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ダンジョンズ&ドラゴンズ:シナリオ案『約束のカラクリ劇場』

◇自作記事総合インデックス

始めに

 このシナリオは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」第5版に対応したシナリオである。レベルが6~7程度のPC3~4人での挑戦を想定している。オンラインセッションで使用した場合、想定される所要時間は4~5時間程度。

DM向け記号解説
:大通りにはヒューマンの他にも多種多様な種族が行き交っている。
のような「:」から太字の文章が続く形になっている文は、シナリオの進行に合わせてDMが読み上げる文であることを意味する。「:」の前に発言者の名前や、読み上げるにあたっての条件が書かれていることもある。通常の太さの説明文の中に、太字の「セリフ」が挿入されることもあり、その場合は前後の文章を見てその「セリフ」を、いつ、だれが発するべきなのか判断すること。

エルフの射手は的に狙いを定め矢を放った。(攻撃ロール)矢は見事に的の中心を射抜き周囲から拍手の音が響く。
のように、内部に判定や条件が書かれた()で文章が区切られている場合、判定が成功するか、シチュエーションが条件に合致していないと、それに続く文章は読み上げられない。

治療を受けた男は《治療を行ったPC》に感謝を述べ金貨袋を手渡した。
といった「条件」が《》で囲まれている箇所が出現した場合は、そこにその条件に適合する単語を入れる。

※DMの情報:この宝箱はミミックが化けたものである。
のように『※DMの情報』から始まる文が枠に覆われている場合その枠内の情報が少なくとも最初のうちはPLに開示することが想定されていない情報であることを意味する。

 これらの文にはDMの判断により、自由に修正を加えて構わないが、重要な情報が失われないように注意すること。

シナリオの概要

 フォーゴトン・レルムを始めとした様々な背景世界で使用可能なこのシナリオは冒険者達が『ラウルトン山』の洞窟で化け蜘蛛の退治と内部の調査を行う依頼に興味を持ち、依頼主に会うため山を登っている場面から始まる。『ラウルトン山』はオリジナルの地名であり舞台設定に合わせて好きな山の名前に置き換えてよい。
 依頼主は『はぐれモドロン』のバード『キャチャル』である。キャチャルは300年前に絆を結んだノーム達と再会するためこの地に戻ってきたところ洞窟の奥に存在するノーム達の集落が50年前から化け蜘蛛の巣によって封鎖され安否不明の状態となっていることを知ったため、冒険者達の目に留まるように依頼を出したのだ。
 尚、件の化け蜘蛛の正体はデーモン・ロード『ロルス』に連なるデーモン『ラトムール』である。このデーモンはロルスの影響をこの地に広めるため洞窟に陣取りつつ、地下に閉じ込められたノーム達が絶望し狂気に陥る時を今か今かと待っているのだ。洞窟内部の環境などから化け蜘蛛がデーモンであることを推測できた冒険者はこの敵と立ち向かう上で重要な情報を得られるだろう。

導入

:今日の冒険は、あなた達がとある依頼書の主に会うため山道を歩いているシーンから始まる。問題の依頼書の内容は以下のようなものだ。

【身元不明のバードからの依頼
 ラウルトン山の洞窟にて化け蜘蛛の退治と内部の調査に御協力頂ける手練れの冒険者を募集します。報酬は一人頭200gp相当を宝石の形でお支払いするものとし、前金で半分、成功報酬でもう半分をお渡しします。報酬は四人分まで用意しております。
 尚、件の化け蜘蛛は五十年前この洞窟に現れ当時対処に当たった兵隊たちを悉く退けた恐ろしい存在であり、かつ洞窟内部には他のモンスターも多数確認されているようですのでその点には御注意ください。調査内容は化け蜘蛛の巣により地上から孤立してしまったノームの方々の集落に関するものとなります。
 依頼を受けて頂ける方は、ハープトス歴〇月△日の昼過ぎにラウルトン山の山道を昇り三合目までおいでください。私は現地でヴァイオルを奏でお待ちしております。
 最後に。私はこの地においては少々珍しい種族であり、現地で皆さんを驚かせてしまう可能性があります。依頼を受けていただく際は事前にその点にご留意頂けると幸いです。

