コロンビアのリゾート地が競馬場建設で揉めているらしい

コロンビアと聞いて競馬をイメージする人はいないでしょう。それもそのはず。コロンビアでは現在、競馬らしい競馬活動は行なわれていません。

昔は中米選手権に調教馬を送り込んだりしていたのですが、時とともに競馬は廃れました。競馬場は残っているものの、レースは開催されておらず、大規模イベントやコンサートの会場として使われるだけです。

とまぁ、競馬が息をしていないコロンビアですが、つい先日気になる記事を見つけました。

290億ペソ(8億円くらい)で競馬場を作っちゃうぜ!!!

「競馬をやってないのに競馬場を作るってどういうこと?」と気になったので、少し調べてみました。自分はコロンビアの専門家ではないので、解釈違いがあったら許してください。

☟☟☟☟☟

コロンビアにサン・アンドレス島という島があります。カリブ海に浮かぶ海の綺麗なリゾート地です。

地理的にはニカラグアやコスタリカに近く、ここがコロンビア領とは思えません。実際、もともとはニカラグア領でした。しかし、2012年に国際司法裁判所がコロンビア領と認めたそうです。

今年になって、サン・アンドレス島に競馬場を作るという計画が同島の議会(?)によって承認されました。広さ4万6657平方メートル、1周1000m、座席数は1600人という規模の競馬場らしいです。

なぜカリブ海の島に競馬場を作るのでしょう?

実はサン・アンドレス島には競馬の伝統があります。100年以上も前からこの島では競馬が行なわれており、島で最古のスポーツ活動とみなされています。住民には多くの競馬愛好家がいるそうです。

競馬といっても、ちゃんとしたコースやスタンドが備わった場所で行なわれるのではなく、海岸やグラウンドで行なわれます。なので、草競馬と言ったほうがいいかもしれません。

なるほど、競馬文化がある場所に競馬場を作るなら納得だ……と思われるかもしれませんが、とんでもない問題が山積みです。それによって批判が出ています。

まずは建設費用。290億ペソは莫大です。しかも、建設会社との契約は知事のエヴァース・ホーキンス氏が独断で結んだものだそうです。具体的な建設計画も管理計画もないどころか、競馬場建設予定地が森林地帯だというのに、環境破壊・森林破壊に対する評価も行なわれていないとのこと。

別の問題は災害にあります。サン・アンドレス島は2020年11月に発生したハリケーン・イオタによって大きな被害を受けました。復興はいまだ充分に行なわれていません。住民の生活の立て直しが必要であるにもかかわらず、290億ペソもの大金を費やして競馬場を建設するなんて、日本だったらヤフコメとツイッターが祭りになります。

そして、これが一番大きな問題。前述のとおり、コロンビアでは競馬産業がほとんど息をしていません。競馬場を作ったところで、競馬開催をコンスタントに続けるだけの馬がいません。函館開催ばりの連闘策を続ける気でしょうか。競馬場を作っても、利益(=賞金)を受けるのは少数の馬主だけというのも不公平な話です。

こうした批判に対してエヴァース・ホーキンス知事は「サン・アンドレス島に競馬場を建設する計画は以前からあり、住民の要望によるものである。島の馬文化をより繁栄させることに繋がるし、契約に関して法律的な問題はまったくない」などと供述しており……。

調べてみると、競馬場建設計画は2012年にも出たそうです。2017年にはスペインの企業によって建設工事が始まりました。しかし、建設計画に不備が見つかって契約が打ち切りになったそうです。

まぁ、僕のような赤の他人から見れば「勝手にどうぞ」というところですが、当事者からすればそんな簡単には済まされない話でしょう。実際に☟のコロンビアの記者さんは「サン・アンドレス島に300億ペソの競馬場が必要ってマジ?」と驚いています。

今後どうなるか注目です。個人的には、建設がチョロチョロっと始まったところで打ち切りになると予想しています。以前から計画があるのにずっと実現していないってことは、一生実現できないもんですよ。


内容が面白かった・役に立ったという方は、ハートボタンのクリックや、SNSのフォロー、サポートなどをよろしくお願いします。活動のモチベーションにつながります。


木下 昂也(Koya Kinoshita)
【Twitter】 @koyakinoshita24
【Instagram】 @kinoshita_koya1024
【Mail】 kinoshita.koya1024@gmail.com
【HP】 https://www.keiba-latinamerica.com/

記事が気に入った・ためになったと思われた方は、ぜひサポートをしてくださるとありがたいです。執筆の励みになります。