noteからの浮気。
しずかなインターネット。ご存知でしょうか。
とにかく、見つかるかもしれないけど見つからないかもしれないことをモットーにしたブログサービス。
いいねもない、コメントはレター機能だけ、そのレターも100文字まで。月曜日に出会って、心奪われた。
UIもシンプル、できることもシンプル。noteよりもシンプル。
その機能の中に、ムードというのがある。ムードを選ぶと執筆中の背景が変わり、そのムードにあった集中を促す効果音が流れる。それは雨音だったり波音だったり。
これがとても心地良い。しずかなインターネットのUIを見てMediumを思い出したんだけど、Mediumにも同様の機能があったような気がする。(全然違うサービスだったかもしれない、記憶から取り出せないのであきらめる)
背景の焚き火だけじゃなく、ほのかにパチパチっと火が爆ぜる音も聞こえてくる。そして"書くこと"に没頭できる。
しずかなインターネットで書いていて、そういえば書くことって内省的感覚があるなと久しぶりに思った。自分の言葉で自分と向き合いながら書く。そういったことが楽しかったのを思い出した。結果の求められない世界。
誰かに何かを伝えたいことって、思い切りプロダクトアウト思考でいいんだと思う。プロダクトアウトっていうのは、たとえば職人さんが、「人はどう思うかわからないけどよ、これがいいと思って作ったからさ、使ってみてくれよ(なんとなく江戸っ子)」みたいにとにかく自分スタート。良くも悪くも自分がいいものを信じて出すってだけ。
それがいつからか、誰もかれもがマーケットイン思考になってしまった。「相手が何を求めるかを考えてから作る、人の評価を得るために、とにかく読んでもらうために。成功の近道は相手を知ることだ、見込み客の興味をひくために、相手の立場で考えよう」
ぎゃく、ギャク、逆。
わたし自身そういったマーケティング的界隈に足を踏み入れてかれこれ20年は過ぎようとしている。先ほどのそんな発想がもしかしたら自分自身のクリエイティブな思考を、わがままな思考を、自分の思うままに好き勝手に(思想のコンプラから外れない程度に、少しくらいは外れてもいいけど)出していくことを忘れてしまったのかもしれない。そんな人であふれてしまっているのかもしれない。
最近Youtubeでハマっている配信者さんがいる、"morgen(もるげん)"さんと"たむらかえ"さん。そのふたりの作り出すコンテンツは、彼女たちがやりたいようにやってるということしか伝わってこない。morgenさんは声がとても素敵な方で、でもどこか厭世観のあるヒリっとした側面がたまらない。厭世観を感じるがその笑顔に微塵も闇を感じない。この極端性が吸い込まれそうな魅力のひとつだと勝手に思っている。そして声に乗せて出てくる言葉は文学的ですらある。そんなmorgenさんが書くnoteの文章は改行や句読点の概念をなくしたかのように、noteでよくみる「改行ましまし行間取りすぎ設計」にはなってなく、そんなことからも彼女のプロダクトアウト思考が(勝手に)みてとれる。そして語る言葉だけでなく紡ぐ文章すら美しい。才能があふれている。というかただ好き。
たむらかえさんの作るYoutubeもまた、みなが思う"テロップはこう作ろう"的な部分をガン無視の、言葉のセンスで面白い言葉の羅列を一瞬だけテロップで出す。テロップは視聴者にやさしいスピードで表示させるのではなく、とにかくテロップの速さについこいよと言わんばかりの心地良いプロダクトアウトなのである。我々(というかわたし)は、その珠玉のエッセンスがつまった言葉を必死で追っていくだけ。それが図らずも集中して観ることにつながっているのであれば、ぐうの音も出ない。
別のタイミングで心が吸い込まれたふたりのコラボ動画があがったとき、彗星同士がぶつかる確率を思わず計算しそうになった。
ここまで書いて、とにかくしずかなインターネットのムード&集中モードは素晴らしいと思う。頼むからnoteよ真似をしないでくれと思う(なぜかそんな感情になってる)。浮気して戻ってきた場所で言うことじゃないのはわかってる。
しずかなインターネットの罫線は動きがある(↑)。このくるっとした罫線も、しずかな世界にちょっとした動きのエッセンスが入り、とにかくツボでしかない。これしか使えないってのがいい。選択肢なんていらない。カラバリが多すぎて購入意欲が削がれた商品をいくつもみてきた。1点突破はいさぎがよい。
しずかであるからこそ、自分と向き合うことができる。これこそがマインドフルネスなのだと思う。ここまで計算して力の抜けたものが書けるのだとしたら。おそるべししずかなインターネット。
この「ムードの集中モード」は「瞑想随筆モード」と名を変えてもいいのではなかろうか。
ふと思った。
このモード(ムード?)が秀逸すぎて、仕事のライティングや、noteの下書き、あらゆるドラフトをこのモードで書きたくなってきた。そして、この背景ありきで公開したいとさえ思っているが、そうなるとしずかなインターネットではなくなりそうだから我慢する。
そしてnoteにアップしたこの文章はその"瞑想随筆モード"で書いたものになる。これは例えるなら別の相手とベッドの上で交わした話題を戻ってきた相手との会話で……えっと……経験がなさすぎて言語化不可。
とにかくブログアプリとしても、ライティングアプリとしても使えるとても気になるサービスを発見した。うれしい。
さあ、帰ろう。
▼ますたーのエッセイ的。
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