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バグの肉汁

傷つけば傷つくほど、逆に気持ちよくなってしまう。そういうところがいつからか私にはあって、それがなかったら到底生きてこられなかった、まず絶対に10代は越えられなかったと思うのだが、そのおそらく10代に構築された生きるための最強「享楽システム」が暴走して、私は20代何度か死にかけた。
もう本当に傷つきすぎてこんなのとても無理だ、死んでしまう、となって数日経つと何かもう逆に気持ちよくなってきてしまう。「好き♡」みたいなイカれた慕情が肉汁のように身体から溢れ出てくるんである。ヤバいと思う。マジで。
人間というのは不快を快に転ずる、享楽する生き物であるとは言うが、この"肉汁"は合法なのか。別にここで言っている"肉汁"は薬物か何かの隠語ではない。しかしこの脳内麻薬はあまりに劇薬すぎる、こんなのは絶対に良くない。そう思う。そもそも、享楽とかいうこんなヤバいシステムを構築し、さらにここまで強化しなければ生きられないほど人生というものが苦痛に満ち満ちたものであることもヤバい。ヤバいと思う。
一旦冷静にならなければならない。まず、この「好き♡」みたいな肉汁は愛じゃない。これ、ほんと体感的には愛みたいなんだよな〜。え?もしかしてこれが愛?みたいな気持ちになる。実際なってた。しかし冷静になって理性的に考えると全然愛じゃねえ。とんでもない脳のバグだと思う。私が恋愛をそれ自体として全く尊いものだと思っておらず、恋愛感情を脳のバグ、恋愛関係を事故ないし事件だと考えるのはこの肉汁のせいでもある。しかし愛でないならこの肉汁は、一体、何なんだ。
そうやってこの肉汁を追求すると間違いなくドツボにハマる。さいあく狂ってしまう。もう私は一回完全にトチ狂って精神病院にブチ込まれているし、3年前にも狂いかけて入院一歩手前まで行った。もういい加減、同じ轍を踏むわけにはいかない。こんなこと何度も繰り返していたらいつか絶対戻ってこれなくなる。
だからどうか私をこんなことになるまで傷つけないでほしい。この土日は丸二日間寝たきりで泣いていて、そろそろ一通り終わったかなと思ったらさっきバグの肉汁が出た。で、LOVEだなLOVEみたいな気持ちに一瞬なったんだけど、ほんとどうして毎度毎度こんなことになってしまうんだ。騙されてはいけない。悲しいけどこれは愛とは別の話なのだよ。

ストレートに気持ちいいことより「逆に気持ちいい」ことの方が気持ちいいなんて。ほんと悪い冗談も大概にしてほしい。「逆に」ってなんだよ、「逆に」って。やはり「気持ちいいこと」ってのがそもそも信用ならねえなと思う。

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