見出し画像

愛駿通信、誤植はあるが…スペシャルな出来になってる素晴らしい一冊!

前回の優駿図鑑はひどかった。どれだけ酷い内容であったかということは前のレビュー・動画で語っているのでぜひみて欲しい。


今回発売された愛駿通信は、ホビージャパンから出された優駿図鑑の次に発行された競馬本であり、前回も誤植が酷かったのだが、今回は発売当初から誤植を連発していた。なんと表紙でアメリカンボスが、アメリカンンボスになっているのである。

アメリカンンボス

表紙から誤植とは一体何を考えているのだろうか。さらに98年代の名馬たちとしているのに、エリモエクセルやエモシオンなどの名馬はなく、なぜかメジロブライト、ブラックホーク、ステイゴールド、メイセイオペラと一個年上の馬が登場しているのである。さすが競馬クソ本オブザイヤー優駿図鑑を出したホビージャパンっと言ったところであろう。
本の中身はと言うと…。これは意外にも良書である。意外といって失礼だがかなり良い本であるのでよく見て欲しい。
最初の方はページ数が薄く、これで1980円も取るのかと少し憤慨したものの、普通に読み応えがあってスペシャルウィークの内容をうまく振り返っており、スペシャルな内容になっている。その他の馬の内容も馬の魅力を存分に伝えており、「優駿」や「Number」といったスポーツ雑誌にも劣らない出来となっている。素晴らしい内容と言わざるを得ない。本当に良い内容になっているので、ホビージャパンもこのような本の内容を出せるのか…。と驚いたものである。
なぜこのような素晴らしい内容になっているのか。これは前回の反省点を踏まえたことが大きい。前回の反省を踏まえ、馬の記事を書いているのは「横手礼一」さんが中心となっている。

画像3

横手さんは優駿の記事で連載を持ってるライターで前回優駿図鑑でも、出筆したライターの内の一人である。私が意見を送った際にもしっかりと対応してもらい、すごい誠実な対応をしてもらったと思っている。

画像2

やはり人格者の書く文というものは素晴らしいものなのだろうか。当時の心境や主戦の武豊や白井調教師の当時のコメントなどがしっかりと全レース書かれており、スペシャルウィークの全てがわかる内容となっている。
他にもライターをしっかりと選んできた印象が残る。TV番組スーパー競馬でスペシャルウィーク推しのさとう珠緒さんのインタビューを載せている。スーパー競馬内での当時テレビ関係者がどのように競馬を見てきたのかということについて語っているので是非見て欲しい。
他にも血統評論家であり、血統で飯を食っている評論家栗山求さんのレビューもあり、スペシャルウィーク血統に関してよく書かれている。98年代の組み合わせの現役注目馬にも着目されており、98年代の組み合わせで気になる馬をチョイスしてるのも好材料だ。競馬をよく知っている人なら満足できる血統評論となっている。
他にも武豊の著書を多く書いている島田明宏さんの武豊とスペシャルウィーク評もかなり良い。武豊をよく知っている著者が書いているだけあって、武豊の心情がうまく書かれているし、武豊がどういう思いで初めてのダービーを取ったのか…。当時の発言・背景を含めて馬と騎手の互いの思いが伝わってくる素晴らしい内容となっている。武豊好きなら必見の記事だと思った。
他にもスペシャルウィークを産んだ牧場のお話なども多く掲載されており、スペシャルウィークがどのように育ったのかということも分かる取材資料もあるし貴重だなと思った。
スペシャルウィーク以外の馬の記事も良い。98年世代を代表する4頭セイウンスカイ・エルコンドルパサー・グラスワンダー・キングヘイローなどの記事も血統背景や競争成績に触れながら書かれており、馬のことを知るなら優駿図鑑ではなく、この愛駿通信を見るべきだろう。前回優駿図鑑では写真選びではよかったが、今回も写真は綺麗で馬の迫力も伝わってくるので是非見て欲しい。写真選びだけは本当に間違えてはなく、編集のチョイスもなかなかのものだといっていいだろう。ただ一つ注文があるとしたら、キングヘイローと福永の写真を使っているのにもかかわらず主戦騎手が柴田義臣になっているところだろう。だがキングヘイローの記事もしっかりと書かれているので、その記事を見ればまぁ些細な間違いとして気にならなくなるはずだ。

画像4


他にも98年代の名馬としながら、一個上の馬を置いているのが首をかしげるが、文がいいのでそこまで気にならない。メイセイオペラは同郷の強豪馬トウケイニセイと合わせる形で触れており、地方と中央の交流に関しても触れられていて興味深いし、名前の間違えられたアメリカンボスも穴男エダテルの面白い発言も含まれているので文句はない。98年代のではなく、98近年代の名馬にすればよかったのでは?と思うが、書いてる文に間違いはないだろう。
結論としては、価格は高い感じをうける。前にレビューした名馬堂々。が1300円で同じページ数の愛駿通信が1980円となるとやや高すぎる気もするが、Numberの過去記事をまとめた形となった名馬堂々。と新規収録盛りだくさんの愛駿通信では価格も違うのも当然だろう。とはいえ全ページフルカラーかつ、競走馬の魅力をふんだんに伝え、スペシャルウィーク関係者にインタビューや一流のライターをそろえたという意味ではこの値段でも適正だと思うし、本当に良い内容になっている。ただ前回とうって変わって素晴らしい内容になっているのにホビージャパン側があまり宣伝しないのはもったいないと思った。評価としては92点をあげたい。冒頭の致命的な誤植と価格がもう少し抑えられれば、評価ももう少し上げられただろう。あとスペシャルウィーク好きには関係者のお話や武豊のお話もあるので「2兆点」ぐらいつけても良いのではないだろうか。どこぞの自称スペシャルウィーク大好きな大物漫画家が前に優駿図鑑を「2兆点」と褒めていたが、この本を見たら感動すると思うのだが、ノーコメントなのは首をかしげるところである。

画像5


「愛駿通信 スペシャルウィークと98年世代の名馬たち」前回優駿図鑑の反省を踏まえ、しっかりスペシャルウィークにフォーカスして書かれている一冊。ホビージャパン側も修正してきたし、競馬ファンにもビギナーにもオススメの一冊となっているだろう。この動画を見た人は買って欲しい。私から自信を持って言えるぐらいスペシャルな内容になっている。是非ウィークエンドに読む本として買ってみてはいかがだろうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?