かけ算の順序問題(教員目線)
突然ですが、3mの0.5倍を表す式は?と聞かれたらなんと答えるでしょう。
3×0.5
ですよね?
では、0.5mの10000倍は?
『かけ算の順序問題』
教員をやる前から目にしていた問題。小学校の数学コースに所属しながらも
「どうでもいいな」
と思っていたこと、よく覚えています。
そんな私も今年、小学2年生担任。
2年生の最重要項目は間違いなく
「かけ算、九九」
でしょう。
4月から九九をひたすら読ませ、大体暗記した状態でかけ算の学習に入りました。
「どうでもいいな」
と思っていた私も、
「どうでもよくないな」
と思うことになりました。
かけ算の概念がわからない小学生にかけ算を教える。
それは、まるでバッティングをしたことがない女の子にバッティングを教えるような、そんな感覚でした。
小学校の時からバットを振ってきた私が、バットを握ったことのない女の子と対面する。
バットを見よう見まねで振る女の子を見て、教えられてきたこと、自分の感覚を合わせて言葉にする。
つまるところ、
「バットの振り方をわからない女の子の感覚、気持ち」なんてわからないのです。
そんな2年生にかけ算の概念を伝える。
一つ分×いくつ分=ぜんぶ
という手段はそれを可能にしてくれるのではないかと思っています。
上の図を見てどんな式を思い浮かべるでしょう。
自然なのは3×5ではないでしょうか。
これを『自然』と思えることこそ、かけ算の概念理解への第一歩と考えます。
かけ算に順序がいらないという人の論調は
「全部の数15を出す手段は3×5と5×3がある。」
「数学的にどちらも正しい。」
「一つ分×いくつ分ではないかけ算の表現が身の回りにたくさんある」
「5×3と書いてバツにされた子の概念理解と意欲の向上を妨げている」
「かけ算は2つの値に対して1つの値を対応させる2項演算にすぎない」
などです。
↓一つ分×いくつ分ではないかけ算の表現
私はこれを聞いて、
『なるほど』
と思ってしまいました。
『順序を指導しなければ概念の理解をさせることはできないのか。』
この根拠がない以上、この問題は解決しないんだなと。
だから、私は
「かけ算の概念理解への第一歩のために順序は必要である」
という立場に身を置きつつ、
「順序がなくても数学的には正しい」
という立場も理解しなければならないと思います。
ただ、やっぱり目の前の
'バットを振れない'子供たちを見て、
一つ分×いくつ分=ぜんぶ
の意味を理解してほしいなぁと思います。
算数と数学の往還
これを繰り返すことが教員の仕事なのではないかと、
そして、
順序の根拠を探して
いつかこの問題の一つの答えを出したいと
そう思った機会でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?