サンドイッチリピート

セレクトカードをデックに混ぜます
デックに2枚の表向きのカードを乗せます
いつのまにかその2枚の表向きのカードの間にセレクトカードが挟まれています

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イメージ的にはアンビシャスカードに近い現象です
「2枚のカードの間に入る」
という1種の閉鎖空間の中への移動のため
若干不可能性が高まり
表のカードと裏のカードのコントラストで
見映えも良いトリックです

現象としては2種類あり
「いつのまにか2枚の間に挟まれている」
「見ている前でビジュアルに2枚の間に現れる」
です

現象の見せ方がアンビシャスカードより増えるので
バリエーションがつけやすいのが特徴で
逆に2枚のカードがあるからこそ使いやすいトリックが増えます

人気があるトリックなので
アプローチの仕方も
様々です
テクニックオンリーのものや
ギャフを導入するもの
その混合などもあります

有名なものでは
テクニックだと探偵カードという演出
モンキーインザミドルというギャフ
クラブサンドイッチはそれらの混合に近いでしょう

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トランプの中からお好きなカードを選んでください
それを今回の主役にします
(♡Kが選ばれたとします)

それとは別のカードを2枚選びます
今選ばれたのが赤の大きな数字のカードでしたから
それとは対照的なカードにしましょう

(トランプから適当なカードを抜き出します)

♧のAと♤の3にします
黒で小さな数字ですから先程のカードと区別がつきやすいですよね

さて、まず選ばれたカードをトランプの中に入れ
よく混ぜます
これでどこにいったかわからなくなりました

しかし、こちらの黒い2枚のカードが先程のカードを見つけ出します

このように1番上と一番下に黒いカードを表向きに置きます
先程のKはこのトランプのどこかにありますが・・・
(トランプを右手から左手に投げ渡します)
(すると右手に2枚の表向きのカードが残り、間に1枚のカードが裏向きに挟まれています)

こちらのカードが・・・先程の♡Kなんです
(3枚をひっくり返して、確かに♡Kが挟まれていることを示します)

なんでこのようなことが起こるのかと言うと
実はこの2枚に秘密があります
エースと3ですよね?
1と3です
3と1とも言います
「3と1」だから「サンドイッチ」できるのです

3と1・・・だから「さんといっち(サンドイッチ)!」

・・・すみませんw

気を取り直して
もう一度やってみましょう

次はですね
あらかじめ1枚のカードを脇に置いておきます
これは後で使います

さてこのKをもう一度トランプに入れます

続いて3と1をトランプの上に表向きに置きます

まだ2枚の間には何も挟まれていません

・・・まだ何もないです

・・・しつこいようですがまだ何もありません

でも、この2枚をひっくり返したとたん
間にKが現れます
(トランプのトップの2枚のカードの間にKが現れます)

さらに難しくしましょう

Kはトランプに差し込みます
(♡Kを裏向きにしてトランプの中ほどに入れます)

そして2枚の間には先程取り出しておいたカードを挟みます

このカードはさっきからあるカードですから
Kではありませんよね?

でも、このカードを見て上げると・・・
Kになっています
(挟まれたカードを表にすると♡Kになっています)

さて最後です
この♡Kはテーブルに置いておきます

次にトランプを全てひっくり返して表向きにします
このトランプに2枚のカードを裏向きのまま差し込みます
そして良く混ぜます

2枚のカードがKのカードを探しに行きますが
当然見つけることはできません
だって♡Kはまだテーブルにあるからです

この場合は・・・
(トランプを広げていくと、2枚の裏向きのカードの間に♢Kが挟まれています)

似ているカードを探し当てるのです
(サンドイッチの3枚を取り出します)

ちなみに実はもう1つ不思議なことが起こっています

このサンドイッチしているカードを表にすると・・・

残りのKになっていて
4枚のKが揃うのです!
(挟んでいたカードがいつのまにか♤と♧のKに変わっています)

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サンドイッチトリックを何度も繰り返す手順を
サンドイッチリピートと言います

しかし、この類いのサンドイッチリピートは
単に何度も同じ現象を繰り返すだけで
オチが弱いことも多いものです

このマジックはそこにわかりやすいオチをつけてみました

ちなみに
最初の段階でサンドイッチカードを「3と1でサンドイッチ」と言っているのは
後半でのカードの変化が分かりやすくするように印象づけるためであって
単にダジャレが言いたいだけではありませんw

アンビシャスカードや
1コインルーティーン
チャイナリングや
フォークベンディングなど
同じ現象を繰り返すタイプのトリックは
反復現象と呼び、多くの作品があります

しかしこれを
単に同じ現象を繰り返すだけでは
あまり効果的とは言えません

繰り返すのならば繰り返す意味が必要ですし
最後にはわかりやすいオチが必要になります

こういったわかりやすいオチのことを着地感と呼びます

着地感をつける方法としては
「意外性のある現象を起こす」
「強い不可能性を感じる現象で締める」
「様々な変化を起こし、最後に元に戻す」
「まとまりがある締めの台詞をつける」
などの方法があります

アンビシャスカードでしたら
曲がったカードの移動をビジュアルに見せる(不可能性)
1コインルーティーンならば
ジャンボコインを出す(意外性)
チャイナリングならば
全部がバラバラになって終わる(元の状態への回帰)
フォークベンディングならば
「こんなフォークは使い物になりませんね」などの台詞を言う(台詞締め)
といった具合です

アプローチの仕方は様々ですが
どのような方法であっても
必ず最後には着地感を付けることを心がけることが大切なのです


またこういった反復現象は
「何回繰り返すか?」
も考えどころです

同じことの繰り返しですから
あまり繰り返しが多いとやはり飽きてしまいます
演者としては様々な方法があるので
色々見せたくなってしまうのですが
観客からすればみんな同じに見えてしまいます

もし、色々やりたいのであれば
いくつかをピックアップし1つの手順を作り
あまったやり方はまた別のテーマで
別作品として分けた方が効果的です

マジックは同じ観客に見せる機会も多いものですが
そんなにたくさんのトリックを覚えるのは大変です
そこで基本現象は同じであっても
そこで示すハンドリングやテーマが違うものを
複数用意しておけば
同じ観客に対しても演じることができるようになります

「手順が増えたら分ける」
と言う考え方はとても実用的なのです


1作で演じる現象は3~5くらいで充分でしょう(トリックの都合上この限りではないこともありますが、それはあくまで例外です)

手順構成の基本は
序・本・結の三段構成
もしくは
起・承・転・結の四段構成
あとは結の後にもう1つオチを付ける
ダブルクライマックスです

この手順は現象としては4つですが
構成は三段構成です
まず1つ目の現象は単体で成立しています
その後に改めて三段構成を行った
と言う考え方です

2つ目の現象は1つ目の現象とあまり変わりはないですが
実は見映え的に少々クリアではありません

これは1つ目の現象があるからこそ成立するものでしょう

それを踏まえた上で
少し不可能性が高い3つ目の現象を行い
最後を意外性で締めています

ボリューム的にこのくらいがちょうど良いと思います

作品作りはこのように
構成の流れ、テーマ、ボリューム、着地感を意識して
作り上げていってください

【マジックウォンド】

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