学歴コンプレックスの人に告げる

こんにちは。
先日、非常に悲しいニュースを見ました。
「母親が学歴コンプレックスで娘を是が非でも医学部に入れようとして、
娘は疲れ果てたあげく、モンスターペアレントだった母を殺害した」というものです。
ツイッターのトレンドにもなりました。

さて、
「東大や医学部には何浪してでも入る価値があると思い込みながら、自身は東大や医学部の学生ではなく、そこに対して異常なまでの執着心を持っており、中には何浪してでも入ろうとする人もいる」のが学歴コンプレックス略して学歴コンプという存在です。

ところで僕は東大離散→オックスフォード医学博士課程という学歴コンプの人にとっては羨ましい存在です。
が、自身の経験から今回は「学歴コンプの人が思うほど、東大や医学部というのは特別な存在ではない」ということを
1、東大に何浪して入れてもそんなに理想な生活はおくれないこと
2、医学部に~同上
3、では学歴コンプとどう向き合うか
の3章立てで話していこうと思います。

1、東大を特別な存在だと思う人々が思っているであろうこと
ア、東大に入れば大企業に入れる
イ、(ア、に近しいが)東大に入れば高収入になれる
ウ、東大に入ればすごい研究ができる
エ、東大に入ればすごい人たちと知り合いになれる
オ、東大に入れば幸せになれる

これに関して1つずつ順番に潰していきます。

ア、東大に入れば大企業に入れる。
これに関してはごくごく部分的には正しいです。
いわゆる大企業というのは書類選考で学歴フィルターというのをかけているというのはあるらしく、東大卒であれば落ちることは基本的にないと思われます。その点では正しい。が、2浪以上だと落とされることもあるようです。
また、これが最も重要ですが「俺は東大生だぞ!」といったところで東大にはひと学年3000人いますし(同時期に就活するM2、D3も含めたらもっといますね)、別に見世物小屋のバラエティテレビ番組では〝東大生〟にこだわるかもしれませんが、企業からしたら他の旧帝大や東工大、一橋、早慶の人々も学歴フィルターという「足切り」を突破した存在でどんぐりの背比べだし、理系の場合、一般東大院生より、優秀な他の旧帝大、東工大、そして筑波や神戸の学生だっています。
さて、大学受験という本来高校3年間で済むレベルの範囲がクソ狭く答えも対策もわかってるモノで何浪もしてようやく入れた人が、勝てるでしょうか?さっき言った通り、「俺は東大生だぞ!」といってもみんな東大生か、東大生でなくても相応に優秀な人たちです。
まあ、どこか1社は拾ってくれるかもしれませんが。

イ、東大に入れば高収入になれる

今現在新型コロナウイルスが世界中に猛威をふるっているわけですが、この状況下で安泰と思われていたJRや三菱重工といったところが苦戦しています。
3・11以前は東京電力に入れば勝ち組といわれてた時代もあります。
僕の親世代だと東芝・パナソニックが勝ち組だったそうです。

何が言いたいか?つまり、「大企業に入れたからといってその企業が存続するとかは限らない」わけです
いや、そんなこといったらいつ起こるか分からない南海トラフみたいなものだろwwwと言われそうですが、まぁ反論できる要素は他にもあります。

現在日本は終身雇用制度を維持できないかもしれないと経団連からも声が上がっています。となると、大企業の中で生き残るか他を渡り歩く必要がありますが、そのためには「どの企業にも欲しいと言われる高度な技能・実績をもっていること」が必要になるのではないでしょうか。もちろん会社に入ってからもアップデートし続ける必要があるでしょう。
そしてこれは先ほどの就活のくだりでいいましたが、そも入試程度に難儀してる人がそんな技能つけられるんでしょうか?