※DMの情報:ここでDMはロールプレイの時間を設けること。

:その時。木々の奥からヴァイオルの音色が聞こえてくる。

:その音色は実に見事だったが、同時にどこか寂し気でもあった。

:そして音色に乗せて響くは、オルゴールにも似た声。

キャチャル:「色彩をくれた小人達よ」「共に唄を紡いだ友よ」「我はこの地にあり」「我らの心に光あり」

キャチャル:「月日も暗闇も我らを割くに至らず」「三百年の時を経て」「約束の劇場へいざ帰らん」

※DMの情報:曲名は『色彩をくれた小人達へ』である。

キャチャル

◆クアドロンの5レベル・バード『キャチャル』:中型・人造、混沌にして善

AC:16 HP:32 ヒット・ダイス:5d8 移動速度:30フィート(9m)、飛行30フィート(9m)

【筋】:12(+1)
【敏】:14(+2)
【耐】:10(+1)
【知】:12(+1)
【判】:12(+1)
【魅】:16(+3)

技能:<知覚>+4、<隠密>+5
感覚:超視覚36m(120フィート)、受動<知覚>13
言語:共通語、モドロン語
脅威度:1(200XP)
呪文スロット:Lv1:4個 Lv2:3個 Lv3:2個
初級呪文:ライト
Lv1呪文:ディスガイズ・セルフ、ヒーリング・ワード、マジック・ミサイル

■■■ アクション ■■■

 複数回攻撃:2回の"拳"攻撃を行う。

 拳:近接攻撃:攻撃+3、間合い5フィート(1.5m)、目標1つ。
 ヒット:3(1d4+1)[殴打]ダメージ。

◇特記事項

 クアドロン
 ・分解:クアドロンが死ぬと、その体は分解されて塵になる。武器および
     運搬していたものはそのまま残る。

 バード
 ・バードの声援(d8)
 ・声援高速回復
 ・休息の歌(d6)
 ・なんでも屋
 ・知の学派:言葉の刃

 持ち物:ヴァイオル(バイオリンに似た弦楽器)、背負い袋、1200gp相当の宝石や硬貨

概説:はるか昔に機械仕掛けの涅槃経「メカヌス」からやってきたモドロン。彼らモドロンは基本的に個を持たない存在であるが、彼は混沌の力の影響により明確な自我を獲得しており、自我が芽生えてすぐに出会ったノーム達の影響で現在はバードとして暮らしている。英雄譚に目がなく、輝かしい成果で知られる冒険者と出会ったならそのことに触れ相手を讃えるだろう。はぐれモドロンの例に漏れず他のモドロンから追われる身であるが、旅をしながら各所を転々とすることで今のところは捕まらずに済んでいる。

尊ぶもの:自由と縁。私は自分と異なる存在と交流するのが好きだ。

関わり深いもの:300年程前に友となったノーム達から唄や詩を教わった。そのことは今の私の原点となっている。

弱みや秘密:長きに渡る生と何度かの休眠の中で所々記憶が曖昧になっている。しかしそれでも友であるノーム達との思い出は鮮明に残っている。

一人称:「小生」「我」 二人称:「貴殿」「貴方」

:木々の合間から降り立ったのは実に奇妙な存在だった。小洒落た蝶ネクタイで飾られた六面体の身体は金属で出来ているように見え、一見すると人間サイズのカラクリ人形に見える。しかしその巨大な単眼と天使のような羽根は明らかに有機的なものだ。その『何者か』はヴァイオルを手に、あなた達に向けて言葉を発する。

