カーカとカラス [パーリ語と日本語]
ダンマパダ第127句の因縁物語にカラス、パーリ語で kāka (カーカ) という単語が出てきました。サンスクリットでも同様に kāka です。
kāka m. f. 烏, 鴉, からす
見て分かるようにカラスの鳴き声から付けられた名前のようです。Pali Text Society's Pali-English Dictionary にも onomatopoetic (擬音[声]語の.) と書かれています。
Kāka [onomatopoetic, cf. Sanskrit kāka; …] the crow; frequent in similes: …
「カーカ」と鳴くから kāka と名付けた。って、そのまんまだな、と思わず笑ってしまいました。
実際のパーリ語の文中では、格変化するため kāko (カーコー)、 kākena (カーケーナ)のように「カーカ」感は薄れはするのですが…
すぐに思い浮かんだのは、日本語だと「カッコウ」が鳴き声から名付けられた鳥なのかな、ということです。
「カッコウ」と鳴くからカッコウと名付けた。日本語でもそのまんまでした(笑)。
後日、「カラス」という名前が「カ」で始まっているのはもしかして…と思い、いくつか国語辞典を調べていたら、次のような記述を見つけました。
「『カラ』と鳴く鳥」で「カラス」といったところでしょうか。
結局、パーリ語でも日本語でも「カラス」は鳴き声から名付けられたということですね。
写真はスリランカで放し飼いにされてたニワトリです。ニワトリはパーリ語では kukkuṭa で同様に onomatopoetic とありますので、鳴き声由来の単語なのでしょう。
どうやら、時代を遡れば日本語でもニワトリは鳴き声由来のカケと呼ばれていたようです。鳴き声が特徴的な鳥は、その鳴き声から名付けられる傾向があるのかもしれませんね。
パーリ語で仏典を読んでいて、このようにパーリ語と日本語の共通点を自分で見つけるのも、今は楽しみの一つとなっています。
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