『ジョージ・マイケル (オートエスノグラフィックな何か 12)』

妙に好きな歌というのがある。例えば、こちらに来て、よく耳にする、George Michaelの”Freedom 90”。これは、私がまさにオンタイムで聞いていた曲で、私はジョージ・マイケルがなんだかすごい好きで、この曲も、めちゃめちゃ繰り返し聞いてたけれど、当時プライドソングだなんて知らなかったし、ジョージ・マイケルがゲイなのも知らなかったと思う。どこが好きかって、セクシーで格好が良いから。吐息で歌うのもグッとくるけれど、ジョージ・マイケルに触られたいとかセックスしたいと思ったことは一度もない。むしろ、なんとなく勘弁してほしい。

一方、みんなのアイドル、クイーンなんだけど、ほとんど聞いたことがない。もちろん知ってるし、授業で流して解説をしていたこともある。でも、正直、私は、ロックバンドっていうのが、どうも好きでない。一番好きだった音楽のジャンルは、ニュージャックスウィング。前ノリは好きでなくて、ダンゼン後ろノリが好き。こういうのこそ、好みなんだからどうしようもない。

で、フレディみたいな友だちや知り合いはそれなりに沢山いるけど、私は、なるなら断然ジョージ・マイケルになりたいわ。マドンナのVogueも、ラジオしかなかった田舎の少女にとっては、ただのノリノリの曲でしかなかったけれど、異様に好き。正直、マドンナとファックはしたいけど、マドンナにはなりたくない。

私は長く、どういうふうになりたいかと、性的対象を混乱していたと思う。これは、周囲のせいもあると思う。

例えば、保育園の時、バレンタインに近所の子にチョコレート買って、渡しに行った。渡そうとした子は家に不在だったので、お母さんに渡したけれど、かなり引かれてしまった。私はその子が近所の悪ガキ友だちだったので、親愛の情を込めたプレゼントをしたかった。けれども、その子の親からしても私の親からしても、マセたガキにしか思えなかっただろう。

小学校の時も、友だちに「誰が好き？」と聞かれたので、クラスのリーダーシップを取りがちな、やんちゃとクールが混ざったみたいな男の子の名前を挙げた。そうしたら、その後、噂は広まるは、その当の子にはあからさまに避けられるは、大変な目に遭った。が、ちょっと待った、である。私は単にその子みたいになりたいと、憧れていただけである。男の子だけど、赤が好きとハッキリ言って、かえって羨望の対象になるようなタイプの子は、赤を選んだら、やっぱり女の子ねという不本意な意味付けしかされないアタシにとっては、まさに羨望の対象だった。

中学になると、アレッド・ジョーンズという変声前の賛美歌歌手と、ニューキッズオンザブロックの変声前のジョー・マッキンタイアが好きだった。ビデオを見ていると、父親に「お前はこんなのが好きなのか」と言われたが、その言い方は何やねんだけれど、それより、私はものすごく混乱したと思う。それに、変声期前の少年に惹かれるとか、変態的すぎると思って、そういう思いは封印していた。最近、やっとなるほどと思うのは、絶妙になれそうな対象、なんだよね。つまり、ある種のジェンダーノンコンフォーミング。声変わりすると、私にはなりようが無くなってしまう。

ニューキッズオンザブロックも、ものすごい流行っていたけれど、彼らの歌を自分が歌われるように聞いたことは一回もない。Be my Girlは、私が誰かに言うためのフレーズだ。

Boyz II Menっていうグループもデビュー当時ものすごく繰り返し聞いたけれど、彼らの未練タラタラソングを自分が歌われていると聞いたことも一度もない。自分が甲斐性なし（例えば、モノガミーなのに、他の女にうつつを抜かしていたとか）のせいでフラれたのに、戻ってきてと懇願するとか、やってみたくて仕方ないんである。中身が激烈フェミニストなので、矛盾が凄くて、これまた苦しんでしまう。

私が付き合ったことのある、シスジェンダー男性は、全員、高身長で、目が切れ長な、それなりのイケメンだった。そういう人に性的に惹かれていたのかもしれないし、単に混乱していたのかもしれない。これも結果的にインビトウィーンだったろう。ともかく今わかるのは、私がどういう姿であるとよかったと思うか、というと、そういう姿だった、ということ。総じて、フレディ・マーキュリー的では全くなく、ジョージ・マイケル的容姿。私的にはね。

もう少しこのトンネルを抜けると、アイデンティティがゲイにまで到達するかもしれないけれど、今の私は、素敵な女性とファックしたい盛り。もともとブッチには強烈に憧れていたけれど、性的に惹かれたことはない。ねじ伏せられそうで、怖いんだもん😱

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