キャチャル:「ヤア、ヤア、よく来てくださいました。あの依頼書を読んでくれたのですな。お待ちしておりましたよ」

キャチャル:「小生、はぐれモドロンのキャチャルと申します」

キャチャル:「以後、お見知りおきを」モドロンはそう言うとカチャカチャと音を立てながら礼をした。

:ここで冒険者達は難易度15の<歴史or魔法学>判定に挑戦できる。

情報A:モドロンは機械仕掛けの涅槃経「メカヌス」と呼ばれる次元界に由来する存在だ。彼らは完璧な秩序に従う存在として知られ常に自らの階級に応じた型通りの行動を遂行し続けている。彼らは基本的に個を持たず、常に群体として行動するが、稀に老巧化や混沌の力の影響で独立した自我を持ち群れからはぐれる個体が生じることがある。目の前のキャチャルはそのような個体であろう。

情報B:289年に一度、彼らモドロンは大挙して次元界を渡り歩く「モドロン大行進」を起こす。そのルートには物質界も含まれているため、長く生きているエルフやドワーフ等は彼等の行進を見た事があるかもしれない。

:話を聞くところ、ノーム達は彼にとって300年程前に縁を結んだ友人であり、自身にバードとして生きる道を教えてくれた恩人なのだという。彼自身は他のモドロンから追われる身であるため長くノーム達の集落に滞在するわけにはいかなかったが、それでもノーム達との思い出は今でも彼の心の中に深く刻まれているのだそうだ。

:そして旅に出る前に行った「必ず戻る」という約束を果たそうと改めてこの地を訪れたところ、ノーム達の住んでいた洞窟に50年前から化け蜘蛛が住み着き、化け蜘蛛の巣によって地上から孤立したノーム達が安否不明の状態となっていることを知ったらしい。

※DMの情報:前回の『モドロン大行進』を知っていると思われる年齢のPCは情報Bを自動で知っているものとしてもよい。前回の『モドロン大行進』がいつかはキャンペーンによるだろう。細かく定義したくない場合は『200年以上前』などとざっくり決める形でも問題はないはずだ。

廃墟を往く

:かくして、あなた達は件の洞窟へと案内される。洞窟の内部は闇に包まれており、その奥からは湿った空気が漂ってくるのが感じられた。

キャチャル/暗視や超視覚を持たない種族がいる場合:「内部は小生の呪文で照らすとしましょう」キャチャルが美しい音色と共に『ライト』の呪文を発動し、彼の持つヴァイオルが明るく輝き始める。

:件の洞窟の内部は異質な気配の漂う不気味な空間だ。耳を澄ませば周囲からはカサカサと怪物達が壁を這いまわる音が聞こえるだろう。

:エターキャップ、ジャイアント・スパイダーといった洞窟内部の生態系を構成するクリーチャー達を全員倒していくことは現実的ではない。可能な限り彼らを刺激せず戦闘を避けて進むことが重要になるだろう。とはいえ、時には力による強引な突破が有力な選択肢となることもあるかもしれない。

※ファンコンテンツ・ポリシーに則って切り抜いた公式画像
※ファンコンテンツ・ポリシーに則って切り抜いた公式画像

:奥に進む場合、基本的にPC達は難易度10の<隠密>判定を行うことになる。どちらを使うかは個人ごとに決めてよい。この際はPC人数の半分に等しい人数が成功することが目標になる。成功した人数が不足していた場合、不足した成功数1回分ごとに全PCとキャチャルは『攻撃ボーナス+5』の『近接武器攻撃』を1回受ける。この『近接武器攻撃』のダメージは7(2d4+2)[斬撃]である。

強引に突破する:各PCは『攻撃ボーナス+5』の『近接武器攻撃』を1回受けることで難易度10の<隠密>判定を難易度10の<運動>判定で代用してもよい。この『近接武器攻撃』のダメージは7(2d4+2)[斬撃]である。

:かくして、冒険者達は洞窟の奥へと進んでいく。この場でPC達は<自然or宗教or捜査or魔法学>で難易度15の判定に挑戦してもよい。

※DMの情報:PCがクレリックやウォーロックのクラスを持つ場合、あるいは種族がティーフリングやドラウである場合、DMはそのPCがこの場で行う判定に有利を与えられる。DMが適切と判断した場合はこれ以外の要因によっても有利を与えてよい。

