フォトレシピとフォトカルテ
クックパッドが登場しレシピというコンテンツによってコミュニティが作られていく様子をみて、写真やカメラの世界にもこのようなレシピコミュニティが欲しいなと直ぐに思いました。
その頃はカメラを大量に売るために、オート撮影が中心でカラーバリエーションが充実していることが重視されており、ユーザーに説明しにくい作画表現のための機能は邪魔だとさえ思われていましたのでフォトレシピの提案をしても聞いてもらえませんでした。
それから10年以上がたった今年のCP+では、クリエイティブや表現という言葉が並んでいるのを見ると、もっと早くに作画表現を中心にしておけばスマホとの戦いも違ったものになっていたのではないかと感じます。
レシピからカルテへ
今ちょうどTVドラマで「にじいろカルテ」と「神様のカルテ」という二つの番組が放送されており”カルテ”という単語が気になっています。
写真の世界では現在「フォトレシピ」がCanonのサービスの中で使われていますが、「フォトカルテ」というコンセプトにも魅力があると思いその違いについて考えてみます。
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Wikipediaによると「レシピ」の語源はラテン語の「(命令を)受け取る」という意味で受動的なものです。マニュアルに近い役割です。
メーカーや写真家がこれから撮影する人に提供する情報としては「レシピ」という表現は合っています。
一方「カルテ」はドイツ語のカードを意味しており情報をストックし活用するものです。撮影活動の記録というニュアンスが強くなります。
つまりカルテは科学における実験ノートであり未知の世界へ進むための足跡のようなもので、撮影後に作られ、その情報を次の撮影にフィードバックし進化させていくことが重要な部分です。
もしかすると私たちに必要なのはレシピではなく、自分のことを知り高めていくことができるカルテなのかもしれません。
自分の撮影を俯瞰するダッシュボード
フォトカルテは、1カットごとに作られるだけでなく、その日の撮影や年間を通した撮影活動全体に対して撮影枚数、レンズや画角、F値の使用頻度などを自分自身にフィードバックすることで新しい気づきを得ることもできます。
またそれらはコミュニティのメンバーと比較することができればより自分自身のことを客観的に知ることにつながります。
ダッシュボードによる情報が撮影に対してどのような影響を与えるかについてはまだ明確に分かっていません。どのカメラメーカーもPCアプリやスマホアプリとの基本的な連携機能をもっており直ぐにでも実現できますので色々な提案をして欲しいと思います。
センシングデータ活用
またカメラの設定や出力結果を集めるだけでなく、センサーによって振動や音などを集めそれを集計することで様々なことを知ることもできます。
産業機器では、機器の故障を検知したり、故障する前の予兆を検知するという使い方がほとんどでしたが、ディープラーニングを始めとするAI技術の登場によってユーザーの操作のような常に変化しているようなものに対しても検出が可能になってきました。
分かりやすい例では、ある機器をエキスパートが操作したときとビギナーが操作したときの違いを示すことでよりエキスパートの操作方法を学習していくというものです。
現在のカメラは手振れを検出し補正するために加速度センサーが内蔵されているため、そのデータ活用をユーザー操作の特性抽出に使うことができます。
フォトカルテ、フォトダッシュボードの中で操作ログだけでなくより細かい撮影行為全体をデータとして可視化しフィードバックすることで、課題の明確化、技術の向上といったことをもっとゲーム的なチャレンジとして楽しめるようになるかもしれません。
ランニングやテニス、ゴルフなどセンサーを使ったフィードバックをトレーニングに活かし楽しんでいる人たちが沢山います。フィールドで被写体を追いかける写真の世界もスポーツの要素を取り込んでいけます。
久しぶりにフィールドに出た
天気が良かったので数カ月ぶりに大きなレンズを持って自然の中を散策し良い汗をかくことができました。まだ虫たちは目覚めていませんでしたが植物の方は一早く春の表情を見せ始めていた。
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