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レンタルビデオ屋の閉店セール・出会った作品、葛藤と再会【日記】


たまに来る職場からの帰り道。
一緒に駅まで向かっていた上司に「あそこのビデオ屋、閉店セールやってたよ!」と教えてもらいました。

レンタルビデオ屋の閉店セールは、大学時代に出町柳のTSUTAYAが潰れた時に周りのみんなが競争するように買いに行っていて、楽しそうだなという憧れがありました。せっかく教えてもらったし、ここでまっすぐ帰るんじゃあ人生面白くないなと思い、上司と別れ、店に向かいました。

ガランと白い空間に、一列だけ棚が残っていました。この量なら全部見てしまおうと、DVDもCDも一通り目を通していくことにしました。お目当ては「人に勧められたりして観ようと思っていた映画」と、「よさげなCD」です。

最初に見つけたのは「ゴーン・ガール」。
洋画しか見ない友人におすすめの邦画を聞かれて、(好きなのは「パコと魔法の絵本」と「さかなのこ」だと伝えた)逆におすすめの洋画を聞いたらこれだと教えてもらいました。しかし、お互いに人に勧められたからといって早々に観るかと言われれば、かなり気分次第で、私の方は結局乗っておりませんでした。買ってからアマプラで観れた気がしましたが、何せ1枚100円です。棚に残っている中でもいい方だと思いましたので、すぐ手に取りました。

もう一つ、「ステージ・マザー」を選びました。
「ステージ」とついていたので華やかそうだなと思ったのでこれにしました。ドラァグクイーンのビジュアルも好きなので、観るのが楽しみです。

映画は長くてしんどいので、CDのお宝が何かないかと探そうと目線を落としたところ、懐かしくてたまらない嵐のアルバムたちがありました。熱い!!!
悩みましたが「love situation 」という曲が入ったアルバムにしました。この曲は小学生の時から共にアラシックにかかっていた友人と「いいよねぇ♡」と言っていた曲です。サブスクにないので嬉しいです。

次に先輩と同期が好きなandropのアルバムが目に入ったのでそのまま買うことにしました。曲を聴いたことはありませんのでこの機会にと思います。

そして、私は見つけました。
敬愛してやまないクリープハイプの初期アルバムです。すかさず手に取ったのですが、手の上にその2枚を置いて、とても迷いました。…100円なんかで買っていいの?

中高生の時はお金もなかったし、レンタルしてウォークマンに取り込んだりしていたけど、大人になった今、定価で買うことができるし、そうすれば微力でも彼らに直接貢献できるのです。

でも欲しい。目の前に、今私の手にそれがあって、ここに戻したらどうなるんだろう?「やっぱり買えばよかったな」「全然好きじゃない人の手に渡ったりしたら嫌だな」「誰とも巡り会わなかったらどうなるんだろうな」自分にとって都合のいい、悪い考えがふつふつと湧いてきます。クリープハイプを前にして、カッコ悪いです。だったら買おう。

そして今度は買うにあたっての言い分を考え出しました。ふと、やわらかい気持ちになりました。おそらく発売された時くらいからこの約15年間、たくさんの人に借りられて、返されて、今ここにあるんだな。たくさんの人が、これを聴いて自分の思いや人生を重ねたり、これをきっかけにクリープハイプを好きになったりしてきたんだろうな。そして、私が今買えば、長く続いたこのリレーのアンカーになれるんだな。それはなんだかとても誇らしい気持ちでした。私はクリープハイプが好きだから、このみんなの思い出をのせたCDを買おう。僭越ながら、そう思えました。

店を出て、駅に向かっている途中、小学5年生から使っていたウォークマンが先月壊れたことを思い出しました。そのウォークマンには買ったアルバムも入っていましたが、もう聴けなくなっています。ああ、これは曲が私のところに帰ってきてくれたんだ。よかった、無事に迎えられて。

思えば私はそのビデオ屋が閉店セールをしていたことも、そこにビデオ屋があったことも知りませんでした。教えてくれた上司のおかげです。

素敵な巡り合わせでした。

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