見出し画像

高知のぶしゅかん

山奥の実家には、「ぶしゅかん」の木があります。私が子供の頃からありますから、60年以上の樹齢はあるでしょう。


台所で母親が、鰹を捌く光景とともに、「酢みかん」人数分取ってきて、と頼まれて庭先の木から5、6個もいできた記憶があります。

その「酢みかん」は、ゴルフボールの大きさです。
色は、鮮やかな緑。目が覚める色です。

夕飯の食卓には、鰹の刺身が小皿に盛ってあります。

それにもいできた「酢みかん」を半分に切ってちゅーっと絞りかけます。醤油も少し垂らします。

「酸っぱ」

子供には酸っぱい大人の味です。そして香りが強いのです。

この酢みかんは、「ぶしゅかん」というのだとは、最近知りました。

ずっと、「酢みかん」と言ってましたから。


徳島の「すだち」、大分の「かぼす」、高知の「ゆず」が有名ですが、「ぶしゅかん」はそのどれとも違うのです。

最近知ったのですが、「仏手柑」(ぶしゅかん)というのもあります。黄色の手のようなやつ。

高知の「ぶしゅかん」は緑の実で、ひらがなで表記します。

四万十川周辺でしか収穫できないと聞いたことがあります。

実家の山奥で獲れるのですから、どこでも収穫できると思っていました。

貴重なものなんですね。


その他

シイラの刺身に、

味噌、にんにく、ぶしゅかんの果汁と皮でぬたを作り、たっぷりかけます。

美味。これ、好きです。

離れてはじめてわかる価値がある。
その価値をわからずにいた子供の頃。
今になればわかるその貴重な価値。



弘瀬厚洋



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?