成功:この地の歪んだ植生と周囲に漂う不気味な気配はアビスから来た邪悪な存在の影響を示唆している。つまるところ、件の化け蜘蛛は自然の存在ではなく明確な悪意を持ったデーモンである可能性が高いものと思われる。過酷なアビスより来たデーモンであるという前提で考えるなら件の化け蜘蛛は少なくとも[電撃][火][冷気]に抵抗を持っていると考えるのが自然だ。加えて対象が自然な生物としての器官を持っていることを前提とした[毒]などは全く通用しないだろう。

:その時、洞窟の奥に古びたノーム様式の壁と扉が目に入った。

キャチャル:「小生の情報が正しければ奴はこの奥の空洞に巣を貼っているはずです。準備はよろしいですか?」

※DMの情報:ここでDMはPC達が準備を行える時間を設けること。

キャチャル:「かつてここの扉はこの床の上に立つとカラクリ仕掛けで開いたものですが」キャチャルが色の塗られた床の上に立つ。

キャチャル:「やはり老巧化していて機能しませんね」

:キャチャルが扉に手をかけ、ぐい、と力を込めると老巧化した歯車の回る音と共に扉がゆっくりと開く。

ボス戦

空洞の主『ラトムール(平時)』
空洞の主『ラトムール(開眼)』
◆空洞の主『ラトムール』:大型・フィーンド、混沌にして悪

AC:14 HP:115 ヒット・ダイス:14d10 移動速度:6m(20フィート)、登攀6m(20フィート)

【筋】:18(+4)
【敏】:14(+2)
【耐】:14(+2)
【知】:12(+1)
【判】:100)
【魅】:4(-3)

技能:<隠密>+5
感覚:疑似視覚3m(10フィート)、暗視(60フィート)、受動<知覚>11
言語:奈落語
ダメージ抵抗:[電撃][火][冷気]
ダメージ完全耐性:[毒]
状態完全耐性:毒状態
脅威度:5(1800XP)※呪文発動時はLvとして用いる。
生得呪文発動能力:ビースト・センス、スピーク・ウィズ・アニマルズ
エルドリッチ・ブラスト(「単眼からの怪光線」のルールでのみ使用可能)

■■■ アクション ■■■

 複数回攻撃:2回の"噛みつき"攻撃を行う。

 噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+7、間合い1.5m(5フィート)、クリーチャー1体。
 ヒット:12(2d8+4)ダメージ。

 蜘蛛糸引き寄せ:1ボーナス・アクション:遠隔武器攻撃:攻撃+5、射程9m/18m(30/60フィート)、
 クリーチャー1体。ヒット:目標は蜘蛛糸によって拘束状態になり、さらにラトムールと隣接する
 位置まで引き寄せられる。配置先はラトムールが指定する。これによって拘束状態に
 なっている目標は、1回のアクションとして難易度12の【筋力】判定を行うことができ、
 成功すれば蜘蛛糸をひきちぎれる。この蜘蛛糸は攻撃によって破壊することもできる
 (AC10:hp5;[火]ダメージに対する脆弱性;[殴打]、[精神]、[毒]ダメージに対する完全耐性)。

 単眼からの怪光線:1ボーナス・アクション:その場でエルドリッチ・ブラストを
 使用できる。呪文攻撃ボーナスは+5とみなす。この効果が使用されてから戦闘が終了するまでに
 このデーモンへクリティカル・ヒットによるダメージが与えられた場合、攻撃者は単眼の破壊を
 宣言できる。その場合は大休憩を終えるまで「単眼からの怪光線」を使用できなくなる。

◇特記事項

 蜘蛛歩き:登攀が難しい表面を、能力値判定を行うことなく登攀できる。
 さかさまに天井を歩く場合も含む。

 蜘蛛の巣の振動感知:蜘蛛の巣に触れている間は、同じ蜘蛛の巣に触れている他のクリーチャー
 すべての正確な位置を知ることができる。

 蜘蛛の巣渡り:蜘蛛糸によるペナルティを無視する。

◆ジャイアント・スパイダー:大型・野獣、無属性

AC:14 HP:26 ヒット・ダイス:4d10 移動速度:9m(30フィート)、登攀9m(30フィート)

