医療事務が脳梗塞で入院した話・その17
ぼやぼやしているうちに、入院してから1年経ってしまいました。これ、昨年の話ですがな…。
一般病棟に移って、1人で病棟内を散歩できるようになってから気づいたのですが、ここの病院、個室の数が少ないです。
わたしが7日間もSCUにいたのは、個室の空きがなかったというのも、あるのかもしれません。
個室は思ってたよりかなり広いです。ホテルの部屋並みに広くて、1人では微妙にもてあます感じです。さすが7,560円。自分の病院で言うところの準特室と同じ値段。といっても、わたしの担当病棟には準特室がないので、実は自分の病院の準特室は見たことがありません。いや、たまに他病棟の患者さんに用があって訪ねる事もあるので、もしかしたら行っているのかもしれませんが、よその病棟の何号室が準特室なのかまで正直覚えていません。
ちなみに、7,560円というのは、どこの病院もそうですが、1泊の値段ではなく1日の値段です。1泊2日の入院なら、7,560円×2日で個室代は15,120円の支払いになります。入院料に沿って計算をするわけです。ああ、退院後に消費税が上がったから、今なら7,700円くらいかしら。
ところでわたし、個室に移ったら、楽しみにしていたことがありました。
窓からの景色を写真に撮ることです。
SCUからの眺めが良かったので、写真を撮りたかったのですが、スマホのカメラしか持っていなくて、しかもSCUはスマホ禁止でしたから、取り出すことが出来ず、一般病棟に移ったらあの山の写真を撮るわーとか思っていたのです。
で、注射も終わったことだし、写真撮るかーと部屋のカーテンを開けました。
「…………」
部屋は、山が見えない方向にあったのでした。
そこには寿司屋のチェーン店がありました。
「……お寿司食べたい」
常食が食べられるようになったら、ていうか、退院したら絶対お寿司食べに行くわ!と思いました。
ちなみに、ダンナちゃんに目の前の寿司屋のチェーン店を指さして、退院したらお寿司食べに連れてってくれといいましたら「何もはま寿司じゃなくても、もうちょっといいところに行こうよ」と言われました。楽しみにすることにしました。
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平成31年4月16日火曜日、個室に移ってバタバタしている間に昼食になりました。
入院食とかネットに上げてみたかったのよーもうこのほぼ形のないペーストが何と何で出来ているか当ててみてくれー。
ということで、早速twitterに上げました。
あ、当時のスクショ取り忘れたので、twilog見てみます。
その節はTLのみなさま、ありがとうございました。
赤と白のペーストはトマトサラダとドレッシングですよ。ダンナちゃんには見せられないアレですよ。ていうか、自分も形のあるトマトは嫌いじゃないけど、形のないトマトは嫌いです。つまり、トマトジュースがだめなのです。
ところで、真ん中へんにちょこんとある濃いオレンジ色はブイクレスゼリーというものなんですが、この昼食を持ってきたナースが、
「これ、どんな味がするんですか」
と聞くので、食べてみました。なんでそんな事を聞くのかと思いましたら、ビタミンたっぷりなんだけど、患者さんには嫌いな人が多いんだそうで、どんな感じのものなのか知りたかったんだそうです。
「うーん。何に一番近いかというと、カゴメの野菜ジュースって感じですね。わたしはこれ好きですよ」
確かに、野菜ジュースは好き嫌いあると思います。
ここで、退屈しのぎに自分が何をするか、ひとつ決まりました。
ブイクレスゼリーが、どの野菜ジュースに近いかを調べることにしました。
売店に行っても良いという許可が出たら、の話ですが。
■
ところで、入院してからというもの、山ほどMRIを撮ったわけですが、一般病棟に移って早速、ICがありました。経過報告というヤツです。ダンナちゃんに「夕方、先生の説明があるから病院に来てくれ」と言いましたら、ちゃんと来ました。
MRIを撮る度に血管の形が変わっているのを説明されます。
形が変わっているというか、実は画面を見てもよくわからないんですが、だんだん、右の椎骨動脈さんが細くなっていくのです。解離した血管壁がひらひらしてるのかしらーいやーーん。
この説明の時に、ダンナちゃんが主治医に質問をしました。
「介護用ベッドとか、用意しないといけませんかね」
あのー。
それ、飛躍しすぎー。
わたし、普通に歩いてますが何かーー。
「いや、普通のベッドでいいですよ」
主治医もこの人何ゆってんのという感じです。
いや、まあ、パラマウントベッドは魅力的だけど、正直、家ではいらんわー。
