ジム・ロジャーズの頭の中。


 東洋経済オンラインさんにかなり面白い記事が載っていました。


 ジムロジャーズさんといえば、世界の大投資家ですが、彼の発言を見ていると、なかなか面白いことに気付かされます。

 話の内容は、外国人である彼の目線で見て、日本にもこれから成長できる分野があるよ、ということなのですが、その

「目線、考え方、頭の中」

に一貫してある特徴が見え隠れしている、ということが面白いのです。


 それは、端的に言えば

「外国人労働者を安くこきつかえ」

ということです。


 たとえば、彼は「日本の農業はまだまだ伸びしろがある」と考えていますが、それは

「現状では、日本人農家が高コストで作物を作っているから頭打ち」

なのであって、

「農作業は、安い外国人労働者にさせろ」

とはっきり言っているのです。


 あるいは後半では「古民家などの日本の文化価値を利用しろ」とも言っていますが、そこでも

「労働者は安い外国人を使え」

と明言しています。


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 こうしてみると、欧米型資本主義の底流というのは、植民地主義時代からそれほど変わってはおらず

「先進国民は、安い途上国労働力をうまく使って、利益を集約せよ」

と言っているだけのことだとわかります。

 これは、資本主義の本質が、やっぱり

「資本家による非対称型の労働集約」

にこそある、ということの表れでしょう。


 この考え方が、つい先ほどまで一億総中流だった日本人に受け入れられるのか、あるいはそれを受け止めきれるのかは、現時点ではなんともいえません。

 欧米の人たちには、どのようにリベラルで言い訳しようと、その底流には基本的に

「人種差別的、国家差別的、地域差別的」

な観念が存在します。

 ジムロジャーズさんからすれば、

「日本人はおなじ先進国仲間なんだから、安い外国人労働力を俺たちのように上手く使えよ、おすすめだぜ」

と、むしろ極東アジアの日本人を高く評価してやっているつもりなのでしょうが、その裏にはなかなかの差別感、区別感がにじみ出ているというわけですね。


 しかし、このことは一歩間違えば、私達日本人が、欧米人から搾取される

「アジアの安い労働力」

とみなされる危険性も孕んでいます。だって、日本にはもう昔のような体力・余力は残っていないのですから。

 恐ろしいことですね。



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