医療事務が脳梗塞で入院した話・その6

落ち着いてないかもしれないけどちょっと落ち着いたところで、お茶飲んでねということになりました。

今まで毎日どのくらい水分を取っていたかも訊かれましたし、このあともせっせとお茶が配られることになります。

脳梗塞にならないように水分摂取は大事ですし、脳梗塞になっちゃっても水分摂取は大事です。

うちの病院もですが、ここの病院も、患者に配られるお茶はこの辺一帯では番茶と通称してますがいわゆる棒ほうじ茶です。

しかしですね、わたし水っちゅーか液体を飲むことが出来ないので入院したんですが……。

そのお茶は普通に注がれたわけではありませんでした。

コップの中に、ナースセンター常備の「とろみ剤」をスプーン何杯か入れ(何杯入れるかはその人の症状によるがわたしは1杯)、そこにお茶を注ぎ、急いでぐるぐるっとかき混ぜるのです。

急いでかき混ぜないとダマになります。

そうやってお茶にとろみをつけると普通の液体ではむせて飲めない人でも飲めるらしいです。

わたしも前日夜からむせまくっているので、飲んで大丈夫かなとつい手が止まるのですが、飲んでみたらあら不思議、とろみがつくと飲めるのです。

ホント不思議です。「やっと飲めたーー!」という感じです。

なるほど、入院セットの中にコップが二つあるのは、ひとつはうがい用で、もうひとつはこのようなお茶などの飲み物用のようです。

「脳卒中センターというところに入れられて、お茶にとろみがつきました」

と、上司にメールしたらナースに「ここの部屋は携帯スマホは禁止なので電源切ってください」と言われました。

あらららごめんなさい。慌てて携帯の電源を切り、スマホの電源を切ったので、この時点で世間から隔絶されることになりました。

なので、ここの病棟にいる間に世間で起こったことはよくわからないのです。

ただ、ここの部屋つまりSCUでは、ということであって、ここの病院は一般病棟に移れば携帯スマホはOKで、Wi-fiも申し込みをすれば使えるのでした。

ていうか、もらった印刷物に個室ならネットつなげるとあったのですが、実際はネットに繋ぐ端子が見つからず、Wi-fi使用の申し込みをして使えるようにしましたがそれは一週間後の話になります。

子供の頃からヒマがあって活字があれば取りあえず読むタイプなので、もらった書類に目を通しまくってるわけですが、病院のパンフレットから個室料金の説明書からなにから、何度も読みました。

もっとも、何度も読んだからと言ってすべて頭に入るわけではありません。

読み終わると退屈そうにしているわたしにナースが「何か読みますか」というので読む物をもらうんですが、あまり興味を引く読み物がないのですぐ読み終わります。

興味のあるものでないと目に入らないというだけなのかもしれませんし、単に老眼が進んで活字を読むのが疲れるだけかもしれませんが、そもそもずっと頭が痛くて集中することが出来ません。

あと、SCUでは朝夕みたいな感じで血圧を測ります。もっと測っていたかもしれません。

これが170とか未だかつてない高さでびっくりです。

会社の健診とかではだいたい上が110~120で下が70~80な感じで、若い頃よりは随分高くなったんですが全然高血圧ではなかったはずが、これ。

自分いつの間に高血圧になったんやとか、副腎腫瘍2×1×1センチのを持ってるから泌尿器科Drに「高血圧になったら受診して」って言われてるんだけど退院したら行かなきゃなのかとか、どうしよう、と思っていたら、

「血流が良くなる点滴入ってるから、ちょっと血圧高くなるのよー」

なんだよーびっくりさせんなよーという感じです。

それから血圧測ると同時に朝夕の頻度くらいで訊かれることがありまして、「今日は何年何月何日ですか」「生年月日は」「ここはどこですか」もちろん全部正解するのですがSCUでは毎日訊かれます。

そして両腕を水平にあげて目をつぶってと言われて上げると左腕が揺れて安定しませんが毎日やります。

足を片方ずつ動かすのも何の支障もなく出来ますが毎日やります。

ナースの指と自分の鼻を人差し指で行ったり来たりも問題なく、聴診器のひも部分の「真ん中を指してください」も問題なくても毎日やります。

ナースの指が左右に移動するのを目だけで追うというのをやると、指が真ん中にあるときは問題ないですが、左にずらすと指の横にくっきり影が出来ます。

右にずらしても指の横にくっきり影が出来ますが、そもそもわたし視力がよろしくなくて、近視がそれなりで乱視がひどくて老眼もあるので普段は遠近両用のコンタクトを入れていますが「最近コンタクトが合わなくなってきたのでそのせいじゃないかと思いますけど」とか言ってました。

これあとで調べたんですが指が2本に見えると複視ってことみたいです。

わたしは、はっきり2本に見えるわけじゃなかったので、多分コンタクトが合ってないだけだなあと思います。

退院時にもらった脳卒中地域連携パスを読むと「右瞳孔やや左より小さい」と書いてありますが、関係ないような気がします。

で、夕食の時間になりました。

18時をちょっと過ぎた頃に食事が運ばれてきます。

この、食事が運ばれてくる時間なんかも決まり事みたいなのはあって、ごく普通の一般病棟の話をすると、入院時食事療養費は普通なら患者負担は1食460円だけど、レセプト請求では入院時食事療養費(Ⅰ)→640円と入院時食事療養費(Ⅱ)→506円があって、施設基準を達成し且つ届出をしていれば(Ⅰ)が取れるわけです。

(Ⅰ)の640円を請求するのであれば、患者に460円もらって、残りの180円を支払基金とか国保連合会とかに請求するし、(Ⅱ)の506円を請求するのであれば、患者に460円もらって、残りの46円を支払基金とか国保連合会とかに請求するって感じです。

その留意点として実際に病棟で患者に夕食が配膳される時間が原則として午後6時以降とするってなってて、つまり(Ⅰ)を取る場合には夕食の配膳が18時を過ぎていなければならないのです。

それを17:59とかに夕食持って来ちゃってた事が判明して(Ⅰ)は取れません(Ⅱ)に減額しますって支払基金とか国保連合会とかに大きな額の返金をしなくてはならなかった例があったのです。

それで、食事が来た時に「ああ、ちゃんと18時過ぎてるな」って思ったわけです。

来た食事ですが、まあなんというか、形があるものは全粥だけでした。お粥は普通につぶが見えるお粥でした。問題はおかずが、ねー。

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これは一般病棟に出た時の食事なんですが、だいたいこんな感じのミキサー食というかなんというか、なにかわからないので色と味で判断するというね…。

内容は一応メニューが印刷された物がトレーに乗っては来るんだけど、緑色を小松菜と当たりをつけて口に入れたらブロッコリーだったとかいうくらいには謎の食べ物になってます。

で、最初のうちはこの形でも飲み込みに大変苦労しまして、食べるのに1時間かかりました。途中で疲れてきて、休憩しながらなので、そんな感じになります。

途中で何度もまだかなまだかなもう食べたかなーって見に来られるんだけど、早く片付けたいのはわかってるんだけど、わたしもさっさと食べてしまいたいんだけど途中で疲れちゃって、まあなんというか、なかなか食べられないのでした。

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