見出し画像

アンヘル・カスティージョ騎手が誹謗中傷のため急遽ベネスエラを脱出

 日本とベネズエラにはいくつかの共通点がある。野球が好きなこと。競馬が好きなこと。SNSが好きなこと。そして、競馬に負けた怒りをSNSで騎手にぶつけるのが好きなことである。

 アンヘル・アルシーロ・カスティージョ騎手は、アメリカで通算950勝以上をあげているベネズエラ人騎手である。2023年にはヨーヨーキャンディー(Yo Yo Candy)に騎乗してGⅢサンフォードSを優勝した。

 カスティージョ騎手は、今年から母国ベネズエラに帰国してラ・リンコナーダ競馬場で騎乗を行なっていた。順調に勝ち星を積み重ね、直近の開催である2月18日にも白星をあげた。3月17日に行なわれるGⅡホセ・マリーア・バルガスでは、2023年の中米古馬王者エルデフロイス(El De Floix)への騎乗も決まっていた。

 しかし、現地時間2月19日の午後、ベネズエラ競馬機構(INH)の会長を務めるアントニオ・アルバレス氏が自身の X で、アンヘル・カスティージョ騎手のアメリカ復帰を唐突に伝えた。

「アンヘル・カスティージョ騎手がラ・リンコナーダ競馬場に再び戻ってきてくれたことを、心から感謝したい。あなたがここから去ってしまうのはとても残念だし、悔しくて恥ずかしい。だが、私は常にあなたやあなたの家族と共にいる。あなたはそのような扱いを受けるべきではないからだ。あなたは尊敬に値する生ける伝説である。あなたが与えてくれたもの、ベネスエラのために最大限を尽くしたいというあなたの気持ち、家族をアメリカに残してもベネスエラに戻りたいという思い、そして、あなたが見せてくれた献身的な姿勢に報いることができなくて大変申し訳ない」

 と、アルバレス氏は不穏な内容を投稿した。続けて、

「あなたが落馬しそうになったとき、私の妻は『カスティージョ騎手は自分の人生すべてを賭けているのに、たくさんの否定や不当な批判を受けることになるかもしれない』と予感した。家族を置いて夢を叶えに来たのに、その行為が不名誉になるなんてあまりにもフェアではない。憎悪、不正、悪意という大きな問題が我々の競馬に巣食っている。愛と尊敬こそがこの状況を変えられる」

 投稿を見るかぎり、アンヘル・カスティージョ騎手のベネスエラ緊急脱出には、落馬しそうになったレースで何か不当な扱いを受けたことが関係していると推測できる。いったい何があったのだろうか?

ここから先は

932字
この記事のみ ¥ 150
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

記事が気に入った・ためになったと思われた方は、ぜひサポートをしてくださるとありがたいです。執筆の励みになります。