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あの時、ひょっとしたら入院するかもしれないなと感じて、前の月に誕生日プレゼントとしてもらったiPadをカバンに入れてきておいて良かった、と思いました。ただ、わたしのiPadは家のWi-Fiでしかネット出来なかったので、一般病棟に移ったその日、ダンナちゃんになんとかネット出来るようにしてもらいましたが、そうなるまではスマホが頼りのネット生活でした。まあ、その日のうちにダンナちゃんに臨時のネットワークを作ってもらったのですが。
ていうか、入院のパンフレットには、個室ならネットがつなげるみたいな事を書いてあるのですが、いくら探してもつなぐところがないのです。よくよく見てみたら、この時にはWi-Fiをつなぎたいときにはナースセンターに言って、申込書を書かないといけないって運用に変更になってたみたいなのでした。それに気がつくのにほぼ1日かかりましたがな。
まあ、1日くらいスマホでなんとでもなるので構いません。
SCUではテレビもなかったので、1週間テレビ見てませんでした。個室ではテレビカードがなくてもテレビが見られるので、久しぶりにテレビを見ましたけど、なんか、1週間世間から隔絶されたらニュース的には置いてきぼり食らった感じになります。
夕食を終えて、久々に見るテレビは新鮮だなあとか思いながら1週間ぶりのネットサーフィンをしていたら、誰か来ました。
普通に病院スタッフの誰かだと思って「どーぞー」とか言ってたら、
カーテンがめくれてひょっこり出てきた顔が。
ウロDrその2!?!?
「具合どう?」
「は!?先生!!」
「元気そうで良かった」
「はあ、まあ、手足は大丈夫です」
いや、ちょっと、先生、なんで来たの、見舞いなの? たかだか担当医事が入院したからって様子見に来るの? 他院に入院してるのにわざわざ来ちゃうの!? ちょっと、先生ってそういうキャラだったっけ!?!?
と、驚くくらいには、あり得ないことです…他院に入院した担当医事の様子を見舞いと称して見に来ちゃうとか…
わたしの担当する泌尿器科の常勤医師は2人いるので、twitter的にはウロDrその1、ウロDrその2と表していました。他に外来に来る医師が数名いますが、入院を持っているDrは当時2名で、わたしは入院レセプトをしていたので、泌尿器で対応していたのはそのお二人でした。
ウロDrその2は、ロボット導入のために大学病院から引っぱってきたのではないかと思っているのですが、ホントのところは知りません。わたしと診療情報管理士Sさんの二人だけの間で密かに「ロボットパイロット」と呼んでいました。いや、だって、どっかの学会のサイトに名前が載ってたりそう書いてあったりしたので。
ロボットの算定のあれやこれやを気にしてみたり、DPCのカバジタキセルの分岐で関連病院から気になることを言われたけど実際どうなのよって言ってきたり、とある検査の病名はこれでいいのかどうか調べてよって外来でしかやらないことまで全部入院のわたしに聞いてきたり、先進医療の前立腺針生検についてあれこれ打ち合わせというか本来やるべき医事課職員をすっ飛ばして直接指示をしてきたり、割と算定的な事は気にしていた先生なのでやりとりは多かったんですけど、まさか本人が来るとは。
ツイートもしたんだけど、その前に上司にこの驚きをLINEしてましたよ。
そしたら、やっぱり行ったか…って感じだった。
医事の部屋にわたしのフルネームを聞きに来たんだと。フルネーム言わないと何号室にいるか教えてもらえないから。いや確かにどこの病院でもそうだけどさ。
自分の術後の患者が脳梗塞起こしたんでこっちの病院に送り込んだ事があって、術後だから毎日ガーゼ交換に通ってたのが後で判明して職員さんとわたしでびっくりしてた事もあったけど、それもあるからこっちの病院の作りはご存じでしたよねーそうですよねー。
ていうか、ガーゼ交換は入院先のスタッフに任せようよ、先生…。
いやはやまったく、家族以外で一番最初に見舞いに来てくれたのが先生とか、もうびっくり以外の言葉がありませんでしたよ。で、別に親しくしている訳ではないので出入口カーテン付近から近づいてくることもなく、そしてあまりの驚きにわたしも座る椅子を勧めることも出来ず呆然としていたのですが。
「早く復帰してね」
と言って、去って行きました。
そう仰っていただけるのは、大変ありがたいことです。わたしの仕事が一定の評価をされていたのだな、と感じました。ありがとうございます。
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