医療事務が脳梗塞で入院した話・その15

朝は頭痛で目が覚めます。

毎度毎度頭が痛いと訴える患者なので、病棟の常備薬をもらっていましたが早々に自分用の処方が出ました。最初はどうも頓服で出ていたようですが、その内1日3回飲むように調整することになりました。ロキソプロフェンは飲んだら8時間空けないといけないのだそうです。

えええー。

ロキソプロフェン飲んでも痛くなくなるわけじゃないのに、ちょっと痛みがマシになるってだけなのに、8時間耐えなければならないとかー。

飲む時間の調整に苦慮していると、主治医が朝昼夕食後で良いよと言い出しましたが、それをやると夜中に頭痛で目が覚めるので、結局、ナースとの相談の末、朝食後(8時頃)と14時と22時に飲むというペースで固定しました。朝食後の分の時間がちょっとあれだけど、まあいいじゃん。

わたしが見ていた限りでは、外科のDrや整形外科のDrは術後の患者に痛み止めとしてロキソプロフェンを出すのですが、泌尿器のDrは揃いも揃って術後の患者にカロナールを出すのです。ロキソプロフェンには術後の鎮痛が効能にあるから、当たり前の処方なのですが、カロナールには術後の鎮痛って効能はないので、医事的には困ります。レセプトに、カロナールの病名くださいって付箋つけるヤツです。そして、ほぼ腰痛症が付いてきます。いわゆるレセプト病名です。

入院して以降がっつり行っていた点滴がその役割を終え、少しずつ減っていくにつれ、飲み薬に置き換わっていくのですが、薬が変わる度に説明に来る薬剤師さんにそこのところを訊いてみました。

ロキソプロフェンは、腎機能に影響があるから、だそうです。

なるほど納得、長年の疑問が解決しましたが、こんなところに来てまで仕事の話をしてるとか、我ながらあほですわ。

病院の消灯時間は21時なので、SCUも21時には暗くなります。22時に薬を飲むことにしていたので22時までは起きていますが、なに、21時なんて時間に寝付けやしませんからそこは問題ないです。なんなら22時前に眠くなればその時点でロキソプロフェン飲んで寝てしまいます。

22時に寝たとして、だいたい夜中の2時か3時にはどうしても起きてしまうので、そこからずーっとうつらうつら状態で朝が来るのを待ちます。そのうち頭痛がひどくなってくるので、ああ、朝が来たなとわかります。

朝が来て「今日は10時からお風呂ね」と言われました。その時点で風呂はほぼ1週間ぶりです。ずっと入れなかったので毎日身体を拭いていましたが、やっと風呂に入れるのかーと思ったのですが、

「湯舟はつかれないからシャワーだけどね」

あ、そういうことね。

風呂の枠を取るのはなかなか大変らしく、やっと枠が取れたといって担当ナースはにこにこしています。

10時から10時半の枠へ目がけて、いそいそと準備をします。準備というのはお風呂セットを出すのは当たり前として、留置針をでっかいシールでカバーするのにけっこうコツが要るっぽいです。専用のシールってかなり薄っぺらくて、ちょっと失敗するとぐしゃぐしゃっと…皿にラップをかけるのを失敗する感じになっちゃったりするのです。

時間になったので、いざ出陣!と担当ナースと看護助手さんの付き添いで風呂に向かいます。

向かいます、とSCUを出て歩き始めたところへ、一般病棟からナースがやってきて言いました。

「ごめーーん!術前の人が急いでお風呂入らないといけなくて、10時から10時半の枠譲ってーー!」

担当ナースはえええーーーって感じでしたが、当事者のわたしが「あら大変、戻らんなん」って反射的にUターンしちゃったのです。

「えっ、いいの!?」
「いいよ、オペ患優先じゃん」
「えっ!?」
「10時半から11時の枠に入れば、次のリハビリさんが来るまでには間に合うからいいよ」

あ、まあ、こゆみさんがいいんなら、いいけど……みたいな感じでSCUに戻りまして、10時半からの枠をのんびり待つことになりました。

せっかく枠が取れたのに、申し訳ない。でも患者さん優先ってのがもう染みついちゃってるみたいで、条件反射で引き返しちゃったのよー。

と、思ったけど。

わたしも患者だった! そう言えば!!


「広い心でゆずって差し上げたんですね」

看護助手さんはそういうんだけど、条件反射で引き返しただけで、心が広いわけではないわー。ていうか、風呂の順番譲るくらい大したことないじゃろ。

だがしかし、考えてみればナースも看護助手もこの後の予定とか狂いまくったと思われるので、そこは申し訳なかったけど。

ところで、看護助手さんと言えば、うちの病院ではその辺のパートに出ようかなーとか考えたママさんたちがどっかの派遣会社から派遣されてきてて、17時15分きっかりに帰って行く人たちなんですが、ここの病院の看護助手さんたちはみなさん、介護士の資格をお持ちなのだそうです。

要介護の患者が多いから、だそうです。なるほど確かに。

で、助手さんも夜勤してるのがびっくりでした。だって、夜もお茶配ってたり、朝6時過ぎに新聞持ってきてくれたりするんだよ、これ夜勤してるってことじゃん。

助手さんの話はさておき、風呂の順番が来まして、今度こそ入ります。

と言っても湯船にはつかれません。湯船につかる許可が出るにはリハビリさんの見立てが必要で、実は湯船につかる許可が出るまで結構かかりました。

シャワーでもなんでも構いません。もう頭を洗いたくてしょうがなかったのですよ。最後に風呂に入ってから1週間以上経っていたんです、風呂に入ったのSCU入院7日目ですからね。

ていうか、髪を洗えないので抜け毛がなかなかすごくて、ゴミ袋が髪の毛でいっぱいだったのですよ。1年に一度しか美容院に行かないので髪がある程度長い上に、抜け毛がもともと多くて、髪を洗えばごっそり抜け毛が出るので数日は抜け毛ゴミが減る、みたいな感じです。

で、何をしようがとにかく立っていられないので、座るんですが、風呂場にあるのは当然オーソドックスな風呂用介護椅子です。さすがに。ここになくてどこにあるのよって感じですが、まっとうな介護椅子がありました。

頭洗ったり身体洗ったりする時に座るのにちょうど良い感じの高さで、うちに帰ったらこんな感じの風呂用介護椅子ほしいなあと思いました。

この入院生活の間に、いろいろな介護グッズやいろいろなリハビリグッズを見まして、今後の生活の参考にしようと、思ってました。

実際は思っただけだったなあという感じでしたが。

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