【無料】ウルグアイでサンデーサイレンスの3×3、父父ハットトリック×母父アグネスゴールドが誕生
ハットトリックがアルゼンチンとブラジルで、アグネスゴールドがブラジルで種牡馬として大活躍したため、サンデーサイレンスの血が南米大陸にも広がった。
これら2ヶ国にとどまらず、ウルグアイでもハットトリックとアグネスゴールドの影響力は強い。なぜなら、ウルグアイはブラジルとアルゼンチンから馬を仕入れることが多いからである。
ハットトリックとアグネスゴールドが南米に渡って約10年。現在は父としてではなく、母父としての存在感を増している。また、後継種牡馬も多くはないが存在する。となると現れるのが、ハットトリック × アグネスゴールドという血統を持つ馬である。
ハットトリック × アグネスゴールドの組み合わせでもっとも印象的なのは、2019年8月10日にブラジルのサン・キリーノ牧場で産まれたウクラニア（Ucrânia）という牝馬である。
父はハットトリック、母父はアグネスゴールド。つまり、サンデーサイレンスの2×3というインブリードを持つ。サンデーサイレンスの本拠地である日本でさえ滅多に現れないサンデーサイレンスの強烈な近親配合が、日本からもっとも離れた国の1つであるブラジルで発生したとは面白い。
ウクラニアは競走馬としてデビューしなかった。現在はブラジルのニジュー牧場で繁殖牝馬をしている。2023年8月26日、ゴルディコヴィッチ（Goldikovic）との間に初仔を産んだ。ノーリゴール（No Rigor）という名前の牡馬で、自動的にサンデーサイレンスの3×4を持つ。
2023年9月8日、ウルグアイでもハットトリック × アグネスゴールドという血統の馬が誕生した。それが、ムーサ牧場で産まれたハットゴールド（Hat Gold）という牡馬である。
ハットゴールドの父はハットマリオ（Hat Mario）である。その父はハットトリック。2013年8月12日にアルゼンチンのラ・ビスナーガ牧場で産まれ、現役時代はアルゼンチンGⅠホアキン・S・デ・アンチョレーナ（芝1600m - 3歳以上）を優勝した。引退後はウルグアイのムーサ牧場で種牡馬となった。
母のポリッシュトゴールド（Polished Gold）は、2015年9月27日にウルグアイのラペッティ牧場で産まれた。その父はアグネスゴールド。通算成績は17戦3勝だった。2019年に現役を引退し、2020年からムーサ牧場で繁殖牝馬となった。2年続けて不受胎だったため、ハットゴールドが初仔になる。
父はハットマリオ、その父ハットトリック。母はポリッシュトゴールド、その父アグネスゴールド。したがって、ハットゴールドは父父ハットトリック × 母父アグネスゴールドで、サンデーサイレンスの3×3という血統を持つ。
ここで話を終わろうとしたのだが、調べていくと、実はもう1頭ウルグアイにはサンデーサイレンスの3×3を持つ馬がいることが分かった。それが、ハットファイヤー（Hat Fire）である。
2021年10月20日にムーサ牧場で産まれた牝馬で、名前から推測できるように、この馬の父もハットマリオである。
母父は誰かと言うと、アグネスゴールドではない。サイレントネーム（Silent Name）である。サイレントネームは日本産のサンデーサイレンス産駒だが、フランスとアメリカで競走生活を送った。アメリカでは重賞2勝をあげた。
サイレントネームは2009年にブラジルで種牡馬として供用されたことがある。そのため、サイレントネームを父に持つ繁殖牝馬が少なくない。ハットファイヤーの母であるビダデルフエゴ（Vida Del Fuego）も、そのうちの1頭である。
父はハットマリオ、その父ハットトリック。母はビダデルフエゴ、その父サイレントネーム。したがって、ハットファイヤーは父父ハットトリック × 母父サイレントネームで、サンデーサイレンスの3×3という血統を持つ。
現在、ブラジルではヴァンドギャルドとブラヴァスが種牡馬として供用されている。将来的には、ヴァンドギャルド × ハットトリックや、ブラヴァス × アグネスゴールドという組み合わせの馬が現れるだろう。
また、アルゼンチンにはアグネスゴールドの後継種牡馬であるイバール（Ivar）がおり、ブラジルでは今年からGⅠ3勝のアグネスゴールド産駒ロンドンムーン（London Moon）が種牡馬入りするため、南米大陸でサンデーサイレンスの血の濃い馬が産まれる可能性が広がっている。
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