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プラットフォームの"PMF"

小さな独占

START SMALL & MONOPOLIZE
 Peter Thiel

プラットフォームの "PMF" は「小さな独り勝ち市場を築く」こと. 表紙のeBayのPez、Amazonの書籍、Facebookのハーバードの学生、Uberはボストンの小学生、Airbnbの民主党全国大会は有名な話

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小さな独占とは、いま参入できる市場で、コアクラスターから、圧倒的に支持されている状態. 巨大なTAM!魅力的なSAM!はピッチまで。"PMF" は今日、いま、ここにあるSOM*に向き合う

* SOM(Serviceable Obtainable Market)

コアクラスター(N=1,000)

Acquiring the First Thousand Customers
  HBS case(Uber, Airbnb, and Etsy)

SaaSはコアカスタマー(N=1~10)でPMFできる. 一方で、プラットフォームはコアクラスターがChicken-And-Egg Problemを解決して、クリティカルマス(N=1,000)に到達しないとPMFが検証できない

1万通りの組み合わせ

プラットフォームの"PMF"を分解すると、コアクラスターと3つのピースがそれぞれ10パータン以上ある中で、すべてがハマる組み合わせ(10⁴+)をみつける挑戦

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PMFの分解

・コアクラスター(小さな市場の圧倒的な支持者)
 -企業規模、業種、特性(アーリーアダプター) …
・コアバリュー(AmazonのNapkin Sketch)
 -ローコスト、品揃え、納期、品質…
・マーケチャネル(顧客LTVで選択)
 -営業、インサイド、TVCM、WEB..
・プロダクト(クリティカルマスへのMVP)
 -EC、決済、発注、顧客管理...

地獄パズルへの挑戦

そんなプラットフォームの"PMF"の難しさは、地獄パズル の境地。手がかりがない単色ピースを、ひたすら試し、心が折れ、正しい判断力を失う…

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挑戦者へのエール

残念ながら私は「PMFを成功させる」体系的な方法論(銀の弾丸)を持ってない。今回は、勇敢な地獄パズルの挑戦者へエールを送るのが目的

其の壱:組み合わせ仮説を立てる!
其の弐:兵站を整えて補給戦を制す!
其の参:スケール前に検証できる!

其の壱: 組み合わせ仮説を立てる

1万通りを闇雲にトライするのは統計的に勝ち目がない。顧客解像度を高めて、まずはコアクラスターとコアバリューを固定して、組み合わせ仮説(ストーリー)を組み立てたい 

ネット印刷のラクスルの例

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心構えは、仮説があたる確率を高めるより、仮説の解像度が高くなったり、どこかのピースは固定化できたり、仮説が進化していく回転速度を保ちたい

其の弐:兵站を整えて補給戦を制す!

戦争の三大要素は戦略、戦術、兵站。その中で、何が勝敗を決定するのかを考察した「補給戦」の解説文

戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る
戦史家 マーチン・ク レフェルト

PMFは長丁場の補給戦に近い。優れたアイデア(戦略)、豊富な経験(戦術)よりも、何戦でも戦える兵站を整えることが成功確度を高める

兵站を整える
RIGHT RESOURCES AT THE RIGHT TIME

 必要な時に、必要なカネとヒトへの調達力
KEEP YOUR TEAM SMALL
 「やばい、間違った!」と急旋回できるチーム
KEEP BURN RATE LOW
 固定費を抑えて、長丁場に耐えれる財務体質

其の参:スケール前に検証できる!

なぜ小さな市場から始めるのか?小さな市場のほうが競争が少なく、差別化ができて、独占しやすいから。大事なことは、プラットフォームの差別化はすべて小さな市場で検証できること。

プラットフォームの差別化

・ファーストムーバーアドバンテージ
 → 初めて獲得した顧客は、絶対に奪われないか?
・ネットワーク効果
 → コアクラスター間でのNW効果は効いているか?
・スケールメリット
 → N=100→1,000で、スケールメリットを得たか?

逆にいうと、小さな市場で、独り勝ちできないようなら、大きな市場では絶対に勝てないと肝に銘じよう

ーー まとめ ーー

本当のPMF失敗

PMFの生みの親によると「成功」は明白らしい

YOU CAN ALWAYS FEEL "PMF" WHEN IT'S HAPPENING
Andreessen Horowitz

では、「失敗」はPMFが起きなかったことだろうか。エールを送ったように、仮説が進化し続けて、兵站が保たれていれば、それは成功への過程

「本当の失敗」の烙印を押されるのは、スケールアップしてデッドエンドを迎えたケース. POINT OF NO RETURN(大型調達、大量採用、大型マーケ 等)に立つ時に、PMF誤認/過信 になってないか自問したい

売上の"質"へのこだわり

PMFは売上の"量"ではなく、"質"を強くこだわりたい。 マーケチャネルとプロダクトがあれば、売上が伸びて外からも評価され、七難を隠せる

それでも "質"へこだわるのは、事業の将来価値を信じてPMFに向き合う事業家だけの矜持

小さな独占のミルフィーユ

"PMF"は、重ねていくことで強固な競争力を築ける. アマゾンプライムは「自宅で本を選びたい人に、すぐに届ける」だった. いまは複層化され、モノを選びたいから、音楽が聴き放題だから、ビデオを観るから、とミルフィーユが重なり無双を築いている

PMFを達ししたら、「事業拡張」と共に、「PMFの複層化」にも挑戦したい. 注意したいのはこの二つは似て非なるもの. 難易度も、事業家の特性も、異なるので混ぜるな危険!

事業拡張:
・PMFと近いコアクラスター/バリューで増やす
・チャネル・プロダクト・ラインナップを拡張

PMF複層化:
・異なるコアクラスター/バリューでPMFする
・地獄パズルをゼロからスタート

今回は、これからPMFに挑戦する勇者へ、地獄パズルの完成後の達成感はまるで天国気分というレビューの紹介と最大の敬意と表して終わりとしたい



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