【筋】:14(+2)
【敏】:16(+3)
【耐】:12(+1)
【知】:2(-4)
【判】:110)
【魅】:4(-3)

技能:<隠密>+7
感覚:疑似視覚3m(10フィート)、暗視18m(60フィート)受動<知覚>10
脅威度:1(200XP)

■■■ アクション ■■■

 噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い1.5m(5フィート)、クリーチャー1体。
 ヒット:7(1d8+3)ダメージ。目標は難易度11の【耐久力】セーヴを行わねばならず、
 失敗すれば9(2d8)[毒]ダメージ、成功すればその半分のダメージを受ける。この[毒]ダメージに
 よって目標のhpが0になったなら、目標は容体安定化するが1時間のあいだ毒状態になる。
 hpを回復した後もこの毒状態は続く。この毒状態の間は麻痺状態でもある。

 蜘蛛糸(再チャージ5~6):遠隔武器攻撃:攻撃+5、射程9m/18m(30/60フィート)、
 クリーチャー1体。ヒット:目標は蜘蛛糸によって拘束状態になる。これによって拘束状態に
 なっている目標は、1回のアクションとして難易度12の【筋力】判定を行うことができ、
 成功すれば蜘蛛糸をひきちぎれる。この蜘蛛糸は攻撃によって破壊することもできる
 (AC10:hp5;[火]ダメージに対する脆弱性;[殴打]、[精神]、[毒]ダメージに対する完全耐性)。

◇特記事項

 蜘蛛歩き:登攀が難しい表面を、能力値判定を行うことなく登攀できる。
 さかさまに天井を歩く場合も含む。

 蜘蛛の巣の振動感知:蜘蛛の巣に触れている間は、同じ蜘蛛の巣に触れている他のクリーチャー
 すべての正確な位置を知ることができる。

 蜘蛛の巣渡り:蜘蛛糸によるペナルティを無視する。

概説:蜘蛛の女王『ロルス』に連なるデーモン。敵対者の中にドラウやドラウの血を引くものがいる場合はロルスに対する反逆者とみなす。平時は異様な姿をした蜘蛛の姿をしているが有事の際は強力な武器である背中の単眼を開きその正体を明らかにする。
 このデーモンがこの地に巣を貼った理由は2つ。うち1つは地表近くに拠点を作ることで女王ロルスの影響力を強めることだ。そしてもう1つは洞窟の奥で暮らすノームの共同体に対する純粋な悪意によるものである。このデーモンは自らの巣で地上との繋がりを断たれたノーム達が絶望し狂気に陥っていく事を喜びとしラウルトン山の洞窟を拠点として選んだのだ。

尊ぶもの:絶望。弱者が無力感に苛まれ狂気に陥っていくのは実に面白いものだ。それに、ひょっとすると絶望した者達の中から我らに救いを求め悪の道に落ちるものが出てくるかもしれない。

関わり深いもの:女王ロルスに逆らうことは破滅を意味する。彼女の命令があれば私は全力を尽くしてそれに従わなければならない。

弱みや秘密:殆どの生物を弱者として見下している。また人々に事態の重大さを誤認させるため自身が悪魔であることを隠したがる。これらの要因からこのデーモンは1ラウンド目が終了するか自身のhpが半分以下になるまでは基本的に「単眼からの怪光線」を使用しない。

一人称:「私」 二人称:「貴様」「貴方」
※奈落語を使用するため意思疎通は困難。

素の戦闘用マップ
4人プレイ時の基本の初期配置。3人プレイ時はジャイアント・スパイダーを2体減らすとよい。

:巨大な蜘蛛の巣の中心、ジャイアント・スパイダーの群れの中に「それ」はいた。

:周囲の大蜘蛛達よりもさらに二回りほど巨大な、黒い毛に覆われた化け蜘蛛。恐るべきこの怪物は、あなた達を蜘蛛の巣の上からじっと見下ろしている。

戦闘描写案

キャチャル/マジック・ミサイル:キャチャルが美しい音色を奏でると歯車めいた力場エネルギーの塊が複数生成され《対象》に向け射出される!

