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【ヒット!】大事なのは100点を取ったかではなく、ベストを尽くしたかどうかだよ | 学校に通わず12歳までに6人が大学に入ったハーディング家の子育て キッチナー ハーディング (著) | #塚本本棚

ホームスクーリングによって素晴らしい成果を上げた家族の物語。

宗教色が強かったり、アメリカ特有の事情や法律もあるが、なにより感じたのは”テストで100点を取るとか、どこの大学に行くとかよりも大切なことは、(自分にとって)ベストを尽くしたかどうか”の一点に尽きるという事。


今日は「学校に通わず12歳までに6人が大学に入ったハーディング家の子育て( https://amzn.to/33JynCs )」 キッチナー ハーディング (著), モナ・リサ ハーディング (著) #塚本本棚


【紹介文】
子どもの夢を本気で応援し、実現させる教育とは?


星をめざして飛ぶんだ。そうすれば、月くらいまでは行ける――高校を卒業してすぐ結婚したハーディング夫妻は、10人の子どもを学校に通わせずに家庭で教育した。上の6人は12歳までに大学に入り、年長の子どもたちはさまざまな分野の専門職として活躍している。次女ロザンナは、アメリカ建築家協会最年少の建築家。三女セリーナは、アメリカで最年少の女医のひとり。〈ごく普通の子どもたち〉の才能を開花させることに成功した一家の、驚きのノンフィクション。

※アメリカでは、ホームスクーリング(在宅教育)が合法化されていて、200万人以上の子どもが学校に通わず、自宅で学んでいる。全国共通テストの結果、ホームスクールの子のスコアの平均は100人中14番目に位置するレベル。

【書評】
学校教育に何の疑問を持たず、学校生活も楽しいんならいいんだけど。そうじゃないならホームスクーリングは一考の余地がある。

1、学びのスピードを人に合わせてはいけない
2、学びの好奇心を人に合わせてはいけない
3、学びの深さを人に合わせてはいけない

こんなのは起業している経営者ならだれでもわかっていることだけど、学校生活ではそうはいかない。

大体、学校生活のメリットだというコミュニティ形成だって、なぜ同世代でまとまらないといけないのか?同世代だけでまとまると、情報の多様性は固まってしまうじゃないの?と本書は問いかける。

ただ、日本ではまだまだホームスクーリングに対する社会の偏見は強く、ステレオタイプなものの見方も多いだろう。アメリカでも、もとはと言えば宗教文化からホームスクーリングが発展してきた背景もあるらしい。

だからとりあえず僕ら家族の場合は、学外での時間を子どもと一緒に勉強の時間にあてられたら最高だなと思う。なんなら、子供と一緒に受験勉強して願書を提出したいくらいだ。

ハーディング家に対しては神への信仰心を強く感じる。この家庭の成果は信仰心による使命感が大きな力となっているようだ。しかしながら、僕みたいな宗教に無頓着な人間でも、子育てについて参考になる事が散りばめられた本だと感じた。

なにより、まさにと思った視点が”良い点を取ったかどうかよりも、ベストを尽くしたかどうか”を重視する視点だ。それが人との比較を超え、100点を超えていく。僕も僕自身に、そして家族にこの視点を持ちたいと強く思った。

彼らは自分の家族や人生に、自分たちにとってのベストを尽くすために挑戦し続けていると感じる。そして気が付けば、誰もがうらやむ成果までたどり着いていたというだけなのだろう。

本書を読めば日本でホームスクーリングが可能となる、というようなことはないかもしれないが、より深い”子育て”の本質に迫れたような気持ちになった。


【本を読んで考えた・メモ】
・物事を習熟し、社会価値があるレベルまで到達するには知識の深度も大切だ。好奇心によってその深淵を知りたいというモチベーションが起きたなら、そのままいけるところまで学んでしまった方がいいはずだ。なのに、教育要綱は”いや、それは今やらなくていい”と言ってしまう。なんともったいない事だろう。


