破滅の門
一段目を踏みしめる
足音は理を忌み嫌う者の怠慢に響く
二段目を踏みしめる
足音は悪心の甘味に舌鼓を打つ者の情緒に響く
三段目を踏みしめる
足音は劣等に目を背け続ける者の自覚に響く
四段目を踏みしめる
足音は老いた親を無下にし続ける者の不孝に響く
五段目を踏みしめる
足音は純心をたぶらかす者の悪意に響く
六段目を踏みしめる
足音は等分される幸を独り占めにする者の我欲に響く
七段目を踏みしめる
足音は地位の源水を濁す者の傲慢に響く
八段目を踏みしめる
足音は刹那に惹かれる者の愚鈍に響く
九段目を踏みしめる
足音は契りに背き柔な肉体の快楽に溺れる者の淫欲に響く
十段目を踏みしめる
足音は年輪の逸脱者の錯誤に響く
十一段目を踏みしめる
足音は強欲に浸かり切った者にすがる者の盲目に響く
十二段目を踏みしめる
足音は等身大を見誤った者の無知に響く
十三段目で賢者となり真理を垣間見る
足音は幸が溢れる世界との接触か
ついに破滅の門と相対(あいたい)する
おもむろに首を委ねる
と
視界には桃源郷が広がっていた
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