ラトムール/噛みつき:怪物が《対象》を押さえつけ牙を突き立てにかかる!

ラトムール/単眼からの怪光線:怪物の背中がパックリと裂け、禍々しい単眼が開いた。

ラトムール/死亡:蜘蛛めいたデーモンはジュウジュウと煙を上げて溶け黄色い粘液の塊へと変化していく。

静かな町

:あなた達は蜘蛛の巣を乗り越え洞窟の奥へと進んでいく。

:ぽつり、ぽつりと建物が見え始め、その奥には石造りの劇場。

キャチャル:「……懐かしいですねぇ」

キャチャル:「……300年前、小生はあそこでノームの皆様方と共に歌い、演じ、踊ったものです。とても充実した時間でした」

キャチャル:「……」

:その時。不意に民家から放たれた松明の光があなた達を照らした。

老いたノーム:「キャチャル?」老いた男の声。

キャチャル:「……リブルス殿!?」間をおいてキャチャルが驚愕の声を上げる。

老いたノーム→リブルス:「おい待てよ、お前がここにいるっつうことは……!あの化け蜘蛛は……?」

キャチャル:「ハ、ハイ。倒れましたよ。こちらの方々に力を貸して頂き……」

リブルス:「おい!皆!やったぞ!化け蜘蛛はいなくなった!キャチャルが連れてきた連中がやってくれたんだ!」

:歓声と共に続々と民家からノーム達が顔を出す。

※DMの情報:DMはここでロールプレイの時間を設ける。

キャチャル:「皆さん……よくぞご無事で」

:ノーム達が口々にあなた達の元へ押し寄せ感謝の言葉を告げる。

キャチャル:「これで皆さんも外へ出られるのでしょうか?」

ノームの戦士:「ああ、あのデカブツさえいなくなりゃあ、その辺のモンスター共に後れを取る俺達じゃねぇ。安心しな!」

老いたノームの芸人:「本当に感謝の言葉もございません。よければ皆様をこちらでもてなさせて頂きたいのですが、構いませんか?」

ノームの芸人:「キャチャル殿も帰ってきたことですし、なんなら公演を行うというのも……」

キャチャル:「いいですな、やりましょう!」

時を超えた公演

 かくして、あなた達はキャチャルとノーム達による見事な公演を観ることとなる。
 
 ノーム達の置かれていた状況を考えると驚くべきことに、観客を楽しませるために作られたカラクリ仕掛けなどは今でも十全な整備が行われており、全て問題なく動くようであった。おそらく劇場での演劇は彼等の誇りであり、彼等を閉じ込め外界との繋がりを遮断した悪魔に抗う手段の1つであったのだろう。

 悪魔は彼等を滅ぼしはしなかった。何故か?それはおそらく、ノーム達が絶望し狂気に陥ることを期待し『その時』が来るのを待っていたからだろう。しかしノーム達は自身らで希望を見出し、守り、育み続けることでその絶望に打ち勝ったのだ。

 無論、それだけではあるまい。このような孤立した環境で生き抜くということは、それだけでも想像を絶する難事だったはずだ。そんな中、彼らの希望をつなぎ止めたのは『必ず戻る』というかつての友との約束であり……

 その希望を実現させたのは、間違いなくあなた達であった。

臨機応変な対応

※DMの情報:当記事に収録されているシナリオデータは以上である。ただしDMはここまでに書かれたシナリオデータに拘らず冒険者達の行動やダイスロールの結果に応じて臨機応変に展開を変えることができる。

おまけ.Googleスプレッドシート

※編集可能なマップデータが必要な場合は以下のシートをコピーまたはダウンロードして使用できる。

おことわり

 当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。

©Wizards of the Coast LLC.

参考:ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのファンコンテンツ・ポリシー

記事作成に利用した画像生成AI:「TrinArt」

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