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ダンジョンズ&ドラゴンズ:シナリオ案『月夜の水路に人魚を見た!』

◇自作記事総合インデックス

始めに

 このシナリオは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」第5版に対応したシナリオである。レベルが5~6程度のPC3人での挑戦を想定している。オンラインセッションの場合、想定される所要時間は2時間半~4時間程度。

DM向け記号解説
:大通りにはヒューマンの他にも多種多様な種族が行き交っている。
のような「:」から太字の文章が続く形になっている文は、シナリオの進行に合わせてDMが読み上げる文であることを意味する。「:」の前に発言者の名前や、読み上げるにあたっての条件が書かれていることもある。通常の太さの説明文の中に、太字の「セリフ」が挿入されることもあり、その場合は前後の文章を見てその「セリフ」を、いつ、だれが発するべきなのか判断すること。

エルフの射手は的に狙いを定め矢を放った。(攻撃ロール)矢は見事に的の中心を射抜き周囲から拍手の音が響く。
のように、内部に判定や条件が書かれた()で文章が区切られている場合、判定が成功するか、シチュエーションが条件に合致していないと、それに続く文章は読み上げられない。

治療を受けた男は《治療を行ったPC》に感謝を述べ金貨袋を手渡した。
といった「条件」が《》で囲まれている箇所が出現した場合は、そこにその条件に適合する単語を入れる。

※DMの情報:この宝箱はミミックが化けたものである。
のように『※DMの情報』から始まる文が枠に覆われている場合その枠内の情報が少なくとも最初のうちはPLに開示することが想定されていない情報であることを意味する。

 これらの文にはDMの判断により自由に修正を加えて構わないが、重要な情報が失われないように注意すること。

シナリオの概要

 このシナリオにおける冒険は月夜の町を歩いていた冒険者達が水路を泳ぐマーフォーク『リーシャ』から声をかけられたことで始まる。彼女は自分がサメに変身して網を噛みちぎることで人攫いの元から抜け出してきたこと、そして友人達がその人攫いの元にまだ捕まっていることを語り、自身の首飾りを対価に冒険者たちへ助力を求めて来るのだ。

 この依頼を受けた冒険者達は彼女から得た情報を元に人攫いのアジトへと向かい、そこから2人のマーフォークを救出してリーシャの待つ水路へと連れていくことを目的に動くこととなる。しかしアジトにはマーフォーク達をさらったマウンテン・ドワーフのファイターとヒューマンのソーサラーがおり、救出の際にはこの2人への対処を行わねばならない。加えて牢屋の鍵が置かれた倉庫では木箱に化けたミミックが侵入者を待ち構えている……

 当シナリオは様々な背景世界で使用可能だがフォーゴトン・レルムを舞台とする場合、冒険が行われる都市をウォーターディープ、悪役達が取引先とする組織をザナサー・ギルドとするのが基本となるだろう。

導入

:このシナリオは冒険者達が一仕事を終えて月夜の《舞台となる町》を歩いているシーンから始まる。それなりに遅くまで仕事をしていたのもあって、辺りの人通りは少ない。

:ここで、終えてきた仕事について相談した上でロールプレイを行おう。

※DMの情報:ここでDMはロールプレイの時間を設けた上で頃合いを見て以下のように話を進めること。

:その時。水路の方から女性の声がした。

リーシャ:「……おい、あんたら、冒険者だろ?」

リーシャ:「……こっちだ、こっち」

:そちらを見たものは、月明かりに照らされた美しいマーフォークが自分達を手招きしているのが確認できるだろう。

水路のマーフォーク

◆マーフォークの4レベル・ドルイド『リーシャ』:中型・人型生物(マーフォーク)、中立にして善

AC:12 HP:24 ヒット・ダイス:4d8 移動速度:3m(10フィート) 水泳12m(40フィート)

【筋】:11(±0)
【敏】:14(+2)
【耐】:12(+1)
【知】:12(+1)
【判】:11(±0)
【魅】:14(+2)

技能:<知覚>+2、<隠密>+4
感覚:受動<知覚>12
言語:共通語、水界語、ドルイド語
セーヴ習熟:<知力>+2、<判断力>+2
脅威度:1/2(100XP)
呪文スロット:Lv4:4個 Lv2:3個
初級呪文:ドルイドクラフト
Lv1呪文:アニマル・フレンドシップ
Lv2呪文:ロケート・アニマルズ・オア・プランツ

