名盤ではないと思いながらも何故かツボにハマって延々と聞いてたハロプロアルバム3枚。

 好みかどうかといえば好みではあるけれど、絶賛出来るかというとそこまででもないみたいなアルバムがあったりします。
 単純に曲の出来不出来が激しかったり、曲順に問題があったり、音圧や編曲、あるいは収録されているシングルが別ヴァージョンになっていて好みではないというようなこともアルバムという文化においてはあったりします。
 メロン記念日のファーストアルバムやスマイレージのファーストアルバムのようにアルバム用の新曲が少なく「もうそれほぼベストアルバムじゃん」みたいな内容になっており、そうなると出来がよくて当たり前みたいなところあるしなぁと思ってしまい、名盤とは言いづらくなってしまったり。
 とはいえ、圧倒的に出来が良いとは言えないし思えないのに、何故だかずっと聞き続けちゃうアルバムというものもあったりします。
 自分自身の気持ちや状態とリリースされたタイミングがぴったり一致したのか、はたまた単純にちょっと微妙なところも好みだったのか。
 そんなアルバムを取り上げてみたいと思います。

·「一人ぼっち」安倍なつみ
【収録曲】
1 22歳の私
2 Memory 青春の光(安倍 Version)
3 恋した女の子どすえ
4 晴れ 雨 のち スキ ♡(安倍 Version)
5 …ひとりぼっち…
6 黄色いお空でBOOM BOOM BOOM(安倍 Version)
7 あなた色
8 トウモロコシと空と風
9 ふるさと(安倍 Version)
10 腕組んで帰りたい
11 母と娘のデュエットソング
12 ピ~ヒャラ小唄

 安倍さんのファーストアルバムです。
 モーニング娘。の「ふるさと」のアンサーソングであり、ソロデビュー曲でもある「22歳の私」と企画もので発表していた2曲、モーニング娘。や自身の参加していたユニットの曲のセルフカヴァーが4曲。
 プッチベストに収録されていたソロ曲が1曲。
 そして、このアルバムのために製作されたオリジナル曲が4曲収録されています。
 出来がどうこうというより、ファーストアルバムなのに知ってる曲が入りすぎていてどうなの状態という有り様です。
 コンサートツアーやるからアルバム出しておかないとみたいな状態だったのかなぁとアルバム曲から伝わってきます(特に初期のキラーチューンだった「あなた色」や同じく初期のコンサート〆曲だった「腕組んで帰りたい」はそういう意図で作られたんだろうなと)
 セルフカヴァーが多すぎるのをどう受け止めるのかという問題があるアルバムではあるんですけれど、ここから安倍なつみという歌手の第二章が始まるんだという視点で考えるならモーニング娘。時代の事実上のソロ曲である「ふるさと」や、個人で出演したCMソングだった「トウモロコシと空と風」
 ここまで歌い手のためにあてがきしたデビュー曲も珍しい重々しい空気漂う「22歳の私」
 歌手としての成長を感じられる他のセルフカヴァー曲。
 新たな一面を披露するアルバム曲。
 安倍なつみという方の歴史を感じさせるアルバムであり、ファーストアルバムっていうよりもメモリアルアルバムみたいな感があります。
 まぁセルフカヴァーしている曲がどれも元々出来が良いので、全体的に出来が良いのは当たり前ではあるんですよ。
 ただ、名盤かと言われると安倍さんに関心のある方以外にはオススメしづらいからちょっとなぁ……って思ってしまう妙なアルバムになっちゃってますね。

·「THE 二枚目」メロン記念日
【収録曲】
1 シャンパンの恋
2 涙の太陽
3 刹那さ Ranking
4 チャンス of LOVE
5 キライ、スキ スキ スキ ホント、ウソ ウソ ウソ
6 かわいい彼
7 レモンタルト
8 MI DA RA 摩天楼
9 愛してはいけない…
10 ラストシーン
11 努力・系・美人
12 THE 二枚目 ~ON MY WAY~

