憂鬱な日曜の夜は「SEVENTEENプロジェクト」を見よう〜「まんが道」「編集王」「SHIROBAKO」に並ぶ、ものづくりエンタメの傑作

大人になったら、日曜の夜に「あ〜明日やだな〜」なんて思わなくなるんだろうなあと思っていたけれども、そんなことはまったくなく、日曜の夜は今もものすごい憂鬱なのだった。なんだよ話がちがうぞ、もうそろそろ30歳なのに、と思う。でも、しかたない。

とはいえ、しかたないで片付けたくても、気持ちが収まらない。やりきれない。なんとか憂鬱から逃げ、明日は希望に満ちた明るいもんなんだぜと思いたい。

そういうときに励ましになるのが、「編集王」「まんが道」「SHIROBAKO」。なにがあってもやり続ける以外に道は開けない、そう、止まったら終わりだ!ショーは続いているのだ!と、作り続けることの大切さを思い出させ、覚悟させてくれる作品たちだ。最近、このラインナップに「SEVENTEENプロジェクト」が加わった。さて、「SEVENTEENプロジェクト」とはなんなのか?

まず、SEVENTEENというのは、13人組の大所帯KPOPボーイズグループで、日本国内でも着実に人気を伸ばし、今や飛ぶ鳥を落とす勢いがある。そんな彼らが今から4年半前、さまざまなミッションに挑戦し、デビューをものにするリアリティーショー。それこそが「SEVENTEENプロジェクト」だ。ただのアイドルのリアリティーショーなんじゃないの?と舐めてはいけない。何かを作り、人に感動を与えるためには、どんな努力と矜持と未来への希望が必要なのかが詰まりに詰まった、涙なくしては見られない、最高のものづくりエンターテインメントなのである。

番組第一話オープニング。「僕らにはある程度のファンがいて実力もある」と自信を持っていた彼ら。しかし、初めてのミッションで挫折を味わう。抜き打ちのダンステストが行われ、これまでに踊ったことのある曲が流れるのだが、フォーメーションも振り付けも思い出せず、13人揃ってあたふた。この大人数であたふたすると、とてもみっともなく、いたたまれなくなる。今なら一糸乱れぬパフォーマンスを披露し、突然のハプニングにも華麗に対処できる彼らとは思えぬほどの、駄目っぷり。実力を出しきれず、気落ちしながら帰宅した彼らの前に、所属事務所Pledisの社長が現れる。社長は彼らに辛辣な言葉をぶつける。中でもはっとさせられるのが、「デビューだけが目的?」という発言だ。

「デビューだけが目的?」

これは、なにかを作って表現する人が、つねに自分に問い続けなければならない言葉だと思う。できたら終わり、じゃない。アイドルのデビューも、本の校了も、終わりじゃない。スタートだ。誰かにそれを届けて、心になにか一つでも残すための、スタートラインにすぎないんだ。

Pledisの社長のこの発言は、ものづくりのプロだからこそ重みがあり、厳しく、そして励ましになる。この言葉があったからこそ、セブチちゃんたちは今や、韓国を飛び出し、日本、中国のみならず、ジャカルタ、タイ、そしてヨーロッパへと活躍の場を広げている。グローバルアイドルとして、もはや彼ら自身もおそらく想像がつかないほどのたくさんの人々に感動を与え、しんどい日曜の夜を乗り越えさせてくれる存在になったのだ。

初めてのライブ、あんなに練習したのにうまくできなかった。急に告知をしたライブに人が全然来なかった。自分たちの頑張りって、無駄だったのか?これから頑張っても、また、今日のこのみじめな日と同じような日を迎えてしまうのではないか?

失敗すると、こんな思いをするのは二度と御免だ、と、歩みが止まってしまう。でも、彼らは13人で支え合い、自分たちの表現を磨き続けた。そして見たこともないような場所へ、自らを導いていく。

そんな輝き続ける彼らを見守り、応援することで、私もまた、輝ける人間になれるんじゃないか? このなけなしの自尊心を握りしめて涙を堪えている自分に、ちょっとくらいは期待してもいいんじゃないか? 希望が生まれてくるのである。

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