■■■ アクション ■■■

 素手:近接攻撃:攻撃±0、間合い5フィート(1.5m)、目標1つ。
 ヒット:1ダメージ。

 噛みつき(リーフ・シャーク形態):近接武器攻撃:攻撃+4、間合い1.5m(5フィート)、目標1つ
 ヒット:6(1d8+2)[刺突]ダメージ。

 ※補足:『リーフ・シャーク』の姿では陸上での移動速度が0mとなるが『水中』から
 『跳躍』した場合、着地までは『水泳』時の移動速度を用いて移動できるものとする。

◇特記事項

 マーフォーク
 ・水陸両生:空気を呼吸することも水を呼吸することもできる。

 ドルイド
 ・自然の化身(変化できるのはリーフ・シャークのみ。装備は新たな形態に溶け込む)
 ・戦う自然の化身

 リーフ・シャーク形態
 ・連携戦闘:あるクリーチャーから5フィート(1.5m)以内に味方がいて、かつその味方が
  無力状態でないならば、このシャークはそのクリーチャーへの攻撃ロールに有利を得る。
 ・水中呼吸:水中でのみ呼吸できる。

 持ち物:アクアマリンの首飾り(300gp相当)を持つ。ドルイド用焦点具は持たない。

概説:都市の近海に存在するマーフォークの集落で暮らす若いドルイドの女性。自身の守護獣であるリーフ・シャークへと変身する能力を持ち、平時はこの能力や呪文の行使を用いた狩りを生業としている。その才気と気さくで行動的な性格から仲間内ではリーダー的な存在とみなされており、集落の長老達からもその将来性は高く評価されている。

尊ぶもの:友情。友を守るためなら己の身の危険も厭わない。

関わり深いもの:港の漁師から地上の話を聞くことを好む。

弱みや秘密:少々楽観的過ぎる節があり危機的状況でも「なんとかなるだろ」で動くことが多い。

一人称:「俺」 二人称:「アンタ」「お前」

リーシャ:「俺はリーシャ、港の近くにある村でドルイドをやってる」

リーシャ:「そんで今……人攫い共の網から抜け出してきた所なんだ。岩の上でダチ共と日光浴してたら人攫いに捕まっちまってな。隙をついてサメの姿になって網を噛みちぎって、ここまで泳いできたってわけ」

リーシャ:「だけど俺のダチ……マークルとクラフィはまだ捕まったままだ。この状況で俺だけ海まで逃げ帰るわけにもいかねえ」

リーシャ:「そんで、ダチを助けるためにアンタ達の力を借りたいんだ。もちろん報酬は出すぜ、この首飾りをダチ2人の身柄と交換する形でどうだ」そう言うと彼女は己の首飾りを掲げて見せた。首飾りに用いられたアクアマリンがキラリと光る。

※DMの情報:冒険者が依頼を受けることを了承したり、直接質問をした場合、リーシャは以下のような情報を出してくれる。

:ここでリーシャから得られる主な情報は以下の通り。
・日光浴をしていたリーシャ達は不意に強烈な眠気に襲われ気付いた時は網の中だった。おそらく呪文を使われたものと思われる。
・人攫い達はヒューマンの魔術師らしき男と、全身甲冑を着込んだドワーフらしき女の2人組だった。会話を聞く限りドワーフらしき女が目上らしい。
・マークルは銀髪の男性、クラフィは緑髪の女性であり、2人とも自分と同じマーフォークである。

人攫いのアジト

リーシャ:「多分、あそこが人攫い共のアジトだ。俺は小舟であそこに運び込まれる寸前で脱出できた感じだな」

:そう言ってリーシャが指さすのは水路に面した石造りの建物だ。木でできた入口の扉はかなり劣化しており、一見、空き家か廃墟にも見える。

リーシャ:「何とかあそこからダチ共を助け出して、この水路まで連れてきてやってくれ。そうすれば後は俺が海まで連れて行ける」

※DMの情報:廃墟を利用したこのアジトのセキュリティには鍵ではなくミミックが用いられている。これは一般的な鍵よりも信頼のおけるセキュリティで、迷い込んだ浮浪者や忍び込んだ盗人はミミックの餌になりうる。

