【やきう】送りバントは非効率なのか?

送りバントは非効率論て、私はあまり納得しないのだけど、納得しないというだけでなく、なぜ納得できないのか、少し考えてみました。

例えばこの記事で言及されている先行研究では送りバントは①得点確率と②期待得点の双方が下がる、としている。無死一塁から一死二塁になることにより、得点確率は40パーセントから39パーセントに下がり、期待得点は0.81点から0.68点に下がる、とされている。

https://logmi.jp/tech/articles/323120

(この記事自体は、送りバントが非効率であることを所与として、それでも送りバントをしてしまう理由を、心理学的に説明しようというものです。為念)

しかしながら、選手OBの解説者が送りバントを否定するようなコメントを発することはあまり聞かない気がするし、名将とされる原監督も主軸を含め積極的に送りバントさせるし、やきう選手は筋肉脳だから算数は・・・なんてことではそれこそ説明がつかないと思う。

以下、引用したセイバーメトリクス的な考えに欠けていそうな要素を考えてみました。だからこそ日本では、送りバントが戦術として好まれるのかなと。

1 1点リードと2点リードでは、1点の「価値」が大きく異なること。1点リードから2点リードになることで安心感が2倍にはならない(2倍以下)。なので、例えば初回や同点の場面で期待得点が下がるから送りバントは非効率、という考えの論拠は強くない。これは例えば同点の終盤でも同様。

2 1の変形的な話だけど、1点のリードによる、バッテリーへの好影響。例えば1点リードがあることにより、「ソロHRならOK」ということで、強打者へのインコース攻めなども行いやすくなるのではないか。

3 好投手相手だと、安打が連なるとは考えづらいこと。それこそ確率論で、菅野相手に3連打が出る確率ってのはかなり低そう。それよりはまずは1点を取ろう、という考えは不合理とはいえなそう。高校野球だと一般に投高打低とされるので、特に送りバントが好まれる気がします。

4 これは記事中にもありますが、ランナーが2塁に進むことにより、相手の投手、守備位置に影響を与えること。投手に関しては、長打だけ警戒すればよいのとヒットも許されないというのでは、投球の幅が違うと思うし、守備位置も、外野・内野とも2塁にランナーが進み、「得点を与えないように守る」ならば、逆に、単打くらいなら出やすくなると思います。

5 平均はあくまで平均、ということ。当然ながら、無死一塁といっても、打順によって送りバントが採用される/されない確率は異なります。4番打者にバントをさせることはまずないだろうし、9番投手なら、追い込まれるまではバントでしょう。上記の得点確率・期待得点てのも、打順まで場合分けしたら結構違う気もします。

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