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傷痕

 ふいに思い出して、叫びたくなるほど嫌だと思った言葉や事柄。何十、何百と思い出して、時には夢にまで見て。そういう過去こそ傷痕として残って、忘れようと努めてもとうの昔に癒着して、離れる事はない。
 しかし、その傷痕は毒にも薬にもなり得る代物だ。過ちを顧みて反省すれば、次は少しばかりは良いものになるかもしれない。その過ち故に塞ぎ込み、遂には体を蝕んでゆっくり腐り落ちていくのかもしれない。
 だからこそ、その過去に囚われる事は決して悪いことではない筈だ。傷痕として残ったのは、きっと二度と同じ轍を踏まない為だ。
 
 毒か薬か。どちらに転ぼうとも私一人で、私次第。寂しいだろうか。いや、奮い立つきっかけとしては、充分すぎるくらいだ。
 

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