院生・研究職の素質

こんにちは。
昨日、ツイッターで「修士・博士とるのなんて簡単じゃんという人に話をきいたら、だって院試って簡単だしということで想定しているレベルがわかった」(意訳)というツイートが割とRTされてました。

確かに院試はごく一部の研究科を除き、本学や京大ですら簡単です。
どれくらい簡単かというと数学・物理化学においていわゆる難問奇問がほとんどなく、時間制限も厳しくない。
要するにただの定期テストレベルです。
そう考えると東大・京大に学部から入るより院で「入る」のは簡単なのはまぎれもない事実です。

ですが、大学院というのは学部と違って140単位くらいあつめて、1年間研究室に通う(実質、院試休みや就活があるから4~7月、9月~2月程度)とかの緩いところではなく、研究をするところです。
特に文系だったら学部で研究室に1日中籠るが稀有ですし、法学部・経済学部とかだと卒論自体ないから研究そのものに対してのイメージがないからそういう発想がでるのでしょう。
※ただし修士課程の場合は後述するように研究室で大きく差があります。

では、大学院の1日とはどんな感じか。
おおざっぱに言うと(研究の系統と研究室で大きく違いますが)
9時に研究室にきて、途中1・2コマ(修士の場合M1に集中)講義を受けて19時か20時までは研究室にいる。
(19時か20時で終わればいい。特に医薬生物系とかの実験系は実験の都合そんな早く終わらないときもある)
必要があれば土日も研究室にいくか、研究のために準備(論文を読んだり、資料を作ったり)と言う感じです。
バイトですか?する暇は基本的にないと思います。
できてもTAとか学内バイト。或いは不定期の肉体労働とか。
少なくとも何時に研究室あがるか不定期である以上、大学の近くとか学内の中でしかバイトできませんし、いっそ不定期バイトをやる人すらいます。


そしてこの生活を続けられることが院生・研究職の素質の1つといえます。
つまり最低限の体力があることが必要です。

院生・研究職の素質の1つ目と言いましたので、他にも触れていきます。

・専門の論文を読む・書く・ディスカッション・できる程度の英語力。

これはホント研究室によるみたいですが、英語の論文しか書かないところもある一方、日本語でいいという生ぬるいところもあったり、英語でディスカッションするところ、しないところと程度差があるようです(修士レベルだと)。まぁ、博士以上だったらこんなのできなきゃお話になりません。
なのでTOEIC700とかそんなんじゃ最低限の学力も保証されてませんね

・専門に関する知識、また隣接分野に関する知識、および実験系であればそれらの実験手技

まぁ当然といえば当然ですよね。
院試が期末試験レベルでも、その分野のプロになるということですからこれもないとお話になりません

・必要に応じて何かを追加で決まった期間で学ぶことができる

で、専門の知識とかいうのは大学入試のように「数1・Aから数3まで」とか範囲が決まっているわけではなく、医学系だったのに物理・化学・数学を勉強しなきゃいけないという事例は多々あります(〇〇系なのに××を勉強しなきゃいけないは何にでも当てはまります)
この場合、院生ないしは研究職として当然朝から夜まで研究活動に従事している間、ないしは土日に新しい知識や技能を追加で学ぶということが必要です。
こういう技能って、試験範囲が決まっててしかもそれがかなり狭い大学入試の中ですら旧帝東工一橋とかに入れていない人に身に着けられるでしょうか?
僕は無理だと思います。
ちょっと話が逸れますが「大学入試なんて役に立たない」とか言ってる人、この「必要に応じて何かを追加で決まった期間で学ぶことができる」ということについて考えが及んでいないのでしょう。
この技能は研究職に限らず、どの職業でも発揮しなければならない場面はくるでしょう。
たとえば海外出張で語学力を身に付けなければならない、異業種参入でその分野について基礎知識をつけなければならない、最近流行のIOT関連で情報系の知識を付ける必要がある等等。
まぁそういう発想に思い至らないからウチや京大に入れてないのでしょうが。

・研究結果から考察をし、結論を出したり、必要な追加実験考察を考えることができる

正直これが一番重要でしょう。
実験系の教員は「実験程度は極端な話、小学生でもできる、知識は学部生でもつけられる。じゃあ院生・研究職に必要なものはなにかというと、そこから考察をしたり新規性を見つけることだ」(意訳)とよく言います。
確かにその通りで上述した要素は正直学部生でも備えてる人は備えてます。
我々博士号をもっている人間はこの「思考訓練」を磨きに磨いた人種なのです。そこが明らかに学部生と違います。

だって知識つけてるだけで新規性ないなんて本よんで実験してるだけの人でそれは研究者と呼べませんからね。
それは勉強ごっこです。

さて、こんなふうにかくと「大学院と研究職って怖いところだな」と思われたかもしれませんが、修士、と一ごくごく一部の博士は緩かったりします。
英語のところでも書きましたが日本語で議論して、テーマや考察も教授が手取り足取りみて、修論もどきを書く。というところもあります。
博士でも修論もどき、博論もどきしか書いたことない人が東大にいたりします(個人的にそうい人は博士号名乗るな本学の質が落ちるとおもっています、まぁ博士号はオックスフォードでとったしいいか)
それゆえ、修士程度なら研究室によってはゆるゆるで、ごくごく一部の博士もゆるゆるなので研究室次第じゃないんですかね。

一般的な博士やポスドク・企業内研究職はそんな甘いものではありませんが。



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