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第二の『優駿図鑑』現る。ウマ本競走馬研究をレビュー

優駿図鑑。そのクソっぷりは、前回の動画レビューでも話した通りである。しかしながらまたウマ娘に便乗した本が出てしまった。その本の名は『ウマ本競走馬大研究』である。

ウマ本競走馬大研究

価格は900円とかなり挑戦的。ちなみに優駿よりも高い。この本を出版した会社はマイウェイムックという会社の出版らしい。ゲームからスピリチュアルなど幅広く出版する会社のようだ。表紙からは馬ではなくウマをアピールして、なぜかデカい『娘』の文字と耳の絵と女の子の絵が写っている…。さらに表紙には『あの「○○」娘たちの最新トリビアを大研究』、プリティーすぎる名馬たちの軌跡と銘打っており、うさんくささが増す一方である。これは怪しい。怪しすぎる…。ということで今回は『ウマ本競走馬大研究』をレビューしていこうと思う。
まず最初に表紙で書いてあることである、50頭超レビュー。

これはウソである。

文ありで紹介しているのは41頭しかない。偽装表示ではないかと思うのだが、実は紹介しているのだ。戦績だけを…。

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は?ふざけてるだろ!50頭超レビューとしておきながら、実際にレビューしてるのは41頭しかなく、あとは戦績だけのせた馬のデータをレビューとする勇気に関しては評価してやりたいところだ。評価できるのか?こんなところ…?
他にもページ裏にはなんとライターが書かれていない!誰が書いたのか分からないのはさすがに出版社としてどうなのだろうか。さらにはこんな記述もある。「著者および弊社は本書の内容が正確であることに最善の努力を払いましたが、内容がいかなる場合にも完全に正確であることを保障する物ではありません。」
さらにさらに「また、本書の内容および本書に含まれる情報、データ、プログラム等の利用によって発生する損害に対しての責任を負いません。あらかじめご了承ください。」と。

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つまり出版社自体が「この本は正確ではないし、なんならこの本をあてにしても責任を取らないよ」と言ってるのである。この本が本である意味とはなんなのであろうか…。ここまで開き直った態度にはある意味敬服してしまうものである。
さて本の内容であるが、これに関しては無難にまとまってていい。ウマ娘のゲームイベントと絡めて紹介しており、この点に関してはまずまず評価できる。最初に「ウマ娘の副読本」として紹介されているだけあってゲームイベントと史実の競馬を組み合わせて紹介している部分はよく出来ていると思う。ただ内容が薄い。Wikipediaで見たような内容ばかりで関係者に取材していないのが丸見えであり、炎上しないようにWikiとデータだけ見てまとめた気がする。ただ誤植は少なく、馬を下げて評価するような内容はなかったのは好ポイントでないかと思った。
誤植は少ないが、致命的な誤植がいくつかあったのが残念。ナリタブライアン(Oguri Cap)や、

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ナリタタイシンが1999年の年度代表馬になってたり(エルコンドルパサーと間違えて表記したのだろうが致命的である)、ゴールドシチーが阪神ジュベナイルフィリーズを勝っているといったり(ゴールドシチーの時代は阪神3歳Sである。ちなみにゴールドシチーは牡馬であるので牝馬しか出られないジュベナイルフィリーズと間違えるのはあまりにも馬鹿げてる)と致命的である。ただ新たに得られる情報もなくWikipediaでネットサーフィンした方がまだ知識はつくのではないだろうか。
総括するとウマ娘の副読本として読むならそこそこだが、競馬本としてみるなら落第点といった感じである。45点ぐらいは与えられそう。ただこんな本に900円を出して買うのはあまりにももったいない。こんなのを買うくらいならNumberや優駿を買った方がいい。ちなみにNumberの名馬堂々。は写真つきで見やすく、さらには優駿図鑑より安いというお買い得な内容になっている。

名馬堂々

優駿の今月号はテイエムオペラオー特集とコントレイルやグランアレグリアといった名馬の様子まで事細やかに取材されているのだ。ウマ本や優駿図鑑よりも安いというのも好ポイントである。しかしウマ娘特需でこのような本が乱雑するとは…。このnote見た人はこういう本を買わないように気をつけて欲しいと改めて思った。
動画版もよろしくお願いします。


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