隠密行動:『音声要素』を含む呪文を使った上で敵に存在を悟られず済ませるためには基本的に難易度8の<隠密orペテン>判定での成功が必要。音を立てる必要に迫られた場合の処理は呪文以外も同様で構わないがその音の大きさや不自然さによっては難易度の上げ下げや判定の自動失敗が生じる場合がある。行いたい判定の難易度について事前にDMに確認することは可能。尚、囁き声での会話程度なら露見しないようにするための判定は必要ない。

探索用マップと戦闘用マップ:当シナリオでは基本的に戦闘が始まるまでの間は冒険者の位置の細かな管理は行わず『探索用マップ』を用いて『①の部屋に行きたい』などの宣言を通して探索を進める。探索用マップの範囲内で戦闘が始まった場合DMはNPCを配置した『戦闘用マップを提示した上で、その時の状況に応じてPC達が配置可能なマスを定義する。扉を開けたPCが明確な場合などは特定のPCに個別の制限が与えられることもある。

※DMの情報:配置可能なマスを定義する際は基本的には「倉庫の内部」「扉から2マス以内」などの形で表現するとよい。

探索用マップ

探索用マップ

※DMの情報:各部屋に振られた番号に対応する部屋の役割は以下の通り。
①居間
②事務室
③寝室
④牢屋
⑤倉庫
⑥トイレ(通常)
⑦トイレ(囚人用)

戦闘用マップ

素の戦闘用マップ
基本の初期配置

廊下

:廃墟へと足を踏み入れたあなた達を薄暗い廊下が出迎える。そしてあなた達はすぐに、左の部屋から喧々囂々とした声が聞こえてくるのに気付けるだろう。

ドルヴェル:「せっかく首尾よく行ってたってのになんでこんなミスをするんだい!逃げたあいつが何をするか、分かったもんじゃないじゃないか!」女性の声。

ノッサ・ブルタ:「す、すまねえ姉御……畜生……こんなことになるなんて……あのサメ女め……許せねえ……!」男性の声。

ドルヴェル:「元はと言えばアンタがボーッとしてるからだろうが!」

ノッサ・ブルタ:「ヒ、ヒィ~ッ!」

:どうやら人攫い達は会話に気を取られ君達には気づいていないようだ。

①居間

◆マウンテン・ドワーフの5レベル・ファイター『ドルヴェル』:中型・人型生物(ドワーフ)、中立にして悪

AC:16 HP:60 ヒット・ダイス:5d10 移動速度:9m(30フィート)

【筋】:16(+3)
【敏】:8(-1)
【耐】:16(+3)
【知】:10(±0)
【判】:12(+1)
【魅】:10(±0)

技能:<威圧>+3、<運動>+6
感覚:受動<知覚>11
言語:共通語、ドワーフ語
脅威度:3(700XP)

■■■ アクション ■■■

 複数回攻撃:『追加攻撃』によりウォーハンマーでの攻撃を2回行う。

 ウォーハンマー:近接攻撃:攻撃+6、間合い1.5m(5フィート)、目標1つ。
 ヒット:9(1d10+3)ダメージ。

◇特記事項

 ドワーフ
 ・暗視
 ・ドワーフの毒耐性

 ファイター
 ・底力
 ・怒涛のアクション
 ・両手武器戦闘
 ・追加攻撃
 ・チャンピオン:クリティカル率上昇

 持ち物:『チェイン・メイル』相当の防具と『ウォーハンマー』を身に着けている。

概説:女性のマウンテン・ドワーフ。年齢57歳。身長147cm。元はドワーフの町で衛兵をしていた。民に対する横暴な行いが原因で氏族を追放された身であり現在はドワーフとしての名を用いることができない。現在のドルヴェルという名は裏社会で人攫いを始めてから名乗り始めたものである。用心深く、起きている間は殆どの時間を武装して過ごしている。

