日本に輸入されたアルゼンチン牝馬が登録時にスペルミスをされる珍事が発生
2022年2月ごろに日本で繁殖牝馬となることが報じられたアルゼンチン重賞4勝のティトルーラー(Tit Ruler)が、2024年2月中旬にジャパン・スタッドブック・インターナショナルの『血統書サービス』に登録された。
しかし、登録の際にスペルミスをするという珍事が発生した。
アルゼンチン・スタッドブックの登録は "TIT RULER" である。パスポート、マイクロチップ、DNA検査もすべてクリアして記録されている。
アルゼンチン・ジョッキークラブが運営するサン・イシドロ競馬場でも登録名は "TIT RULER" であり、南米競馬のデータサイトである『エル・トゥルフ(El Turf)』でも "TIT RULER" というスペルになっている。
しかし、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルの『血統書サービス』では、"TIL RULER" と登録された。カナ表記もそれに合わせて「ティルルーラー」となっている。もしかしたら馬名を変更せざるをえない事情があるのかもしれないが、スペルミスのまま登録されてしまった可能性が高い。
調べてみると、このスペルミスは外国でも発生していることが分かった。たとえば、レーシングポスト では "TIT RULER" と正しい表記で登録されているが、EQUIBASE では "TIL RULER" と間違っている。
また、血統検索サイトである Thoroughbred Horse Pedigree Query および equineline でも "TIL RULER" とスペルミスが起こっている。
なぜ、このようなスペルミスが発生したのか?
ティトルーラーはアルゼンチンから日本に送られる際、アメリカを経由している。これはアルゼンチン・スタッドブックの記録から分かる。
そのときに、"Tit Ruler" の 小文字の "t" が "l" に見間違えられてしまったのではないか。つまり、"TIT RULER" が "TIL RULER" になったスペルミスは、アルゼンチンからアメリカに移動した際に起こった可能性が高い。レーシングポストでは起こっていないスペルミスが、EQUIBASE で起こっているのもそのためだろう。
現状、この世に存在しないアルゼンチン産馬がジャパン・スタッドブックに登録されてしまっている(※ "TIL RULER" という馬名はアルゼンチン・スタッドブックには過去に1頭も登録されていない)。ティトルーラーを購入した生産牧場、もしくはティトルーラーを購入した代理人は、修正してスタッドブックに再申請するべきである。