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Microsoft WhiteboardとUXシステムデザイン

開発の上流でUXを想定する活動やそれを実現するための下流の活動も、単にシステムの一部としての製品やサービスを開発するよりも多くのユーザーとの接点に関わるメンバーが一つのUXコンセプトを目指して動かなければ実現できません。

それは社内だけでなく、他社や行政機関、もちろんユーザーとも適切に情報を共有しながら進めていく必要があります。

またUXを実現するためには長いストーリーが必要な場合も多く関係者が多いだけでなく、時間的にも長期的な活動になっていきます。このようなUXをシステムとしてデザインするためのツールとはどんなものでしょうか?

これまでもSlackやTeamsのようなテキストベース、Zoomのようなビデオ・音声ベースのチームで共有できる手段は多くの人が使うものになってきていましたが、ビジュアルベースで多様な情報を集約し広がりのある場はいくつかのサービスが出てきていましたが、完全に皆が共有する場所には成れていませんでした。

最近になってグーグルやマイクロソフトがこの辺りのツールに対して提案を強化していますので、UXシステムデザインをビジュアルで構造的に扱えるツールについて考えてみましょう。


Microsoft Whiteboardという選択

6/18にMicrosoft Whiteboardのアップデートのニュースが飛び込んでした。かなり以前から出ていたアプリでしたが機能が十分ではなくストレスになることが多く私は直ぐに使用しなくなってしまいましたが、今回のアップデートでようやく使ってみる気持ちになりました。




デザイン思考の活動とポストイット

ユーザーの活動を観察したことやアイデアをポストイット(付箋紙)を使って壁にはってまとめている様子を見たことがある人は多いと思います。職場や学校でも実践されているやり方ですので経験したことがあるのではないでしょうか。

UXデザインでは、登場人物や機器の水平的な関係だけでなく時間軸の変化を扱う必要があり、それらを大きな概念として抽象的に扱ったり具体的で詳細な情報を扱う方法が必要です。

それらを1つのツールでどうにか扱おうとしたときにポストイットが一番便利に使えると考えられます。個々の情報をポストイットに書き様々な視点でレイアウトに切り替えていくことで多元的なまとめができます。

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現時点では視覚的にポストイットを配置しグルーピングするだけであるが、データ上も(XNLなどで)関係を記述することができれば、データをデザインプロセス(ステップ)に合わせて利用していくことができるようになります。

イメージとしてはポストイットに階層構造を持たせたり、他のCADデータやGUIデータなどと連携させることができれば開発へつなげることができますし、エクセルなどの集計と連携すればマーケティングや製造におけるデータ管理とも繋げていくことが出来るようになります。

今回のアップデートによって業務で実際に使われるようになれば、より詳細な要求が現場から上がってくることになりますので、上記の様な機能の採用も近いはずです。


みんなが参加できるかどうか

UXシステムのデザインに使うツールとして一番大切なことは、あらゆる立場の人が参加できるようにしておくことで、特定の人だけが持っているツールではその影響が視点や思考の偏りに必ず影響が出てしまい、偏りのあるシステムは多様で複雑な状況に対してリスクを抱えてしまいます。

Microsoft Teams Roomsはさまざまなコラボレーションを実現する柔軟な環境です。AdobeCCのような専門家のためのツールと違い、社内の部門や役割に関係なく導入されるツールの一部としてUXのデザインツールは構築されるべきです。

今回のMicrosoft Whiteboardは正にそのような位置づけのものとなっており期待できるものになっています。


10年後もデータにアクセスできるかどうか

大きな開発でツールを使用する場合には、構築したデータが10年後にもアクセス可能かどうかは、目の前の使い勝手よりも重要な項目になります。

アプリの使い勝手はアップデートが継続されれば徐々に解決する問題であり、むしろ多くのユーザーが支持してサービスが継続されることが重要です。

Microsoft Whiteboardは現時点でメジャーなアプリではありませんが、Teamsと連携することでマイクロソフトが今後重視するサービスとして長期的に使われていくだけでなく、大型モニタによるコラボレーションからスマホによる参加まで多様な方法が提供されるようですので、10年後も何らかのデバイスで再生ができる可能性は高いはずです。

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ようやくデバイスやOSに縛られずに使えるTeamsがプラットフォームとなり、そこと連携することで共通ツールとして使われるビジュアル・構造化ツールが出てきました。

現時点でUXデザインに最適化されたり、既存の開発ツール(CADやAdobe)との連携が実現していませんが、私たちが積極的にそのような目的にツールを使い、不満点や不足している機能についてコメントしすることで、デザイン思考のプロセスがデザイン経営の中に浸透しUXシステムという意識をもって仕事をしていくためのツールに育っていくことを期待しています。


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