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Z9と冬季オリンピック <完全ミラーレス時代の始まり>

オリンピックとカメラの関係の深さはこのnoteに何度も書いているので割愛しますが、オリンピックというバラエティーに富んだ競技大会によってカメラの進化がおこなわれていることは間違いありません。

2022年2月2日に競技が始まる北京オリンピックを前にNIKONからミラーレスのフラッグシップ機「Z9」が発表され年内には発売されるとのことです。

通常の被写体ではオーバースペックになってしまうようなモンスターマシンを正当化できる唯一の機会がオリンピックだということを改めて思わせてくれるほど凄いカメラになっています。


完全ミラーレス時代の始まり

今年の夏におこなわれた東京オリンピックでは、NIKON、CANON共に絶対に失敗できないということから、これまでの実績がある一眼レフをフラッグシップの座に置き続けました。

レンズ交換式カメラの中でミラーレスの方が割合が高くなったのは大分前のことですが、カメラのフラッグシップはずっと一眼レフだったわけです。時代の流れとしてはいつかはフラッグシップもミラーレスになることは分かっていましたが東京のタイミングではありませんでした。

東京オリンピックで活躍したであろうNIKONとCANONの一眼レフ・フラッグシップ機

そこから2ヶ月、東京オリンピック・パラリンピックが終わったこの時期に、満を持して北京2022冬季オリンピックに大きなチェンジを迎えるようとカメラ業界が動き始めました。

NIKON Z9に先駆け、CANONからはEOS R3が11月下旬に発売予定となっており、さらに今年の春には一足先にソニーのα1が発売していますので、いよいよミラーレスフラッグシップ三つ巴の戦いに突入していくことになります。

オリンピックまで3カ月を切り、きっと今頃は3機種ともオリンピックカメラマンの手に届いているのではないでしょうか。さすがに3機種全てを本番環境で使ってみた人はいないかもしれませんが、ガチの評価を聞いてみたいと思います。

いづれも2021年に発売されるミラーレス一眼のフラッグシップ機、Z9に先駆けて発売され実践投入されている


冬季競技はスピードが速い

ボブスレーを始め、アルペンスキーなどは滑り落ちるという特性から特にスピードが速く静止画撮影にとっては過酷な被写体です。これらの競技に対応するためにどんな技術を使ってくるのか楽しみです。

ミラーレスが一眼レフに対して優れている点として、メカ動作が無い分高速撮影の性能が上げやすいということがあります。常に撮像素子に映像を取り込むことができ撮影時もロスタイム無く連写することができ、さらにAFの領域拡大と高速化が同時に実現できます。

常時映像取込で実現できるものとしてディープラーニングによって被写体を学習させてAFをおこなう技術があります。市販のカメラではあらゆる被写体や状況に対応するため時間を掛けたチューニングがおこなわれ、各社のエンジニアも苦労をしているところですが、逆の見方をすれば特定の被写体や条件だけに適応すれば良いのであれば、カスタム被写体認識AFは比較的簡単に提供できるということでもあります。

オリンピックではカメラマンをサポートするためのメンテナンスショップを各社が準備しますが、そのサービスの中で特別な被写体に対応したファームウェアが提供されることがあるのではないかと想像しています。

このように撮影を繰り返すことで「カメラを育てる」ことができようになれば、それぞれのユーザーが自分の狙いたい被写体を学習させて自分のカメラを育てたり、またそのデータをコミュニティで流通させることでワイワイ盛り上がったりできるようになるのではないでしょうか。


静けさも必要

芸術点を競うような協議では観客も観賞しにきていますので、撮影音に対して気を使います。とりわけフィギュアスケートなどでは静かに氷の上を進んでいくため何年も前からミラーレス(SONY αシリーズ)が使われていました。

Z9はメカニカルなシャッターも無しにしたことで話題になっていますが、無音撮影というのはこれからの流れになっていくかもしれません。人間の眼に近づいていく方向としては無音化は正しい方向ですが、一方で撮影のUIとして映像を切り出す実感をどのように提供していくのか新たな課題になってきます。


さあ、いよいよ

北京オリンピックを境として全ての面でカメラはミラーレスに置き換わります。一眼レフは趣味性の高い領域で生き残っていくことになります。デジカメが一般に普及してから20年でついに、本当の意味で「デジタル」カメラになったと言えます。

電気回路の設計とソフトウェアによって性能を上げていくことができるためムーアの法則が当てはまるようになります。最初のブレークスルーはオリンピックのような特殊な撮影用途ですが、その有り余る余力をソフトウェアで変えるだけで一般のカメラマンの「能力向上」に貢献できるのではないでしょうか。

北京オリンピック楽しみです!!!!


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