尊ぶもの:失った名誉の代替として裏社会での成り上がりを求めている。

関わり深いもの:アジトで飼っているミミックの『ロッキー』に信頼と愛着を抱いている。

弱みや秘密:何かに没頭すると周囲の声が耳に入らなくなる。

一人称:「アタシ」 二人称:「アンタ」「テメエ」

◆ヒューマンの3レベル・ソーサラー『ノッサ・ブルタ』:中型・人型生物(ヒューマン)、中立にして悪

AC:14 HP:16 ヒット・ダイス:3d6 移動速度:9m(30フィート)

【筋】:8(-1)
【敏】:14(+2)
【耐】:10(±0)
【知】:10(±0)
【判】:14(+2)
【魅】:12(+1)

技能:<ペテン>+3、<魔法学>+2、<隠密>+4
感覚:受動<知覚>12
言語:共通語
脅威度:1(200XP)
呪文スロット:Lv1:4個 Lv2:2個
初級呪文:アシッド・スプラッシュ
Lv1呪文:スリープ
Lv2呪文:ウェブ

■■■ アクション ■■■

 ロッド殴打:近接攻撃:攻撃-1、間合い1.5m(5フィート)、目標1つ。
 ヒット:1d4-1[殴打]ダメージ(クラブ相当の代用武器とみなす)。

◇特記事項

 ソーサラー
 ・荒ぶる魔法:魔法暴走、混沌潮流
 ・呪文修正能力:呪文威力強化、呪文持続時間延長
 ・魔力点:3

 持ち物:『ハイド』相当の防具と秘術焦点具『ロッド』を身に着けている。

概説:男性のヒューマン。年齢24歳。身長172cm。直観的に魔法の力を扱う才能を持って都市の片隅に産まれ、己が特別な存在であることを疑わず生きてきた。彼は自身の価値を理解しないものを蔑み、自身の価値を認めるものには一目置く。そして真っ先に彼の価値を高く評価したのは人攫いのマウンテン・ドワーフ『ドルヴェル』だった。現在の彼の目標は裏社会で身を立て『自分の価値にふさわしい』豪勢な暮らしをすることだ。

尊ぶもの:自分の魔法が評価される場に身を置くこと。

関わり深いもの:自身のボスであるドルヴェルを慕っている。長い説教も彼女からのものであれば受け入れられる。

弱みや秘密:よく上の空になる。

一人称:「あっし」 二人称:「あなた」「お前」

②事務室

:この場では全員が難易度10の<捜査>判定に挑戦できる。

成功:あなた達はいくつかの書類を見つける。その書類によるとこの建物をアジトとする人攫い達は《都市の犯罪ギルドの名前》との取引のためにマーフォーク達の身柄を求めていたようだ。残されたメモによると裏社会ではマーフォーク達の身柄に、観賞用、効果も怪しい薬の材料……その他、口にするも憚られるような目的のための需要が生じており、それを利用した金稼ぎは都市で人間をコツコツ攫うよりも儲かると判断したらしい。また件のギルドからはマーフォーク達を輸送するのに用いられた小舟の手配などの支援も行われていたようだ。

 またこのアジトを拠点としている人攫いはマウンテン・ドワーフのファイター『ドルヴェル』とヒューマンのソーサラー『ノッサ・ブルタ』の2人であることが分かる。ここまでの情報を得た冒険者は当シナリオで人攫い陣営と戦う際のイニシアチブが+3される。加えてあなた達はこの名前に聞き覚えがないかを難易度10の【知力
判定で確かめてもよい。

成功:ドルヴェルとノッサが指名手配中の賞金首であることが分かる。ノッサを生け捕りにすれば120gpが、ドルヴェルを生け捕りにすれば180gpが支払われるだろう。加えて、ドルヴェルがドワーフの町で衛兵をしていた過去を持つが市民に対する横暴な行いが原因で氏族を追放された身であり、ノッサを手下として都市で複数の事件を引き起こしていることも分かる。この2人は自分達を捕えようとした衛兵にも犠牲者を出しているようだ。

