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生成系AIの盛り上がりを社内に浸透させた二つのくふう

はじめに

くふうカンパニーグループのDa Vinci Studioでグループ横断のデータ分析組織のマネージャーをしているkoya3toです。我々の組織は2022年の4月に発足されたばかりで、メンバーも多くはありません。今回は自分たちのような小規模なデータ系組織の生成系AIとの関わり方や、その具体的な取り組みについて紹介します。

生成系AIに対する基本的なスタンス

自分たちの組織は現時点では、生成系AIに対して下記のようなスタンスをとっています。

  • 生成系AIの啓蒙活動を行い、事業部からChatGPTのPoCが生まれる状態を作る

ChatGPTと大規模な自社データを組み合わせて処理をおこなうような仕組みは今のところ難易度が高く、分析組織が積極的に関与していくことも考えられます。現時点でこのようなスタンスを取る理由としては主に2つあります。

  1. ChatGPTは汎用的な処理が可能であり、アイディア次第ではAPIを叩くだけ、あるいはGUIから利用するだけでも大きな事業貢献が可能。

  2. ChatGPTのPoC以外にも分析組織の引き合いは多く、人的リソースが不足している。

1についてはすでにたくさんの方々が様々な活用事例を公開しているとおりです。使い方を理解し、積極的に業務に利用していくことで今まで時間をかけて行っていた多くのことを効率的におこなうことが可能です。例えば、以下の記事を見るとその適用範囲の広さのイメージが湧くのかなと思います。

2については、これまでデータ利活用を専門におこなう部署がなかったということもあり、我々のところには日々様々な案件が舞い込んできます。例えば、外部に公開しても問題ない範囲で紹介すると、

  • 施策の効果検証と次の施策につなげるデータ分析

  • 街の子育てしやすさの推計

  • チラシ画像からの情報抽出

  • テーブルAの項目とテーブルBの項目が同じ実体を表しているかの判定(名寄せ)

のような取り組みです。これらの取り組みは事業貢献の度合いが大きく、また、現時点だと金額や精度面からChatGPTの適用が難しいものになっています。中でも、施策の効果検証の部分はデータ分析組織として大事にしています。というのも、PdMと2人3脚で効果検証をおこなうことでビジネスやプロダクトに対する理解が進み、より良いデータ活用の提案が可能になっていくものと考えるためです。

課題とその解決策

少し脇道にそれたのですが、ここからは"生成系AIの啓蒙活動を行い、事業部からChatGPTのPoCが生まれる状態を作る"を実現するための具体的な取り組みについて紹介します。これを実現するためには大きく2つの課題がありました。

  1. ニュースやSNSでなんとなくすごいことができそうではあるが、実際に自分で触ってみたことが無く、業務に適用するイメージがわかない。特に、ビジネスサイドの業務に与える影響は大きいが、活用が進んでいるという話を聞かない。

  2. 社内データを使ったChatGPTのPoCを検討するも、開発元であるOpenAIに社内情報を送信する必要があり、現場ではデータ送信の良し悪しの判断が下せず、PoCが遅々として進まない。

上記のような課題に対して、我々の組織では2つのことに取り組みました。

ChatGPT APIを利用するとPoCが誰でも簡単にできることを、コードや動くものベースで伝える。

くふうカンパニーグループでは、結婚式、不動産の売買、家計簿といったサービスを提供していて、こういったサービスに相談系の仕組みを組み込むメリットは大きいと考えました。そこで、プロンプトでウェディングプランナーの役割を持たせた結婚式相談が可能なLINEボットを作成し、数行コードを書くだけで高性能なボットの作成が可能なことを関係者に共有しました。

プロンプトでウェディングプランナーの役割をもたせた結婚式相談ボット

また、LlamaIndexLangChainのようなパッケージを使うとある程度簡単に外部データを使ってChatGPTに処理を行わせることも可能です。社内データを使ってChatGPTに処理を行わせるのは、ユーザーに届ける価値が大きく、他社と差別化する上でも重要であると考えています。そこで、外部情報を元にChatGPTに処理を行わせるデモアプリを作成し、サンプルコードを展開しました。

uniccoさんはZaim代表の閑歳孝子さんです。生成系AIは自信満々で嘘をつくのが実感を持ってわかりますw

このときは、ChatGPT APIに投げられるデータがどのようなものかのルールがまだなかったため、公開データだけを使っています。

ガイドラインや相談窓口を定め、どのレベルの社内情報であれば利用可能なのかを明らかにする。

こういった活動を通して、少しづつ自分も試してみたいと思う方が増えていきました。そうすると、社内データを使ってもう少し事業価値の高いアイディアを試したいという声が上がるようになります。そこで、自社データを使ったアイディアのスムーズなPoCが可能となるように、グループを横断したメンバーと一緒に、ガイドラインや相談窓口を定めました。具体的な内容についてはこちらの記事のとおりです。

あわせて、現在のガイドラインではAPI経由であれば社外秘情報の入力が可能となっているため、簡単にChatGPT APIを利用可能なSlack Botを作成し、グループ会社のワークスペースに展開しています。Slack Botを使うことで、コードリファクタリングをChatGPTに行わせるような簡単なものであればすぐにPoCを行えるようになっています。こちらについては後ほど実際に作成したエンジニアの方が記事に書くと思うので楽しみにしていて下さい。

まとめ

変化の早い生成系AIに対して、小さな組織がどう関わっていくかについて紹介しました。ChatGPTのインパクトは大きく、生成系AIの恩恵を受ける、あるいは活用ができるのはデータ組織だけではありません。多様な職種の方が積極的に触り、実際の業務の中で活用方法を模索していくのが重要だと考え、今後も様々な取り組みを続けていきます。

最後に

くふうカンパニーグループではデータの利活用に大きな関心が集まっています。例えば、社内の有志が参加している生成系AIに関する雑談チャンネルには150名を超える方が参加しています。また、同チャンネルにはグループCEOの穐田さんが参加されていることからもその関心の高さが伺えます。

データ分析組織には、大学の特任教員、副業で参加しているメガベンチャーのMLエンジニア、著名なIT企業でCTOを歴任したKaggle Master、データエンジニアリングのプロフェッショナルといったユニークな経歴の方が在籍しています。一方で、まだまだ人数が少なく、グループ内には手つかずの課題が山積みです。

大きな裁量を持って一緒にくふうカンパニーグループが保有するデータの活用に取り組みたい、そんな方がいましたら課題発見、課題解決をご一緒できればと思います。カジュアル面談、お待ちしております!

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