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ホロライブ無許諾配信問題とはなんだったのか

とりあえず概要については下記のニコニコ大百科さんが詳しいものの、当該記事は令和2年6月以降におけるカバー(株)の悪事であったり、どういったゲームの著作権を侵害しているかにやや特化し過ぎている印象がある。本稿では任天堂さんの許諾まわりに絞り、平成30年11月~翌年1月までのにじさんじ所属・笹木咲嬢の一連の騒動と絡めてホロライブさんを全力で擁護したいという所存である。目次としては「概ね客観的な事実」と「個人的な感想」に分けたい。

1.概ね客観的な事実

時系列として、平成30年10月30日に笹木咲嬢のにじさんじゲーマーズ(当時)卒業が発表される。

当初1人のゲーム好きとして、にじさんじゲーマーズに加入したが「いざ加入してみると権利の体制が厳しくでやりたいゲームをすることができる環境ではなかった」ため、卒業を決意したという。

この時点でカバー(株)と比べ、いちから(株)が著作権に対し真摯に向き合っていた姿勢が伺われる(これは個人的な感想)。そして笹木咲嬢が不遇と呼ばれる所以であるが、その一時引退の2週間後にあたる平成30年11月29日に「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」が公開された。

(前略)
個人であるお客様は、任天堂のゲーム著作物を利用した動画や静止画等を、営利を目的としない場合に限り、投稿することができます。ただし、別途指定するシステムによるときは、投稿を収益化することができます
(中略)
Q4.このガイドラインにおいて投稿を収益化することができる「別途指定するシステム」とは、具体的にはどのようなものですか。
A4.現時点において、このガイドラインにおいて投稿を収益化することができる「別途指定するシステム」とは、以下のものをいいます。
・Facebookの「Facebook Game Streamer」および「Facebook Level Up Program」
・ニコニコ動画/生放送の「クリエイター奨励プログラム」および「ニコニコチャンネル」
・OPENREC.tvの「OPENREC Creators Program」
・Twitchの「Twitchアフィリエイトプログラム」および「Twitchパートナープログラム」
・Twitterの「Amplify Publisher Program」
・YouTubeの「YouTubeパートナープログラム」
・TwitCasting の「ツイキャス・マネタイズ」内の「アイテム収益」「動画収益」(2019/4/1追加)
・Mirrativの「ギフト」(2019/4/1追加)
※随時更新されます。

このあと、笹木咲嬢は平成31年1月16日に復帰を発表する。

2019年の活動再開では、復帰の理由をそれまで配信ができなかったゲームの権利問題が解決したことで、にじさんじ運営より打診を受けたからであると明かした。(Wikipediaより)

それから1年間、にじさんじとホロライブはしのぎを削り(多分)、どうやら調べているとにじさんじ任天堂収益化オフ騒動(仮称)とやらがあったらしい。

本件の真相は知る由も無いが、令和2年3月の時点でネット上では上記の噂があったというのは、その後の包括的許諾契約への前段であったというのは明らかであろう(これは個人的な感想)。そして令和2年6月1日に次のプレスリリースがあった。前述の任天堂さんのガイドラインに、「法人等の団体による投稿」についての規定が追記された。

Q9.法人が、任天堂のゲーム著作物を使った投稿をすることは、このガイドラインの対象ですか。
A9.このガイドラインは、個人であるお客様による任天堂のゲーム著作物の投稿を対象としています。法人等の団体による投稿や、投稿者が所属する団体の業務として行う投稿は、このガイドラインの対象ではありません。ただし、別途契約が締結された以下の法人に所属する投稿者は、所属する団体の業務として行う投稿であっても、個人であるお客様と同様に、このガイドラインに従って、任天堂のゲーム著作物を利用した投稿を行うことができます。(2020/6/1 追記)
・UUUM株式会社(吉本興業所属を含む)
・株式会社ソニー・ミュージックマーケティング
・株式会社東京産業新聞社(ガジェット通信)
・いちから株式会社
・カバー株式会社(2020/8/1 追加)
・株式会社アップランド(2020/8/1 追加)
・株式会社クリーク・アンド・リバー社(The Online Creators)(2020/8/1 追加)

それ以降のカバー(株)まわりの動きはジェットコースターであり、詳細は一番上のニコニコ大百科を参照されたい。令和2年6月5日にカバー(株)は無許諾配信を認め謝罪、深く反省して云々にも拘らず下記記事のように大神ミオ嬢が令和2年1月11日に配信したアーカイブが残されたまま、同年7月30日に「権利者削除」された。そしてその2日後、上記の任天堂ガイドラインが更新され、ホロライブは任天堂さんのゲームの配信・収益化が可能となった。