※DMの情報:この【知力】判定をこの場で行っていない場合、ノッサとドルヴェルの姿を確認した際にもこの判定を行える。

③寝室

:横に並べられた二台のベッドが設置されている。ここは寝室のようだ。

:ベッドの隣の棚にはワインの入ったボトルが三本ほど並んでいる。うち二本は未開封らしい。同じ棚にはワイングラスなども収められている。

 このワインは『上質』なものであり未開封のものを購入しようとすると10gpほどかかる。冒険者達が直接飲まずにその価値を確認しようとした場合は難易度10の【知力】判定で鑑定できることにするとよい。冒険者の背景によっては有利を与えたり自動成功としてもよいだろう。

④牢屋

:この部屋には金属製の檻が備わっている。檻の中には木製の風呂が設置されており、その中にはうずくまって泣くマーフォークの青年と、ムスっとした顔でその様子を見るマーフォークの女性が入っている。

◆囚われのマーフォーク『マークル』と『クラフィ』:中型・人型生物(マーフォーク)、中立にして善

AC:11 HP:6 ヒット・ダイス:2d8 移動速度:3m(10フィート) 水泳12m(40フィート)

【筋】:10(±0)
【敏】:13(+1)
【耐】:9(-1)
【知】:11(±0)
【判】:11(±0)
【魅】:14(+2)

技能:<知覚>+2
感覚:受動<知覚>12
言語:共通語、水界語
脅威度:0(10XP)

■■■ アクション ■■■

 素手:近接攻撃:攻撃+0、間合い1.5m(5フィート)、目標1つ。
 ヒット:1ダメージ。

◇特記事項

 マーフォーク
 ・水陸両生:空気を呼吸することも水を呼吸することもできる。

概説:リーシャの友人であるマーフォークの男女。銀髪の男性がマークル、緑髪の女性がクラフィで2人は交際中である。基本的に勝気なクラフィが弱気なマークルを引っ張る形で行動することが多い。尚、クラフィの方が年上。マークルはサンゴ農場の管理、クラフィは貝を中心とした海底での採集を生業としている。

尊ぶもの:友情。友を守るためなら己の身の危険も厭わない。

関わり深いもの:互いに交際相手を大事に思っている。

弱みや秘密:地上の常識に疎い。

一人称/マークル:「僕」 二人称/マークル:「君」

一人称/クラフィ:「私」 二人称/クラフィ:「あんた」

マークル:「ふぇぇ~……もうダメだぁ~……」

クラフィ:「しゃんとしなさい!今はリーシャを信じる時!」

隠密行動中のPC達を確認した場合:向こうもあなた達が助けに来たことに気付いたようだ。あなた達にはマークルが大声で助けを呼ぼうとしクラフィが慌ててその口を塞ぐのが見えた。

:運搬して救出したい場合この2人はそれぞれ50kgの体重を持つものとして扱う。

:牢屋を開けたい場合は鍵を利用するのが基本となる。『盗賊道具』を用いた難易度15の【敏捷力】判定に成功することでも開けられるが失敗すると時間の経過や大きな音により敵に侵入が露見してしまう。この判定の際は『盗賊道具』の効果により習熟ボーナスが得られる。『ノック』の呪文で開けることも可能だがこの場合も『サイレンス』などで音への対策を行わない限り基本的に侵入が露見する。

⑤倉庫

※DMの情報:冒険者達が倉庫に足を踏み入れた場合はミミックの『ロッキー』が背後から『不意討ち』をしかけようとしてくる。ロッキーは『外見偽装』により倉庫内部の木箱に擬態しているため『不意討ち』のための<隠密>判定に有利を得る。ロッキーが不意討ちに成功した場合もそうでない場合も戦闘が始まった時点で他の敵も冒険者達の侵入に気付く。ただし他の敵がターンを得られるのは2ラウンド目からである。

:その時。

:あなた達の背後、倉庫の暗闇の中では木箱が泡立ち、蠢き、ゆっくりと姿を変じていた。

:木箱……否、恐るべき『ミミック』は舌めいた触手と無数の牙を生成し、あなた達に襲い掛かる!『不意討ち』だ!

