見出し画像

シナリオライターになろう・後編

夢が壊れる前回の話はこちら。要約すると、技術だけではどうにもならんということ。

それではあまりにも悲しいので、現実的な方法を考えるため、続きを見ていこう。

4.自分で作る

同人ゲームでもいい、自費出版でもいい。サークルに加わるなり立ち上げるなりして、その作品のシナリオ制作に携われば、シナリオライターを名乗って然るべきだろう。
そこから話題になって商業デビューすることも珍しくはないし、アマチュアでもセミプロでも熱意の籠った創作物を世に送り出しているという偉業を為していることに変わりはない。
それに言ってしまえば私の属するADV界隈なんて同人の方が勢いがあると言われる始末だ。そのせいか「商業は同人よりやる気がない」とか訳のわからん非難を浴びることもあったりなかったりで……ダメだダメだ、私ともあろう者が根拠のない悪口ごときで取り乱してなるか。

5.勝手に名乗る

申し訳なかった、これだけは運も縁も関係ない。なぜなら自分で”私はシナリオライターです”というだけなのだから。
うん、さすれば貴方も今日からシナリオライターだ、おめでとう、一緒に頑張っていこうぜ。

そんなわけあるかと思っただろうか……しかしそんなわけがあるのだ。
クラウドソーシングやスキルシェアのサービスなどを覗いてみると、ライターの仕事欄の中に「動画漫画のシナリオ書きます」「音声作品のシナリオ書きます」といったものが溢れていることがわかる。あれらを出している方のほとんどは、未経験の頃から副業やアマチュアとして執筆をしており、自らをライターと名乗っている。結果と実績を後から付けるパターンだと言えよう。
つまりラン◯ーズやココ◯ラなどのサービスを使えば、誰でも簡単にシナリオライターになることができる。なるだけならばデメリットや障壁もないので、どうしてもという場合には挑戦してみるのもいいかもしれない。

ただ私個人としては、クラウドソーシングやスキルシェアのサービスを受注に使い”続ける”ことに関しては、非常に強く反対している。これはサービスや発注側が悪いというわけではなく、仕組み上どうしようもないことが理由に含まれてしまうのだが、今は「いつまでも1文字1〜2円で仕事してないで、きちんとサービスを卒業することがライターとしての第一歩」とだけ申し上げておく。

余談ですがFAQ

Q.小説サイトに投稿を続ければ、いつか実力を認めてもらえるのでは?
A.それもコンペルート、いきなり書籍化は無い

それによって実力を認めてもらえるということは、サイト内で人気が出たり、そこで開かれているなんとか大賞やうんぬんコンテストで入賞するという意味にならないだろうか。それは1.でコンペを目指すのと同様、我々凡人には至難の業だ。趣味の範囲でならともかく、本気があるのならどこかしらで勉強してはどうだろう。というかこの場合、なれるのは作家では……?


まとめると

つまり入賞するにしても、就職するにしても、そのための人と巡り会うための運がどこかで必要になる。私含めシナリオライターになれた人たちが、この手のハウツーや自叙を披露するときは「自らの運の良さをひけらかしているだけ」ぐらいに思っておいたほうが精神衛生上よろしいだろう。

起業で成功した方だって、話を聞いてみると「知り合いに投資家がいた」「折りよく事情通に声をかけてもらえた」など運と縁に恵まれたケースが多い(だから本人の為した努力に焦点を当てず、大成の事実のみを手放しで持て囃す風潮は、なんか違うと思う)。
もちろん日々の努力を積み重ねれば力も付き、良い人を呼び寄せるエネルギーになるが、やはりどうにもならないことの方が圧倒的に多い。
そんなとき、趣味として楽しむことで憧れと折り合いをつける、自ら道を切り開く勢いで6つ目の方法を模索するなど、自分がどう動くかに注力することが大切になってくるのだ。


幸い皆さんは私と巡り会えた。こんな自分の話でよければ、いくらでも記事にしようじゃないか。なんだったら直接訊いてくれたって構わない。ほら、ページの最下部にクリエイターへの問合せ口だってある。
ここまで遣る瀬無い現実を突きつけられてもなお、夢を諦めない鉄の心を持った未来のシナリオライターと出逢えることを楽しみにしている。
と、締めさせていただくことにする。

ありがとうございます、おいしいチーズを買います。