テイクワン

お客様が引いた1枚のカードをトランプに戻し
混ぜてしまいますが
マジシャンは見つけ出します

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カードマジックと言えばカード当てが最もメジャーな現象でしょう
それこそ数えきれないほどのやり方が存在します

しかし
ただ、意味もなくカードを引いてもらい
何の理由もなく当てる
というカード当ての見せ方がとても多くあります

これでは違いは当て方のバリエーションでしかつけることができません
言い換えれば不可能性のバリエーションです
そのため、カード当てを複数演じようと思ったら
より不可能な状態でのカード当てが必要になり
当然その分難しくなります
これではとてもではありませんが、マジシャンにとってしんどいことになります

そこでカード当てを演じるならば
カードを当てる意味合いをつけたいところです

例えば
「人の心が読めたとしたら、便利だとは思いませんか?」
「探し物がすぐに見つかる魔法があったら便利だとは思いませんか」
「未来のことを知ることができたら、素晴らしいと思いませんか?」
「物を透視できたら、面白いと思いませんか?」
などと言いながらそういった魔法を想像してもらうのです
そしてその想像を具現化して見せるために
カード当てを演じるのです

それだけで単なるカード当てのトリックが
とてもファンタジックになります

例えばこんな具合です

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トランプをお渡しするので、好きなカードを抜き出してください

抜き出したら、それをこのトランプの中に戻してしまいます
よく切り混ぜましょう
よろしければお客様も混ぜてみますか?

さて、この状態から
先程お客様が選んだカードを当てたいと思います

もちろん今のままではまったくわかりません
でも
人というのは好みがあるものです
先程選んでいただいたカードもまったく無作為に選ばれたわけではなく
あなたの好みによって選ばれたはずです

例えば今あなたが着ている服
シンプルですけどセンスが感じられます
こういう服を着る人はダイアは選びません
ダイアはいかにも派手好きな人が選ぶんです

あとスペードも選びませんね
スペードはなんかキツいイメージがするからです

あと、今日の持ち物を見る限り
普段から多くの物を持ち歩く趣味の方のように思います
そういう人は大きめの数字を選びがちです

でも、派手好きではないので絵札ではないでしょう

さらに、いくつか質問させてください
それによってあなたの好みを探りたいと思います

1つの目の質問は
あなたはラーメンが好きですか?
好きなら何味が好きですか?
醤油、塩、味噌、トンコツ
あと、家系や二郎系、ベジ系なんてのもありますよね
(お客様が答えます)

なるほど、その味が好きなら
選んだマークはハートだと思いますw

では二つ目
アニメや漫画はお好きですか?
最近見たものはなんでしょう?
映画とかでも良いですよ
(お客様が答えます)

それですか!
私もそのアニメ好きなんですよ!
特にあのキャラが好きですね
あなたは?
あぁ!そのキャラも良いですね
あのシーン!最高でした!
やばい!たかまりますね!!

あ、そうそう。忘れてました
そのアニメが好きならば
選んだのは・・・たぶんこれでしょう
(マジシャンはカードを1枚取り出します)

先程選んだのはなんでしたか?
(お客様が答えます)

そうだと思いました♪
私が選んだのもそのハートの3でした

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トリック的にはシンプルなものです
しかし「好みを探る」というテーマのため
お客様とのコミュニケーションが生まれます

探る質問は突拍子もないものの方が面白いでしょう

また、質問するのは自分も好きな分野の内容の方が面白いです
その返答によって話を広げることができます

そのやり取り自体がとても楽しいものになり
このマジックの魅力をたかめることができます

もちろんお客様もこの質問で本当にカードを探ったなどとは思っていません
しかし、表向きの理由をつけることで
まるで占いが当たったかのような印象を与えることができます

また、関連した話題によってそのマジックの印象が後々まで残ることもあります

以前ハートのAのカードを引いたお客様がいて
好きな漫画を聞いてみたらワンピースでした
これはもう釣れたようなものですw
「赤いカードは火を意味する」とか言って
「ハートは愛を表す」と言い
「愛してくれてありがとう!」
の名セリフで物凄く盛り上がりました

ちなみにダイアのエースが引かれていたら
「ポートガスDエース」の関連から
「Dのエース」と繋がります

黒のエースが引かれても黒ひげに関連させることができます

もちろんこれはワンピース関連ですが
他の漫画でも様々なこじつけは可能です

また関連がまったくつけられなくても
それはそれで構いません
まったく無関係の質問をし
まったく関係ないにも関わらず当たる
というのもシュールなジョークとして面白いからです

「ドラえもんが好きな男性はクラブの6が好きです」とか
「エヴァが好きな人はダイアの9が好きです」とか
「なんの関連が?!」と思わず突っ込みたくなる理不尽さが面白いものです
「ほら、ドラえもんの名作『さよならドラえもん』が収録されているのが第6巻ですよ」
とか無理矢理な理由をつけても良いでしょう

マジックは単に現象だけ見せて驚かせるだけのものではありません
それでは単なるビックリ箱であり、マジシャンと観客との差はトリックを知っているか知らないかだけになってしまいます

しかしこういったやり取りを面白く演じることで
マジシャン自身のショーマンシップを見せることができます

マジシャンはトリックを知っているから凄いのではありません
トリックを使ってお客様に楽しんでいただくパフォーマンスができるからこそ凄いです

【マジックウォンド】

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