始まりは何処

母に抱き締めて貰いたかった
父に見て貰いたかった
母に優しく名前を呼んで貰いたかった
父に頭を撫でて貰いたかった
母と手を繋ぎたかった
父と手を繋ぎたかった

愛を知りたいという基盤はきっとここら辺から始まっているのだと思う
今はもう思ってはいない、思えもしない
だから見えないのだろうか

今もあの時の小さな私のまま
父と母に「抱き締めて、私を見て」と思えたのなら、何かを知れたのだろうか

どのみち、それはもう物理的に無理なのだけれど
それが可能だったとしても、私は父と母と呼ぶべき人間をとうに棄てている
棄てられている、と言った方が正しいのか正しくないのか

どちらが先でも、結果はきっと変わらないのだろう