見出し画像

マル秘展は聴いてから行くのがマル。28時間9分51秒の空間

マル秘展にようやく行くことができました。一つは人が少ない時期にじっくり観たかったことと、全てのポッドキャストを聴いてから行こうと決めていたからです。

これがスゴイ正解だったのでシェアします。

田川さんのツイートで、マル秘展の予告を知ってからしばらくしてポッドキャストについても案内がありアップされるのに合わせて聞いていきました。各氏の作品画像と合わせて、声のトーンや話し方、話の内容から作業場の景色をイメージしながら聴いていました。

画像7


「お前か、お前だったのか!」

21_21を訪れ展示会場を観てまわるとポッドキャストで聴いた話が甦ってきました。それぞれのものに対して「お前か、お前だったのか!」という感動が湧き上がり、自分の脳内で作られたイメージと実際に出逢ったものとのギャップに「おー」とか「はぁー」とか口から出てきちゃいます。

知っているつもりでいたのに、実際に会ってみると本物の凄みに圧倒されてしまいます。まるでアイドルのライブに初めていった感じです。

一番意外だったのが、とにかく圧倒的なアナログ作業「手仕事」だということです。デザイナーが作り出すものは手工業と違いあくまでもアイデアやプロトタイプであるわけですが、それに迫力があるからこそ量産品に乗り移るのだと感じました。コンピュータ以降の仕事でも手で考えているということが「マル秘」の中身なのかもしれません。

それぞれの感想については無限に紹介できそうですが、私が感動した3名の方のポッドキャストと展示の感想を紹介しておきます。他にもたくさん写真を撮っているので紹介したいのですがそれはマル秘ということにしておきます。


須藤玲子さん (テキスタイルデザイナー)


画像7

画像3

立体的な構造体としての織物。立体が平面に圧縮され、人が着ることでもう一度立体的な動きが蘇る

ポッドキャストで聞いていた「奥行きのある平面」を感じられる展示がたくさんあり引き込まれます。構造が積み上げられる順番=空間と時間を感じるられ、さらに「動き」や「朽ちる」という部分についてはポッドキャストの中で田川さんたちが嬉しそうに話していることがから想像して観ることができました。

テキスタイルがなぜ魅力的なのか分かった気がします。建築的でグラフィック的でプログラミング的であることが同居しているからだと思いました。



隈 研吾さん (建築家)


画像4


描きなぐったキースケッチ(コンセプトドローイング)を起点として、大量の立体モデルと文章が生み出されていく

建築模型の周りを埋め尽くす圧倒的なテキストの量。ポッドキャストの話の通り全然読めませんでしたが(笑)、単なるキーワードや指示ではなく、ちゃんとした文章であることは分かりました。つまりコンテキストやストーリーを含んだ意味としての建築がモノとしての建築と「対」になる形で存在しているのだと感動しました。

私も文章でデザインするタイプなので、圧倒的な書類を観てもっと精進せねばと背中を押されました。




柴田文江さん (プロダクトデザイナー)


画像5

とにかく細かく形状の狙いを示してカタチだけでコンセプトを伝え切ろうとする「直し」のプロフェッショナル

画像6

カプセルホテルの入り口と、パンフレットの取っ手と、9hのロゴの穴の形が心地よさを表すアイコンになっている

色々なところで人間中心設計プロセス、プロトタイピングの重要性が言われていますがそれらは「直し」ができなければ不完全燃焼で終わってしまいます。柴田さんの展示は「直し」に対する執念が凄いと感じさせるものでした。

ポッドキャストで「むっちりした形が好き」と言っていて、それを実現するのに本当にわずかな曲率やベクトルの違いを感じているのが分かります。それを見れただけでも、日々のデザイン活動の中で「妥協しないぞ」と思えました。




モノから時間と空間を味わう

noteやTwitterでは、デザイナーの思考やプロセスを観れた、スケッチやモデルが作品として素晴らしいという感想が多いみたいですが、私はポッドキャスト聞いていたことで、モノの迫力にプラスして、それが生み出された場所や背景、考え方と合わせて「マル秘」を知ることができました。

改めて実際どのくらいの時間ポッドキャストを聞いたのか集計してみました。合計時間はなんと「28時間9分51秒」でした。カサカサと紙をめくる音、電話の呼出、虫の声など本当にその空間にいるような気分を長時間にわたって味わっていたことになります。

インタビュアーの田川さんは事前の段取りも含めて大変だったと思いますが、本当に感謝しかありません。

画像 1


マル秘展は3月8日まで、ポッドキャスト参戦は急げ!

ポッドキャスト参戦をしようと考えている方は少し急いだ方が良さそうです。一日一人分を聞いたとしても25日が必要です。

もちろん気になるデザイナーの分だけ聞いていくだけでも、すごく感動できます。

また、展示会を観た後でポッドキャストを聞くことで、観たものの意味を初めて知るというのもあると思いますので、既に観てきた人もポッドキャストを聴いてみてはいかがでしょうか。きっともう一度いきたくなると思います。


全てのポッドキャストはこちらから聞くことができます


画像8



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?