ウ、東大に入ればすごい研究ができる
入試程度に手こずってる人には無理でしょう。
研究というのは基礎学力に加え、必要に応じて新しい知識をつけていくこと、また大量の論文をよむこと、そしてそれらをもとに新規性をみつけること、へこたれない体力・気力が必要です。

エ、東大に入ればすごい人たちと知り合いになれる
まぁこれはある意味真ですが「〇〇と同級生だったんだ!」って虚しくないですか?その人と仲良くなれるかどうかは僕は知りません

オ、東大に入れば幸せになれる
これは偽です。
確かに私は東大に入っていろいろな研究をして大企業の研究職について、同年代ではありえないほどの収入を稼いでいます。
が、別に学歴や年収が全てではありません。
周りにいる人々に恵まれているか、健康であるか、インフラや治安はいいかなど、QOLというものは他の要素が大いにあるわけです。

2、医学部を特別だと思ってる人々が思ってるであろうこと
・医者になれば将来が安泰

これは否定しません。まぁある程度事実です。
現代日本で勤め先が破産せず、しかもある程度の高収入を確実に得られる職業と言ったら医者と公務員しかないでしょう。そして医者に関しては医学部に入ってしまえばほぼほぼ医者になれます。

しかし考えてみてほしいのは「医者というのが大変な職業であること」です
まず
・医学部に入ってからの勉強量は大学受験の比ではない(いわゆる数学の応用問題とかそういうのはありませんが、本屋いって『標準生理学』とか『ヴォート生化学』とか立ち読みしてください。ページ数に圧倒されると思います。これが他にも10個以上あると思ってください。・・・多浪してようやく受かった人にできますか?)
・日々アップデートしていく職業
医者になったらおしまいではなく、新しい治療法や薬、手技などについて勉強しなければいけません。

仮にこれらをクリアできても医者というのは当然ですが)他人の生命を預かる職業なわけですから中途半端な覚悟でやれるかという話です。

職業には向き不向きがありますので。

3、学歴コンプとの向き合い方。
最初に書いた通り僕は学歴コンプを発症するような立場ではなくむしろ羨まれる立場なので、そのような感情を感じたことがありません。
というより他人に劣等感を抱いたことがないです

「じゃあお前が学歴コンプとの向き合い方なんてわかるわけないだろ!」と言われそうですが、まぁよく聞いてください。

前述のとおり離散→オックスフォード医学博士で他人に劣等感を感じたことがない僕ですが、なんでも一番というわけではない(勉強・研究でさえ)のです。
私、学業以外はからっきしですしね。背泳ぎできないし、FPSへたくそだし。

だからどうした?って?
つまり「離散→オックスフォード医学博士という学歴コンプの人間からしたら最上位の存在の私でも、負けるものがある、絶対に」ということであり、
言い方を変えれば「別に学歴とかいうもの以外にも世の中は物差しがある」ということです。

人には向き不向きがあります。
受験なんて高校3年で終わるようにできてるし東大だって5・6割で受かりますのでそれに落ちてるということは勉強法が間違ってるんですよ。
これは客観的な事実です。

でもだからといっておしまいというわけでなく、別に東大(や医学部)に入れなくても、就活では研究成果を武器に大企業に入れますし、そもそも学業以外、エンタメとかスポーツとか活躍の場面はいくらでもあるわけです。
受験という狭い視野で人生を考えるのは止めたらよいのではないでしょうか。
先ほどもかきましたが東大に入ったからといって幸せになれるわけではありませんし、じぶんにとって楽しいもの、打ち込めるもの、があるはずです。
そして、ある分野(先ほどからいってる通り学歴〝では〟確かに私は至上の存在ですが)で一番になろうと、他の分野ではどうかわからないのです。
なんでもかんでも一番にはなれません。
見方を変えれば、誰だって負けるモノはあるので、まぁそういうものだよねという考えでその分野の優秀な人に敬意を払う。そうすると人生が楽しくなると思います。

大体、もはや東大・京大のみが大学ではないという風潮はできてきています。
先日でた日本版世界大学ランキングでは総合は東北・東工大の方が上ですし、教育成果では旧帝大の中で東大が一番下になっています。
他にもOISTなどが質が高い論文を出している大学として知られています。
地方帝大や筑波などにも目をむけるべきでしょう。
というかそもそも受験に拘泥するのはやめましょう。
何年も浪人して東大入ろうが別にそんな夢の大学ではないです。
他の大学もよいところなわけです。

それでも学歴コンプが抜けないという人は、学力適性ないので他の道を探しましょう。



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