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Black Rooster Audio / VEQ-1P ・ VEQ-5 レビュー

こんにちは、kre4tiveです。

プラグインレビュー第7回はBRAのVEQ-1PとVEQ-5です。
こちらはPultec EQをモデリングしたもので、音質の良さと自然な掛かり方、そしてアナログ回路特有の倍音付加が特徴です。

Pultec EQといえば低域と高域用のEQP-1A、中域用のMEQ-5、そしてフィルターのHLF-3Cの3つの種類があります。

VEQ-P1はEQP-1A、VEQ-5はMEQ-5、VHL-3CはHLF-3Cのモデリングになっています。


VEQ-1P

公式HP
https://blackroosteraudio.com/en/products/veq-1p

低域と高域用の3バンドEQです。
直感的なレイアウトではないので、慣れるまでは使いづらいかもしれません。

大きく分けると下図のような感じになり、3つのEQセクションに分かれます。

画像3

IN
バイパスです。


LOW FREQUENCY

CPS
Cycles per secondの略でいわゆる周波数です。
4種類から選べます。

BOOST
CPSで設定した周波数を0 〜 14dBの間でブーストします。

ATTEN
Attenuationの略で、CPSで設定した周波数を0 〜 -18dBの間でカットします。

Q幅を調整するツマミはなく、かなり広めに設定されています。
どのくらい広いかというと、20Hzをブーストすると800Hzくらいまで影響を与えるほど広く設定されています。
このQ幅の広さが自然なブースト/カットを実現しています。

ブーストとカットの両方のつまみがありますが、2つのつまみが用意されている理由としてはそれぞれのQ幅と周波数がずれていることにあります。
よって同じ量のブースト/カットを行ったとしても微妙な差が生まれます。
これは"Pultec-Trick"と呼ばれており、これを活用することにより実用的で音楽的な作用を生み出すことができます。


HIGH FREQUENCY

KPS
Kilocycles per secondの略でいわゆるキロヘルツです。
4種類から選べます。

BANDWIDTH
Q幅を変えられます。

BOOST
CPSで設定した周波数をブーストします。
ブースト量がQ幅の影響を受け一番狭い状態で最大18dB、一番広い状態で最大10dBのブーストになります。


HIGH SHELF

ATTEN SEL
5k、10k、20kの3種類から周波数を選びます。

ATTEN
ATTEN SELで設定した周波数を0 〜 18dBの間でカットします。


VEQ-5

公式HP
https://blackroosteraudio.com/en/products/veq-5

中低域と中高域のブースト、中域のカットの3つのバンドを備えたEQです。
ツマミは端から2つづつセットになっています 。

画像2

左右にあるPEAKがブースト、中央のDIPがカットのセクションです。

LOW
5つの周波数を0 〜 13dBの間でブースト

MID
11つの周波数を0 〜 10dBの間でカット

HIGH
5つの周波数を0 〜 9dBの間でブースト


VHL-3C

公式HP
https://blackroosteraudio.com/en/products/vhl-3c

こちらはフリーの製品で、ローカットとハイカットの2つフィルターを備えたEQです。

12dB/Octと、割と強めのカット設定。
こちらも通すだけで倍音の付加があります。


使い方

VEP-1P

VEQ-1Pは様々な場面で活躍します。

例えばキックの場合、20Hzか30Hzのブーストとカットを両方行うことでローエンドの強化とキャラクター作りが同時に行えます。
そして高域のセクションでパンチ感を調節します。
コンプを通した後だとキックの重心やアタック感が変わってしまうことがありますが、後段にこのEQを使うことでその変化を回避できるでしょう。

ボーカルの場合、低域セクションで30Hzあたりをカットすると重たいボーカルを軽くすることができます。
そして高域セクションで10kHzや12kHzを広いQ幅でブーストすることで艶を出すことができます。

エレキギターやシンセサウンドなどの激しいキャラクターメイクが求められる場合は、BOOSTとATTENの値を双方とも高めに設定することで個性的なサウンドに仕上がります。


VEQ-5

VEQ-5はVEQ-1Pで調整しきれなかった中域を調整するのに役立ちます。
曇りがちな中域をカットしたり、基音のある帯域をブーストして存在感を与えることができます。

中域に音の芯を持つスネアにはとても効果的です。
中低域のブーストで音の芯を太くし中域のカットで音の多い帯域との衝突を避け、そして高域のブーストで音の抜けをよくします。

エレキベースの場合、中域のカットで明瞭さを与え高域のブーストで空間を作ることができます。


感想

良い点
・通すだけで真空管特有の倍音付加がある。
・パッシブEQのモデリングなので歪みや位相のずれが少なくナチュラルな掛かり方をする。

悪い点
・どのつまみがどのパラメーターに対応しているのかを覚えるまでは使いづらい。


BRAのプラグインは色付けの強いものが多いですが、こちらのPultec EQは割と控えめな印象。
真空管特有の温かくて落ち着いたサウンドになるのが特徴的です。

LA-2A系との組み合わせが気に入っています。
同社のLA-2AモデリングのVLA-2Aのレビューも書いてますのでそちらも是非。

Pultec EQは世界中で愛されており、どのスタジオに行っても置いてあるほどメジャーなEQです。
Plutec EQを持っていないという方にはこちらのVEQ-1PとVEQ-5をお勧めします。

14日間のデモ版があります。
BRAは毎年ブラックフライデーでセールをやっているので、気になった方はその機会に狙ってみてください。

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