ロッキー:「MYAAAAA!」

◆ミミックの倉庫番『ロッキー』:中型・怪物(変身生物)、真なる中立

AC:12 HP:34 ヒット・ダイス:9d8 移動速度:4.5m(15フィート)

【筋】:17(+3)
【敏】:12(+1)
【耐】:15(+2)
【知】:6(-2)
【判】:13(+1)
【魅】:8(-1)

技能:<隠密>+5
感覚:暗視60フィート(18m)、受動<知覚>11
脅威度:2(450XP)

■■■ アクション ■■■

 ・擬足:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い1.5m(5フィート)、目標1つ。
  ヒット:7(1d8+3)[殴打]ダメージ。物質形態なら目標を粘着液の対象にできる。

 ・噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い1.5m(5フィート)、目標1つ。
  ヒット:7(1d8+3)[殴打]ダメージ+4(1d8)[酸]ダメージ。

◇特記事項

 ・外見偽装(物質形態のみ):動かないでいる限り普通の物体と見分けがつかない。

 ・巧みな組みつき:自分がつかんでいるクリーチャーに対する攻撃に有利を得る。
 
 ・粘着液(物質形態のみ):触れたものにくっつく。超大型以下のクリーチャーは
  くっついている間このミミックにつかまれた状態とみなす(脱出難易度13)。
  このつかみから脱出するための判定には不利がつく。

 ・変身生物:1回のアクションとして、物体に姿を変えたり本来の不定形な姿に戻ったり
  することができる。いずれの形態においてもデータは変わらない。装備または運搬していた
  装備品は変化しない。死亡したミミックは本来の姿に戻る。

※DMの情報:この訓練されたミミックはアジト内部で倉庫番や死体処理などを受け持っている。人攫い達は彼を都市の犯罪ギルドとの取引で得た。不意討ちする機会が訪れる前に冒険者達と人攫い達の直接戦闘が始まった場合、基本的に人攫い達は彼を呼び、彼はそれに応じる形で戦闘に参加しようとする。

倉庫にあるもの:倉庫内部には気絶させた敵を連行するために十分な数の、鎖、錠前、枷といった拘束具が確認できる。保存食などもあるだろう。倉庫にある物品の詳細は自然な範囲でDMが決めてよい。ただしドルヴェルとノッサの貯め込んだ金貨などはアジト内にはなく別の場所に隠されているものとする。これらの場所はドルヴェルとノッサを無事に捕まえたなら2人の身柄を預かった機関が時間をかけて聞き出そうとするだろうが、シナリオデータとしては特に触れない。

水路での戦闘

 敵に気付かれずにマーフォークを水路まで逃がし切った場合、冒険者達は慌てて追いかけて来るドルヴェルとノッサの声を耳にすることができる。この場で冒険者達は無視してその場を去っても迎撃してもよい。迎撃する場合は味方にリーシャが加わり、かつロッキーが参加できない戦闘となるため真正面から屋内で戦うよりかなり有利になるだろう。

戦闘描写案

ドルヴェル/近接攻撃:「喰らいなっ!」ドルヴェルのハンマーが《対象》を襲う!

ノッサ・ブルタ/スリープ:「リゴナ・タウ!眠れ!」杖が振るわれると共に粉めいた光の爆発が起きる!

ノッサ・ブルタ/アシッド・スプラッシュ:「シッド・ドロバ!溶けろ!」杖の先端から酸が噴射される!

ノッサ・ブルタ/ウェブ:「バネバ・トーハ!絡まれ!」杖の先端から蜘蛛糸めいた網が射出される!

ロッキー/噛みつき:ミミックは粘着液を垂らしながら這いずり、鋭い歯で《対象》に食らいつく!

リーシャ/自然の化身:リーシャの姿が蒸気に包まれ人間サイズのサメへと変化する!

エンディング

※DMの情報:当記事に収録されているシナリオデータは以上である。冒険者達が首尾よくマーフォーク達の救出に成功し完全勝利を収めた場合のエンディングとしては『リーシャが冒険者達に感謝の言葉を述べ首飾りを手渡した後、彼女達が月明かりに照らされながら都市の水路を泳いでいくシーンで〆る』ことなどが選択肢として挙げられるだろう。尚、DMはここまでに書かれたシナリオデータに拘らず冒険者達の行動やダイスロールの結果に応じて臨機応変に展開を変えてよい。

おまけ.Googleスプレッドシート

※編集可能なマップデータが必要な場合は以下のシートをコピーまたはダウンロードして使用できる。

おことわり

 当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。

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