが、そうやって盤の状態を向上させて、音を引き出すのを日々楽しんでいます。

今回取り上げたレオン・ラッセルの【シェルター・ピープル】は、私の以前の記憶では、US盤より日本フォノグラム初回盤の方が良かった覚えがありました。

ところが、両盤を前述のような作業で繰り返していたら、何とUS盤の眠っていた音が蘇ったのか、国内盤より元気になってしまいました。

多分これは汚れだけでなく、長年聴かれなかったビニール盤の溝に何度か針が通ることで溝が広がり、より奥の音を拾う事もあると考えられます。

驚きましたね。改めて手入れの大切さを痛感した次第です。

こちら日本フォノグラムの国内初回盤。迫力は今ひとつですが、なかなかしっかり纏まった音です。バランスも良く御行儀良いスワンプロックといった感じでしょうか。

こちら米国シェルターレコードのUS盤。手入れ後は、低音がグッと持ち上がり、レオンのボーカル、女性バックコーラスも前に出てきて、いかにもスワンプな奔放なサウンドになった感じです。さすがは本国盤。


本作【Leon Russell&The Shelter People】はレオン・ラッセルの2ndソロアルバム。

時はまさに彼が牽引役となった、L.A.スワンプの一大潮流の真っ只中。八面六臂の活躍の中で制作された充実作です。

ジャケット裏には、当時の多忙さ故か、4つの異なるセッションメンバーがクレジット。メンバーも場所も異なる複数の録音であることが分かります。

A-①「ストレンジャー・イン・ア・ストレンジ・ランド」 本作の主軸といえる彼のバンド、シェルターピープルを従えての録音。整然とした曲調ですが、後半女性コーラスをバックにゴスペル風に熱く煽っていくレオンのボーカルスタイルが南部的。カッコイイ。

A-②「オブ・ジー・アイ・シング」 こちらもシェルターピープルとの録音。ホンキートンク調のピアノから始まり、米国ルーツミュージックを煮詰めたようなサウンドへの展開。まさしく大所帯によるスワンプ大会の趣きです。

A-⑤「ホーム・スウィート・オクラホマ」 こちらは英国人を交えたロンドン録音。荘厳なオルガンをバックに苦味ある切ないメロディ。ドラムのゆったりとしたビートが心地良いグルーヴを生んでいます。この曲と次のA-⑤「アルカトラス」が繋がってるように聴こえるのは私だけでしょうか?多分同じ日の録音だと思うのですが。

B-⑤「ビウェア・オブ・ダークネス」   こちらもロンドン録音。ジョージ・ハリスン名曲の名カバー。ピアノとインド楽器のタブラなど使った思い切ったアレンジですが、これら織りなすオリエンタルで不思議な世界に惹き込まれます。素晴らしい。何だか森の樹海に連れ去られるような感覚が…。

他にもマッスル・ショールズでの録音、ニック・デカロの優美なストリングスアレンジなど収めた本作。

今回、何度も聴いている内に、これら全てがその場の思いつきではなく、曲ごとに考えて録音メンバーを割り振っていたように感じました。

プロデューサー、バンマス上がりの彼ならば適材適所で選んでいたと思われます。スワンプの野性的なサウンドも、彼の場合、スタジオ作品では結構周到な計算があったのではないでしょうか。

有能な彼だからこそ作り得た、豪放かつ緻密なスワンプ・ロック。やはり名盤ですね。

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