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フィールド・ライブ配信の使い道 「撮影実況」と「リモート撮影」

動画の撮影機能はデジカメの登場とほぼ同時で、少しづつ性能をアップし現在では4K、8Kを撮影できるようになり、さらにオンライン会議や配信に使えるようにPCのWebカメラとして機能するようになりました。高画素化とリアルタイム活用が動画の進化の方向になっています。

データの扱いで表現すると、①メモリーカードに動画を記録して後で再生できる ②PCと組み合わせることで動画を配信できる ということになります。

そして去年Panasonicが、フィールドでのライブ配信が気軽にできるLUMIX GH5Ⅱを発売しました。GH5Ⅱでは ③スマホと組み合わせて動画を配信できる という機能が実装されました。

②と③は同じように見えますが、何を配信するのかで大きく意味が違ってきます。 特にGH5Ⅱではカメラとスマホをワイヤレスで接続するためカメラのハンドリングは通常の撮影と同じにでき、場所を選ばす身軽に利用することができます。


「撮影体験」を配信する

現在は何かのイベントを配信したり、会議のために自分の姿を配信することが「配信」の中心になっていますが、ワイヤレスで配信できるようになることで撮影体験そのものを配信コンテンツにする世界が見えてきます。

現地から撮影を配信することから「撮影配信」です。「撮影実況」とも言えます。

撮影は失敗と成功の繰り返しです。オートモードにしておけば失敗写真は無くなるというのは幻想で、失敗しないように手段を講じて思い通りの撮影を実践することが楽しさの中心にあったりします。そういう意味でゲームに近い体験です。

特にアマチュアでは、プロと違って技術や経験が未熟なため、撮影ノウハウの獲得から始まり成長ゲームの要素が強くなります。新しいカメラやレンズを買うことはリアル課金アイテムであり、ゲームを有利に進めたり新たな課題になったりします。

ゲーム実況によって課題を克服したり、さまざまなテクニックを駆使する様子を配信することで、コミュニティの中で共有され楽しい体験へ繋がっています。

#ゲーム実況 - YouTube

ゲーム実況と同じように、撮影中のスルー画を配信し音声解説を付けてゲーム実況のようにするというのが考えられますし、広角カメラを別に被写体側に向ければ広いフィールドから撮影者がどの部分を狙っているかが明確にできます。撮影者側に向ければ撮影解説をしっかりと届けられます。


自宅からフィールド撮影とコラボレーション

コロナによって外出ができなくなった時期に、日本中世界中にいる撮影者が自分の身近な場所を皆に配信し、コミュニケーションを取りながら被写体やアングルを設定しシャッターを切ってもらうというサービスが実現できたら楽しいだろうと思っていました。

似たような事例として「ライブ配信旅行」というのが出てきました。これまで自分が実際に行かなければ旅行とは考えなかったのと思いますが、現地スタッフによるリアルタイム/双方向コミュケーションを実現することで「旅行体験」になっているということなのだと思います。

現地に行ってカメラを設置する人と、カメラの設定を変更してシャッターを切る人を切り分けることは、大御所カメラマンの撮影でもこれまで普通におこなわれていたことです。チームでコラボレーション撮影をおこなうことは否定されるものではなくクリエイティブな作業としてこれからのスタンダードになってくる可能性があります。

現地から配信された映像から撮影するため「配信撮影」です。「リモート撮影」とも言えます。

写真(映像)を撮ることは脳内のイメージを外在化する「変換作業」です。その作業の中に言語化を通して他者とのやり取りの中に意図的にノイズを発生させてクリエイティビティを向上させる考え方は、作家と編集者のような極めて生産的なものになります。


究極のフィールドカメラ 宇宙からの撮影「STAR SPHERE」

いつも新しい挑戦で驚かせてくれるソニーからまたしても新しい映像の楽しみ方が提案されました。

遠隔地にあるカメラをコントロールして撮影することは、スポーツイベントからお天気カメラまで様々なところで使われていますが、あくまでも特定の事業者が価値の高い映像を得るための手段となっていました。

STAR SPHEREは宇宙と言う特別な場所にあるカメラの撮影権そのものを販売しようとする試みであり、私たちにかけがえのない体験を提供してくれるものとなります。


このような配信撮影を私たちは「撮影体験」と感じることができるのか? 撮影した映像は「自分の写真」なのか? という感覚的な問題と向き合う必要があります。

「撮影配信」と「配信撮影」の2つのパターンは5Gなどの通信インフラの発展によって今後ますます充実してくるはずです。VRを実体験と認識するように撮影の認識もアップデートしていきます。


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