市場の戦場レベルがアップデートされました

地元民御用達のスーパーが、チラシを作成しなくなった。

理由は勿論、密です。

というのも、2020年2・3月に起こった某トイレットペーパーデマ事変と、スーパーの大イベント、月一激安デーがモロかぶり。
特売内容にはティッシュも含まれていた。

普段より安い食材たち。
そして、多くの人が、血眼でシャンバラを探すが如く駆けずり回り、ハエが群がるように買い荒らしていた紙製品。

相乗効果は抜群だ。現場は戦場となった。

開店1時間後に訪れた知り合い曰く、店舗を飛び出して、周回しますん?ってくらい伸びた列を目撃。レジ待ちである。
大半は、お一人様一個までのティッシュを片手に。

知り合いは、そのまま自転車をUターンして帰宅した。
私はその話を聞いて戦慄した。


いや、レジ分けろよ。


人はお財布とにらめっこしながら、日々の糧に安さと品質を求めて買い出しに行く。特に関西人は。知らんけど。
この服いくらやと思う?398円やでぇ!!と声高らかに自慢し合い、情報交換する。知らんけど。
黒ニンニク買うん高いやろ?炊飯器あったら自分で作れんで。クッサいけど!ニンニクはな青森産がええで。どこどこの市場が安いわ。あ、この鞄ええやろ、これなうんたらかんたら。

こちらが欲しい情報ではなくとも、安いはありがたいのである。心で手と手を合わせて、笑顔で聞いたり聞き流したり。
懐事情の豊かさは、懐に入る巧さなり。知らんけど。

そんなお安い情報がスーパーからもらえなくなってしまった。非常に困る。大変困る。私の可愛い五臓六腑を養わなければならないのに。

無闇に行っても、1円でも高いと思えば、カゴに入れたくない。かと言って、このご時世に小まめに訪れるのは怖い。
ええいままよと!と購入し、他で安いのが見つかれば悲惨である。言いようのない悲しみ、無力感、買い物に対するトラウマさえ生み出しかねない。
なんて世知辛いロシアンルーレット。

なんてグダグダしていても、冷蔵庫がすっからかんになれば、走るしかないのである。
土日祝は絶対避けて、平日、こやぎはスーパーを訪れた。


結論から言って、天は私に味方した。
赤字でデカデカと書かれたラインナップに、心の中でコロンビア!

国産胸肉100g38円(税別)!もも肉は78円(税別)!
牛豚ミンチ・豚コマ切れは100g98円(税別)!!
野菜類もお手頃!!!・・・か、買い・・・!!
生鮮食品の特売天国やぁ!

こやぎは小躍りした。普段通りカゴに入れようとして、ふと気づく。
大体肉は1パック2・3日あれば、下手をすると1日で食べきってしまう。

別に私が大食漢というわけではない。
朝昼晩、ブレることなくきっちりはっきりとした空腹感が起こる、メリハリある健康的な胃の持ち主なだけだし。肉・魚等が入ってないとどうしても、満腹感を得辛いだけだし。寝起き早々、肉食いてぇなぁってお茶目さを持ってるだけだし。

それに、どうせ大方作り置きの冷凍庫行きにするのであれば、まとめ買いが吉では??

判決!各1キロの購入とする!!

親の分も買っておこうと写真をパシャパシャLINEで送りながら、カゴにぶち込んでいく。
祭りじゃ祭りじゃ!わっしょいわっしょい!

意気揚々と次の獲物を狩らんとお魚コーナーを物色している時、あるパックが目に飛び込んで来た。

宮崎県産 銀鮭切り身 298円(税別)

拙者、寿司屋では必ずサーモンを頼むほどのサーモン大好き侍でござるるる〜。
でもね、普段食べるには中々お高いのさ。塩鮭はお手軽なのにね。塩鮭も最高だけどね。君はご飯の相棒。

パックには、ムニエル・バター焼きにと謳っているので、無塩だろう。
不揃いな形の切り落としが詰まっている。色味も綺麗。バターで焼くと旨そうだ。想像で腹が鳴る。

だがしかし、重量の記載がない。
いやしかし、手にかかるこの重さは・・・・絶対250はある。てか300あってもおかしくない・・え?まさか??

重量表記されている他のお魚たちと持ち比べながら、予測するが、それでも。期待値でそう感じるだけ??
よもやこれは、特売の嬉しさにハイになりすぎて見る白昼夢?しかしこれは確かな現実の重み。

見れば、残り1パック。目に入る「きょうのおすすめはこれ!」の太文字。
己が手秤、信じるっきゃねぇ。
私はその鮭の購入を決めた。

帰宅後量ったら、なんと393g(パック込み)!!!!
やっほー!感動!感激!感無量!!

スーパーを出た時の気分は、正に敵の首を討ち取ったとばかりの高揚感。
殿、やり申した。
心なしか貫禄がついた気がする。

エコバックに全て入りきらなかったのは無念であるが、勝戦であるのは間違いない。
気持ち健やか、心晴れやか。
体は心持ち軽やか。チャリは激重。

作り置きの算段を巡らせながらウキウキの帰路、トマトを店先に並べ直している八百屋を見つけた。

対象、298円。
カゴに5つトマトを確認。

なんと?

その時、ここが魔の八百屋だと気付いた。
めちゃくちゃ安くて美味しいのに、大概通る時がスーパーで買い込んた後で、寄りたくとも荷物が重く、泣く泣く通り過ぎるしかない八百屋さんだ。
行きと帰りでは通る道が違うから、毎回行きに寄り忘れる八百屋さんだ。

かのトマトの値段を考えるに、お店の中は今、安い野菜の宝庫だろう。
しかし手元には大量の戦利品たち。
・・・このご時世、不要不急の外出の機会は少なくあるべき。ならば食材の買い込みは必須。

チラリと店内を覗くと人影は少ない。密、ではありません。

「し ゅ つ じ ん ?」
頭の中でシマリスくんが言った。ぼのぼのが音が出てない螺貝を吹いている。アライグマ君が狼煙を上げた。

者共出会え出会え、2陣目じゃぁ!

結果は圧勝。今宵は勝鬨。
私のハッピー引きこもりライフは決定事項。

ジャガイモや新玉葱が袋にごろごろ詰められて各100円。生椎茸は小ぶりだけどパックで88円。その他エクセレント。マーベラス。全て税別。

春キャベツも128円と目を剥く安さだったけど、明らか自転車に乗り切らないので、泣く泣く諦めた。
後輪にも荷台カゴ付けるのマジで検討しようか。

ハンドルにも袋をかけ、気分をウキウキからブギウギにアップデートして帰宅した。
その晩、食材の調理・下処理に4時間かかった。

#キナリ杯

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?