スペルバウンド

銀貨が銅貨に変化し、また銀貨に変化する
これを何度も繰り返す

=========

スタンダードなコイントリックのジャンルですが
意外と実践では演じられない演目です

その理由は
常に1枚をパームしておかなければいけないという
不自由さからかもしれません

そこで私はこの演目の際に
最初に2枚を示しています
現象としては変化というよりも交換現象になるのですが
好きなタイミングで隠した方を示すことができる
というのはかなり利便性が高いのです

もちろん現象効果としては下がります
ですから最初の現象の時には変化として見せても良いでしょう
これで意外性は示すことができます

元々このスペルバウンドでは2回目からは意外性はありません
種はわからなくても現象を見れば
2種類を巧妙にすり替えていることくらいは観客もわかるからです

1回の変化ごとにパームしているコインが無いことを改めることで
不思議さを高めることも可能ですが
そうすると、どうしても演技のテンポが悪くなります
それならビジュアルにテンポよく変化を見せた方が効果的だろうと思います

ーーーーーーーーー

2枚のコインを使います
銅貨と銀貨
銅貨の方は太陽だと考えてください
銀貨の方は月です
空に太陽と月が同時に出ることはありませんよね
とりあえず太陽はしまっておきましょう

空から月が見えなくなることはあります
このように雲などに覆われたときです
(銀貨をつまみ、反対の手で覆って見せます)

もちろんこれは本当に無くなったわけではなく
隠れているだけなので、雲が晴れればまた見えます
(覆った手を離します)

空から月が消えるときは・・・
このように太陽が出たときですね
(銀貨が銅貨に変わります)

太陽が出ているときには月は反対側の世界にあります
(ポケットから銀貨を出して見せます)

もう一度やってみましょう
今、月があります
しばらくすると太陽に代わり
またしばらくすると月になります
私くらいの年齢になると一日があっという間に過ぎていき
瞬く間に一週間過ぎていくように感じますねw
(銀貨と銅貨の変化を繰り返します)

変わったところでは
昼間なのに太陽が見えなくなることがあります
日蝕というやつです

(ポケットから銀貨を取り出します)

このように太陽に月が重なっていき・・・
太陽が見えなくなるのです
(銅貨に銀貨を重ねますがいつのまにか銅貨が消えてしまいます)

もちろんこれもしばらくして月が離れれば
太陽が見えてくるのです

(銀貨をポケットにしまいまい、同時に反対の手から銅貨を出現させます)

昔はこんな出来事も魔法に見えていたのかもしれませんね

ーーーーーーーーーーーーーー

普通のコインの変化に太陽と月の比喩を加えることで
想像力を掻き立てる形になります

コインマジックは現象的に小さなものになりがちなので
こういった演出をつけると幻想的な雰囲気を演出することができるでしょう

またこの演出は適度に反対側のコインを出して見せています
こうすることでトリック的にパームの時間を節約できるので
演じやすくなります

演出は必ずしもテーマ性を高めるだけではなく
トリック上の不都合を解消する手段としても
有益に働くのです

また、適度にポケットにコインをしまう段取りを入れておくと
トリックの幅が広がります

例えば、ポケットの中に3種類目のコインを入れておき
クライマックスにそれを出して意外性を見せる演出もできます

このような感じです

ーーーーーーーーーーーー

まだ、魔法と科学に区別がなかった頃
錬金術という学問がありました
価値の低い金属に魔法の力を加えることで
価値の高い金属に変えるという試みです

実はこの頃の試みが現在の合金の精製にも繋がっていまして
そういう意味では魔法と科学は繋がっているようにも思いますね

ちょっとご覧になっていただきましょう
ここに1枚の銅貨があります
これはたいした価値はありません

でも魔法をかけると銀貨に変わるのです

もちろんこれはあくまで魔法の力によるもの
時間がたてばまた銅貨に戻ってしまいます

レベルの高い魔導師なら、ずっと銀貨に変えることもできたかもしれません
そうなればお金持ちになれたでしょうね
(一度銀貨をポケットにしまってしまいます)

銅貨を銀貨に変えることができるのなら
さらに欲がでるものです
銀貨を金貨に変えることに挑戦する魔導師もいました

しかし、それはたいへん難しいことで
なかなか成功はしませんでした
結局失敗してガラクタになってしまったりしたようです
(銀貨がワッシャーに変化します)

結局真面目に働くのが一番かもしれませんねw

ーーーーーーーーーーーーー

トリック的には最後に金貨に変えることもできる手順です
もちろんそれでも良いでしょう

しかし、素直にそのまま変えるより
このように意外性のある終わり方にした方が
面白いオチになる場合もあります

ちなみに、通常3種類目のコインとしてよく使われるのは
チャイニーズコインでしょう

しかし、意味もなくチャイニーズに変えるのはどうにも整合性がありません
その場合は知らない異国のコインに変化してしまって
戸惑う魔導師の姿を見せるのも面白いと思います
「え?!これ、価値上がったの?下がったの??」
なんて言えば面白いと思います

私が普段持ち歩いているのは
上にも示したようにワッシャー(ネジをはめる際に間にいれる工業部品です)にしています

サイズも色々ありますし値段も手頃です
主に変化系の現象のオチに使うので
最後にガラクタになるというのがコミカルで面白いと思うからです

慣例にとらわれることなく
試行錯誤して様々なテーマを作るようにするのが楽しいと思います

また
変化とは少し違うのですが
「コインに魔法がかかると透明なコインになる」
という演出をする場合がよくあります

ーーーーーーーーーーー

銀貨に魔法をかけると【銅貨】になる
そして銅貨に魔法をかけると
空気と【同化】して見えなくなる

ーーーーーーーーーーーーーー

こんな演出で演じたりしています

2種類の交互の変化になると
どうしてもすり替えのイメージが強くなるのですが
「透明なコイン」という【擬似的な3種類目】を導入することで
バリエーションが増える面白味があります

どうぞお試しください♪

【マジックウォンド】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?