・学びは連鎖している。国語は国語、歴史は歴史ではなく、つながっているのだ。

・グーグルや様々なオンライン学習サービスの整備が、ホームスクーリングへの可能性を開いている。

・日本もどんどん飛び級を導入すればいいのに。多くの機会損失をもたらしていると思う。

・「きちんとした家庭にまさる学校はなく、道徳的な親にまさる教師はいない」 by ガンジー

・MOOC(Massive Open Online Courses)などの整備が、ホームスクーリングを可能としてきた側面はあるように思う

・著者たちの場合、宗教を背景とした自己催眠効果によるゾーン効果もあるのかもしれない(彼らは敬虔なキリスト教徒)

・親も子供たちの発育に合わせて学ぶ姿勢があり、何よりそれを使命としてとらえ楽しんでいる

・信仰心からくる使命感によって、モチベーションの増減のない子育てができた側面はあるように思う

・飛び級があれば、先行した分の余裕ができ、その時間を余暇や他の社会的または道徳的活動にあてられる

・強制は無意味、楽しくのびのびとやらせる親の導き、キューイングが大切だ

・子供は幼少期、親が喜んでくれるからとか、親と一緒に楽しめるという事からだけでも才能を開花し始める

・10人をホームスクーリングで育てながら、両親は共働きというのも驚き、そして決して裕福でもない

・学校の授業が物足りなさ過ぎて、簡単すぎてつまらなくなる。退屈だからふざけたりして時間をつぶそうとする。そうすると何故か悪い子、扱いづらい子のレッテルをはられる。ナンセンスだ

・この子たちの親は、常に彼らからの提案を肯定的にとらえ続け、励まし続けた。それによって、子供たちはのめりこむ事ができ、続ける事が出来た

・両親は子供たちに「目標をできるだけ高く掲げ、そして満点などではなく、ベストを尽くすように行動していこう」と励ました

・年齢は、未熟さの言い訳にはならない

・本書では、子供の成長過程に合わせて夫婦がこの子に何を提供すればいいのか必死に考えて行動した過程が描かれている

・アメリカではホームスクーリングのコミュニティがあり、親同士で教育方法をシェアしあったり、大学入学へのプロセスを検討しあったりしている

・夫婦は子供たちの為にプライベートの時間のほぼすべてを使っているが、それを心から幸せな事、幸福な人生だったと思っている点は大きい

・失敗を恐れない気持ちがあるのなら、難しいと思えることにでも挑戦してかまわない

・夫婦は「試験を受けても失うものは何もない」と子供に心理的安全性を与えて励ました

・付き合いたくない人たちとの交流を避け、愛情を注いでくれる人の庇護の下でやるべきことにベストを尽くす。だから最短距離が目指せたのかもしれない

・100点を取ったかどうかよりも、ベストを尽くしたかどうか、出来なければ繰り返せばよい。そして何よりも、決めるのは自分自身で。なぜなら、それは親たちの人生ではなく子供たちの人生だからだ

・人は守られているという感覚があるからこそ、自信を持って物事に取り組み、素晴らしい成果を上げる。夫婦はそのことをよくわかっているなぁと感心する

・「望みさえすれば何にでもなれる」、「限界はどこにもない」、「夢を持てばかなえられる」という言葉を、常套句などではなく心から子供たちに伝え続けた。それこそが子育ての要だと彼らは言う

・「教育とは知識を詰め込むことではなく、学問への情熱に火をつける事」

・夫妻は子供の好奇心をくすぐる多くの質問と、動機付けやそれを解決する方法をうまく子供に与えていると感じる。「アイスクリームが食べたいの?ところで、それはどうやって作られているのかな?」、「ハリウッドスターはどのくらい稼いでいるでしょう?誰が一番早く答えられるかな?」、「皆が需要と供給の原則に基づいて暮らしているとすれば、豊かな生活をするにはどのくらい働く必要がある?」などなど生活のすべてを学習時間に変えている

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