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🟢セリヌンティウスの苦悩

セリヌンティウスはひどく悩んでいた
青い瞳の彼を信用すべきかの判断がつかずにいたのだ

セリヌンティウスは実直な男であった。
人の言うことを良く聞き、自分で判断した上で信じることができる。
そんなセリヌンティウスだが、この件に関しては自分の判断を信じきれずにいた。

セリヌンティウスは、一流の石工であった。
真面目に仕事をこなすため、ローマでも評判が良かった。
ゴツゴツした手に、深い顔の皺
ローマを30年支えてきた男であった。
若い衆を指導する立場にいながらまだまだ現役のセリヌンティウスであったが、近頃腰痛に悩まされるようになった。

ずっと働き詰めだった自分を労るためにも、良い睡眠をとることにとセリヌンティウスは考えた。

そこで出会ったのがkoalaマットレスだった。
そして件の悩みの種もこのマットレスであった。

このマットレス、なんと言っても魅力はそのクッション性

グラスのワインをこぼすことなく、大の大人達がベットの上で飛び跳ねているではないか!
思わず購入しようとしたセリヌンティウスは、その手を止めた。

、、、高い。
お値段がお高い、、。
かなり強気なお値段設定である。
普段、安物の寝具を使っているセリヌンティウスにこの値段は衝撃的であった。
この衝撃を受け止めるだけの柔らかさはセリヌンティウスには無かった。

衝撃が落ち着いたセリヌンティウスは考える。

このCM、少し話を盛っているのでは無いか?、、と
このやけに楽しそうな男達
本当は私達を騙そうとしているのでは無いか?、、と

セリヌンティウスにモヤモヤと湧き上がる疑心を察したかのように、koalaは宣言する。
「私達は売り上げの一部をコアラの保護に寄付します」

なんと!
コアラを助けようとする慈善団体では無いか!
そんなナイスな男達が人を騙すなんてあるわけがない。
疑った私が恥ずかしい、とても恥ずべきことだ。

セリヌンティウスは赤面しながら購入ページに向かう。
購入ボタンを押そうとしたセリヌンティウスは立ち止まる。

、、、寄付金が含まれるにしても、、、やはり高いな。
どのくらいの寄付金になるのだろうか?
仮に1台1円だとしたら、10万台売り上げても10万円だ、個人と変わらないのではないか?

迷うセリヌンティウスにコアラは続ける。
購入を迷っているのですね?
それならば100日トライアルをお試しください!!
もし期待にそぐわなければ返金しましょう!!

一見、魅力的な提案であるが、セリヌンティウスは強く反発した。
私が一度使ったものを送り返す無礼者に見えるのか!
それにあんなミッチミチに詰め込まれたマットレスを
再び袋に戻せるような技術は持ち合わせていない!!

セリヌンティウスは、竹馬の友メロスに相談しようと考え

そしてやめた。

私を身代わりに磔にしておきながら羊小屋の藁の上で熟睡する男だ。(この話を後で聞いた時には、心底腹が立った)
どこでも寝れるに決まっている。

頭を抱え布団にもぐったセリヌンティウスは思う。
この安物のマットレスを5段重ねれば、相当のクッション性が得られるのでは無いかと。

「メロス君。マットレス1枚持ってって!」
そう呼ばれて走るメロスを想像しながら
セリヌンティウスは薄い薄い布団で眠りについた。


マットレスに詳しい方、セリヌンティウスにアドバイスをお願い致します。

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