まったく聞いたことがない理由で3日間の騎乗停止を科された騎手がいる
国が違えばルールも違います。国が異なれば競馬のルールも異なります。斜行・降着の基準だったり、鞭の使用制限なんかはその最たる例です。
ということはですよ、世界を見渡せば、まだまだ自分が知らない競馬のルールだったり、あっと驚くような競馬のルールが存在するわけです。
今回はそんな不思議なと言いますか、面白いルールで騎乗停止を受けた騎手を紹介します。
アルゼンチン競馬より、主人公はグスタボ・カルベンテ騎手です。通算2181勝、GⅠ52勝というトップジョッキー中のトップジョッキーです。
9月2日、カルベンテ騎手はエルコディゴ(El Kodigo)という馬で、アルゼンチンの2000ギニーにあたるGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)を優勝しました。
レース後、カルベンテ騎手の家族と陣営がウィナーズサークルに集まり、記念撮影と授賞式が行なわれました。
カルベンテ騎手は病気でしばらく休養しており、これが嬉しい復帰後初となるGⅠ勝利でした。本人、奥様、子供たちにとって特別な瞬間でした。
「いやぁ、なんて素敵な話なんだ!!!」で終わればよかったのですが……
パレルモ競馬場は、GⅠポージャ・デ・ポトリージョスでの出来事に対して、カルベンテ騎手に3日間の騎乗停止処分を科しました。
斜行があった?
斤量を間違えた?
鞭を使いすぎた?
検量に遅刻した?
馬具に違反があった?
ドーピングとかいけないお薬とか?
いいえ、どれも問題ありません。カルベンテ騎手はレースでまったく違反をしていません。クリーンに乗り、クリーンに勝ちました。
では、なぜ3日間の騎乗停止をくらったのでしょうか?
原因は以下の写真の3枚目にあります。
カルベンテ騎手は、優勝したエルコディゴの馬上で、2021年10月に生まれた息子さんを抱いて記念撮影をしました。
「デデーン……カルベンテ、アウトー!」
なんと、この幸せいっぱいの光景が騎乗停止の理由です。
パレルモ競馬場の裁決にはこう書かれています。
いやぁ、こんなルールは初めて見ました。というか、ダメだったのかと驚きました。
日本人視点では「危ないから当然だよ」と思うかもしれません。ですが、それこそ国が違えばルールも違うというものです。
というのも、アルゼンチンは「自転車よりも先に馬の乗り方を習う」と言われるほどの馬大国です。
牧場や農場で働いている人、競馬関係者の子供は、生後まもなく馬の上に乗せられて写真を撮ります。
カルベンテ騎手がインスタに載せている下の写真なんかは、その典型的な例です(果てしなくかわいい、正義正義正義)。
なので、僕も全然問題だとは思わなかったどころか、微笑ましいシーンだと見ていたのですが、実はダメなんですね。知りませんでした。
これで3日間は厳しすぎだろぉぉぉ!
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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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