2.個人的な感想

事実として書きたかったけど、ソースがみつからなかったので、最後のカプコン社による「権利者削除」は即時的(リアルタイム)なものではなかったという説がある。すなわちカプコン社は当該ソフトの配信を一律的な対応として「権利者による削除申立て」を行っており、YouTube側の仕様として何ヶ月とか半年とかの期限を区切っていつまでに対応しろとメール等で警告していたのではないかということ。ホロライブメンバーのアカウントは全て運営に紐付いているという話を聞いたことがあり、もはやチェックし切れずに当該警告メールを見落としてしまったのではないだろうか。(上記は推測だけれど、「任天堂と包括契約できて調子に乗るな、数日前にカプコンに刺されたのを忘れたのか」という指摘がネット上にあるものの、これは時系列的に「たまたま時限爆弾がそこで炸裂したのではないか」という説を支持したい。ただ、仮にそうだとしても杜撰な運営ということについては擁護しきれない)

いずれにしても、個人的な感想としては兎にも角にもホロライブさんが任天堂ゲームで配信できるようになったことは非常に喜ばしい。私が「いわゆる関係性のオタク」ならばホロライブにシナジーがあると強く感じたのは「おかゆ裁判」であるが、そこから興味を広げてなるほど色んなメンバーがいるのねと少しずつ理解が進んだ後、このマリオカートホロライブ杯の切り抜きで感動を隠せなかった。

なにかというと、ホロライブはアイドル事務所らしいがゲーマーズを始めとしてゲームつよつよなメンバーもいれば、湊あくあ嬢のように本来はこういったレースゲームを得意とはしていない様子ながらも、持ち前の隠れた努力でいい感じにあれするというキャラがよく出ている。中には、下手っぴなのが「解釈一致」ということで、キラーに頼って最下位を回避するという場面もあるが、これは近年のマリオカートというゲームが「いい感じに、露骨に実力差が出ないようにアイテムでうまく調整する」という設計思想と見事にハマっており、当該ソフトの魅力を余すこと無く伝えている。また、各メンバーが選ぶキャラクターがいずれも解釈一致で感動した。ホロライブには権利関係をちゃんと出来るスタッフは居ないのかもしれないが、有能な「解釈班」が居るのではないかと私は疑っている。

3.個人的な感想として総括

・笹木咲嬢の一時引退→復帰は任天堂社の対個人ガイドラインの策定(平成30年11月29日)により任天堂ゲームの配信が可能になったことによるものであり、令和2年6月1日に対法人の追記がなされるまで、カバー(株)が所属タレントを個人事業主とみなし、(無理やり)対個人の規定を読んで収益化していたというのは、やむを得ないのではないか。(いちから(株)の動きを知っていたのなら擁護できない)
・いちから(株)外3社の包括契約はカバー(株)にとって仮に青天の霹靂だった場合、その2ヶ月後までに、他の2社と足並みを揃えて任天堂社と契約を結べたというのは、今までやりたい放題やっておきながら追随してきて気に食わないというのは分かるけど、不意打ちあるいは出し抜こうとして失敗しただけで、お互い様ではないだろうか。

最後に、お金の話が分からない。なにかと言えば、「包括的使用許諾契約」というからには収益の一部を任天堂社に納めるような契約なのではないかというイメージがある。このところホロライブさんまわりは騒がしすぎるのでにじさんじさんのリスナーがホロライブを批判するネタは事を欠かない訳だけど、例えば6月契約組よりも8月契約組の方が上納金を納めるような契約内容になっていれば、溜飲が下がるのではないだろうか。カプコン社の権利者削除はガイドライン追記の2日前で、仮に任天堂社から契約の白紙撤回か上納金のアップを詰められて、後者を選択したとしたら。本質的にはどうやって著作権者の利益は守られるべきかという命題がある一方で、ホロライブ杯が無ければ私も周回遅れでマリオカートを買っていなかったかもしれない。

笹木咲嬢が唐突にマリオ64をやった配信が令和2年5月にあって、もう懐かしすぎて涙を流しながらスパチャを投げようとしてた投げられなくて。タイミング的に包括契約の前ににじさんじさんはちゃんとスパチャをオフにしていたという状況を偶然にも目撃してしまった訳だけど、それはそれとしてこういった古のゲーム、私が小学生の頃に遊んだ記憶を令和にもなって思い出せる、そしてYouTubeが残っている限りはインターネット上に残り続ける。これは本来画期的というか、過去を振り返るだけじゃなくてゲーム×アイドルという親和性で潜在的な市場を切り開いていってほしい。もちろんそれが出来ればWin-Winの関係でということだけど、難しいなあというお話でした。

終わりだよ~(o・∇・o)~

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