 その昔。
 つんく♂プロデュースで凄く売れていた時代のハロー界隈ではつんく♂が楽曲提供していないグループ=手抜き·推されていないとヲタたちから揶揄されていました。
 メロン記念日はそんな時代に非つんく♂曲を多く提供されており、なおかつその非つんく♂曲でのしあがってきたグループの代表格だったと思います。
 メロン記念日の代表作っておそらく「This is 運命」「赤いフリージア」「お願い魅惑のターゲット」の3曲になるかと思うのですが(その次くらいに「香水」とか入ってくる感じかと)つんく♂プロデュース時代のハローで活動していて代表作といえるような曲の2/3が非つんく♂曲ってある意味においては凄い。
 デビューしても全然売れなかった時期(シングル出し続けてばかりでファーストアルバムが出せない時期)
 ハロオタの中で話題になりはじめて事務所がプロモーションに力を入れ始めた時期(歌割りやジャケ写で露骨に容姿の面で一番万人受けしそうな柴ちゃん推ししてる時期)
 ブレイクすることが出来ずセールスも低迷しハローではじめてインディーズレーベル落ちした時期(クラブイベントを開催するなど未だにハロー内においては唯一無二の独自路線で地道に頑張ってた時期。ファンとの結び付きや距離が1番強いグループだったと思うけれど、辛酸を舐めながらも新たなチャレンジをし続けて今までに無い道を切り開こうとし続けた姿があったところって大きいと感じる。コンサートに参戦して会場の近くのご飯屋さんに行ったら普通にメンバーと遭遇するくらいのアイドルとファンの距離感だったからというのもあるとは思うが)
 正直、セールスの面では良い時期ってほぼ無かったとは思うんですが、そのときそのときでキラーチューンをきちんとリリースしてるんですよね。
 ハローって「ファーストアルバムまでは良かったよね」みたいなこと多いんですけれど、メロン記念日ってそれに当てはまることなく定期的に良い曲をリリースしてて、それがハロヲタ内で話題になって、這い上がってくるっていう強いグループで、なかなか報われることのないグループだったけれど、とにかく記憶にメンバーの姿も曲も残り続けているグループです。
 さて。
 このアルバムはメロン記念日のセカンドアルバムなのですが。
 シングル曲以外につんく♂は作曲で関わってません。
    アルバム曲の作詞を1曲だけまことと共作というかたちでやっているのみです。
 アルバム曲の作曲は主につんく♂以外のシャ乱QメンバーとSomething ELse(当時)の今井さんが書いてます。
 当時、なかなかの出来事でしたよ。これ。
 メンバーはどんな心境だったのでしょうか。
 アルバム発売前のシングル曲である「シャンパンの恋」(歌詞だけつんく♂)と「涙の太陽」(カヴァー曲)から予兆はあったのですが。
 ただ、このセカンドアルバムに関してはシングル曲だけつんく♂で良かったと思うんですよね。
 この時期のメロン記念日はセクシー路線で活動していて、シングル曲はつんく♂フレーバームンムンで濃いんですよ。
 良くも悪くもつんく♂。
 ただ、こういう濃厚セクシー路線にがっつり突入したのってメロン記念日が最初といっても良いので当時は新鮮ではあったかなぁ。
 「チャンスof LOVE」「MIDARA摩天楼」「かわいい彼」とか好きは好きですしね。
 やたらと激しいイントロからアガる。
 ベリキューがちょこっとこのラインに入ってた時期もありましたね。
 このセカンドアルバムはこういう強めなつんく♂の濃厚シングル曲に対して、アルバム曲は実に手堅く堅実に聞きやすく作られており、緩急がしっかりしていて聞きやすいです。
 これくらいの配分でちょうど良いというアルバムですね。
 つんく♂曲が無いとつまんないし、パンチの効いた曲も無いんですけれど、これでつんく♂曲ばかりだとクドいという。
 特に今井さんの手掛けた2曲は非常に良いですね。
 歌詞だけつんく♂が書いたシングル曲である「シャンパンの恋」は地味ではありますが名曲だと思ってます。
 このアルバムはつんく♂プロデュース時代だからこそ生まれた特異点みたいなものなのかもしれません。

·「愛の第6感」モーニング娘。
【収録曲】
1 涙が止まらない放課後
2 すき焼き
3 春の歌
4 女子かしまし物語
5 直感〜時として恋は〜
6 独占欲
7 レモン色とミルクティ
8 浪漫 〜MY DEAR BOY〜
9 声
10 HELP!!
11 SHIP TO THE FUTURE
12 女子かしまし物語2

 ジャケ写が美貴とこんこんの2TOPっていうのがこの時代っぽいですね。
 時期を考えるとこのふたりがトップはってるのも納得です。
 このアルバムに収録されているシングル曲は「浪漫」「女子かしまし物語」「涙が止まらない放課後」という迷走が伝わってくる正直、大したことはない楽曲です。
 ボーナストラックとしてミュージカルで使用された楽曲が2曲と「女子かしまし物語2」が収録されていますが、こちらも正直大したことはないです。
 でも、なんか好きなんですよね。
 このアルバム。
 まず「愛の第6感」というアルバムタイトル。
 ハローのアルバムの中でも抜きん出て良いタイトルだと思います。
 そして「春の歌」「独占欲」「声」が本当に好きです。
 この3曲は娘。のアルバム曲の中でもかなり好きな部類ですね。
 全体的に地味な時期の地味なアルバムだとは思います。
 飯田さんと矢口が参加した最後のオリジナルアルバムで6期が加入して最初のオリジナルアルバムっていうホントに狭間の時代。
 迷走っていう表現を使用していますが転換期と言い換えてもいいかもしれない。
 石川さんも次のアルバムがリリースされた頃には卒業しているので飯田·矢口·石川·吉澤の4人で歌われている「春の歌」は染みますね。
 どこかタンポポを思い出させるようなあったかいミディアムバラード。
 石川さんって歌唱力を評価されるタイプの方ではないですが、ああいう特徴的な声をしてはいますがキンキン声ではなく、わりと歌声が美声だったりするんですよね。
 こういう曲での歌声を聞くと思います。
 決して出来の良いアルバムではないと正直、思いはしますが好きではあります。
 ひょっとしたら1番聞いている娘。のアルバムかもしれません。
 そんなこともあるというお話ですね。

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