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羅貴の優しさ

「……それは月影家が全滅したからです。天皇陛下の策略で」
 羅貴はそれはさすがに予想していなかったようだ。
「どういう事だ?父上がなぜ自分の護衛官を?」
 紅夜は首を振った。


「わかりません。それで一家を皆殺しにされていました。母が自分に親密な人の記憶を消すように薬を置いておいてくれました。それで、冷雅を呼び出してコーヒーに……まさかあんな副作用があるとは……私(わたくし)は冷雅の命を消してしまいそうになった」。
「そうかい。それで、何故盛ったのかい?」
 紅夜は羅貴の目を見た。羅貴は優しく促すような目をしていた。
「それは冷雅に被害が及ばないように。私(わたくし)と会っていて、冷雅がある日、月影家に関して誰かに聞いて天皇陛下に月影家の存在を知っている人がいるという事を耳に入れないために記憶を消しました。冷雅が天皇陛下に消されないために……」
 紅夜はパッと涙を浮かべた。


「私(わたくし)はなぜ誤解されたのでしょうか?」
 羅貴はやれやれというように首を振った。
「さあね。冷雅は一度考えたこと思ったことは容易に変えないからさ。時間が解決するよ。それまでは冷雅のことはそっとしておいて。で、君の月影家のことだけど誰にも言わないようにね。問題は少しおいておこう。それじゃあ、下がっていいよ。朔隼と罪人の書類調べしたらどうかな?多分朔隼の部屋でやったらいいと思うし、なんかされそうになったら大声上げてよ」
 羅貴はウィンクをした。


「また悩んでいたら僕に話してくれたら大丈夫だよ。美しい女の子の相談は大歓迎」
 紅夜はその様子を見てかすかにほほ笑んだ。

 久しぶりに沢山投稿してみました。さて、これからこの物語はどうなるのでしょうか(*´艸`*)

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