オイル&ウォーター

赤いカードと黒いカードを交互に混ぜ合わせたのに
いつのまにか赤と黒に分離している

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数枚のカードだけを使ったパケットトリックというジャンルのもので
シンプルでありながら
「何もしていないのに、不思議なことが起きる」
という感じがインパクトを生みます

しかし、近年になってかなりビジュアルな技法やギミックが生まれたことで
このマジックのテーマである「水と油」のテーマ性が薄れてきているように感じます

「水と油」をテーマにするのであれば
それは「時間」をうまく利用する必要があります
実際水と油は徐々に分離していきますからね

にもかかわらず
現代ではかなりビジュアルに一瞬で分離してしまう見せ方が多くなってきているのです

もちろんその見せ方自体は魅力的です
でも、それならば「水と油」というテーマは
現象的にミスマッチでしょう

どうせなら
「私は黒い色が好きなのです。ですからこのように混ざった状態が気持ち悪いのですよね
そこで私は魔法で持ち物を全て黒にしてしまいます」
というような見せ方の方がテーマとしては合っています

「朱に交われば赤くなる」
という言葉がありますよね
それを目の前でご覧になっていただきましょう
というような見せ方でも構いません

つまり瞬間の変化と、徐々に変化する現象は
テーマとしては別物だと考えた方がよいと思います
(マジックのジャンル名として言う分には問題ありません)

私はこのように演じています

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子供の頃、とても不思議なものがありました
サラダのドレッシングです
「ご利用の前にはよく振ってください」
って書いてありますね
あれ。放っておくといつのまにか味の濃い部分が沈んでいってしまい、分離しちゃうんです
液体ですよ?それが何のしきりもなしに分離してしまうなんて不思議じゃないですか?
普通混ぜたら混ざりっぱなしでしょ
このトランプみたいに
(トランプのカードを赤と黒交互に混ぜます)

もしも、この赤と黒が混ざったトランプが何もしていないのに分離していたとしたら
不思議だと思うのです
初めてサラダのドレッシングをみた私のように
(トランプを表にして広げます。すると赤と黒が完全に分離しています)

魔法のような出来事は日常の中にもあふれているのかもしれませんね

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魔法の出来事を日常の出来事と関連させて演じると
お客様の中で印象が強くなります

この現象に限らず、様々な現象も現実と関連させてみるのも面白いかもしれません

そもそも
見せ方として現在は「水と油」というテーマ自体を言わないことも多くあります
意味もなく交互に混ぜ、意味もなく分離させる
確かに現象的には不思議ですが
それでは単にビックリ箱のようなものです

魔法は意味があって使うものです
単に驚かせるためだけの見世物であるなら
観客は種にしか興味がいきません(見せているのがトリックだけなのですからトリックに目が行くのは当然です)

せっかく何も操作をしないように見える現象です
テーマはいくらでもつけ放題です

この現象・トリックに
「どのような意味合いを持たせるか」で
そのマジシャンのオリジナリティーを見せることができます

是非とも工夫をして演じていただきたいと思います

【マジックウォンド】

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